中国、米国の「シリコン万里の長城」第一防衛線を突破

(2023年9月8日)

2020年10月14日、北京で開催されたPTエキスポで、中国のテクノロジー企業ファーウェイの広告看板の前を歩くフェイスマスクを着けた男性。中国のハイテク大手ファーウェイは8月12日(金)、2022年上半期の売上高は減少したが、自動車やその他の産業における新規事業が、米国の制裁下にあるスマートフォンの売上減少を相殺するのに役立ったと発表した。(AP Photo/Mark Schiefelbein)

By Andrew Salmon – The Washington Times – Wednesday, September 6, 2023

 【ソウル】中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の新型スマートフォンが、バイデン政権のハイテク防衛戦に思わぬ穴を開けたかもしれない。

 レイモンド商務長官が8月末、関係改善のため訪中した。その一方で、重い制裁を科せられたファーウェイは次世代スマートフォン「Mate 60

Pro」を発表した。高速通信規格5Gに対応し、中国企業による米国の先進技術の利用を制限するための取り組みが奏功していないことを示している。

 Mate 60 Proは、世界のハイテクメディアが入手し、分解し、分析した結果、心臓部に、中国の中芯国際集成電路製造(SMIC)製の回路線幅7ナノメートル(ナノは10億分の1)のチップセット、Kirin

9000Sが使用されていることが分かった。アナリストらは、キリン9000Sは中国の半導体メーカーにとって大きな技術的進展であり、米国の政策立案者にとっては打撃だと述べた。

 東京に拠点を置くライトストリーム・リサーチ社の半導体専門家、スコット・フォスター氏は、「米国は、中国が14ナノメートル以下の技術を持つことの阻止を目的に制裁措置を科したことを明らかにしており、制裁が全く効いていないということだ」と述べた。

 フォスター氏がワシントン・タイムズ紙に語ったところによると、最先端の新半導体は2ナノメートルで、中国はこれには手が届かない。米国主導の制裁の結果、そのために必要な極端紫外線(EUV)製造装置を中国企業が入手できないことがその一つの理由だ。

 それでも、Mate 60 Proの成功によって、中国の半導体技術が急速に成長していることが明らかになる一方で、トランプ前政権が始め、バイデン大統領の経済チームが受け入れた米国の技術禁輸政策が今後、効果を上げることができるかどうかをめぐって疑念が生じている。

 米国の戦略は、米国と同盟国からの中国企業への半導体供給を遮断することだ。米政府は、米国の半導体に関する特許を活用し、サプライチェーン(供給網)の両端で政治的・外交的に圧力をかけてきた。

 その中で重要な役割を果たしているのは、上流では、日本のニコンとオランダのASMLだ。最先端の半導体を大量生産するのに必要な機械を製造している。下流では、これらの機械を台湾のTSMCと韓国のサムスンが使用している。

 ファーウェイは、中国共産党とのつながりや、スマートフォンメーカーや通信請負業者としての世界的な広がりから、米国が特に注意を払っている企業だが、海外からの供給が停止する中、半導体を備蓄しておくことで、新しいスマホの半導体品質の技術的な飛躍を実現した。

 フォスター氏は、「米国が日本とオランダに圧力をかけて署名させた厳しい制裁措置は始まったばかりだ。ASMLからの先端機器の出荷は今年いっぱいで停止される。注文を受けた分は出荷される。だが、動物が出ていってしまえば、納屋の扉は閉じられる。(中国のバイヤーは)何㌧も注文しており、ニコンにも注文している。何年分もの機器が注文済みだ」と述べた。

 フォスター氏によると、業界のうわさによれば、中国は1、2台のEUV装置を手に入れたようだが、部品やサービスの供給が途絶えているため、使用することは難しいようだ。

 「西側諸国の体制が完全に変わらない限り、あるいは中国自身がEUVを作らない限り、EUVを手に入れることはできないだろう。それはかなり難しく、コストもかかる」

 しかし、ニュースサイト「テックインサイト」のアナリスト、ダン・ハッチソン氏は業界紙で、「(SMICの新しい半導体は)中国の半導体産業がEUVツールなしで技術的進歩を遂げることができたことを示している。これは、この国の半導体技術力の強さを示している」と指摘した。

 習近平国家主席は、半導体の自給自足を国家の優先課題としている。半導体は資本集約型であり、中国政府は半導体部門を支援するため、これまでで最大となる400億㌦規模の三つ目のファンドを立ち上げる準備を進めていると報じられている。

市場の影響力

 中国は世界最大の半導体市場であり、韓国や台湾の企業はそこで販売するだけでなく、中国の製造工場にも投資している。

 半導体産業協会は2022年、中国が世界最大の半導体市場の地位を維持し、売上高は1804億㌦に達したと報告した。しかし、米市場が年間16.2%の伸びを示したのに対し、中国市場は年間5.2%減少した。

 米国での半導体生産を牽引しているのは一部には、米国の政策がある。これによって、台湾のTSMC、韓国のサムスン、SKハイニックスなどの半導体メーカーは、数百億㌦規模の投資を米国で行うことを強いられた。グローバル事業のリスクを軽減させるためだ。この政策は、企業幹部らの間で動揺を引き起こしている。

 コンサルタント会社のKPMGは、2023年の半導体見通しリポートの中で、「半導体技術の国有化」は、米国と欧州の「サプライチェーン、人材獲得、政府補助金へのアクセスに影響を及ぼすため、経営陣が最も懸念していることだ」と指摘した。

 ニューヨークを拠点とするコンサルタント会社マクロストラテジーのデービッド・ゴールドマン社長は、米国のアプローチは政治的に問題があると主張する。

 「保守派には、原則的に干渉は良くないと考える古くからの自由貿易主義者から、中国は技術を盗んだり、国家補助金を与えたりすることで自由貿易のあらゆる原則に違反しており、こちらも同じ方法で対抗すべきだと考えるタカ派まで、さまざまな見方がある」

 「制裁は効かないと思っている。中国は大規模な投資を行い、低価格で売り出すため、制裁はこちらに跳ね返ってくる。中国を悪化させるより、こちらを向上させることに集中すべきだ」

 中国国営・環境時報のニュースサイトは、欧米のライバル企業がMate 60

Proを分解し、使われている技術について調べたという報道を引用し、ファーウェイの新製品に動揺していると揶揄した。

 環球時報は6日の社説で、「米国の人々にアドバイスしたい。スマートフォンを分解するだけでなく、中国の技術開発と革新に対する考え方そのものを分解し、再構築すべきだ。近年、ファーウェイだけでなく、他の多くの中国企業が、航空宇宙、太陽光発電、エネルギーなど、米国が中国を締め出そうとしている分野で大きな前進を遂げている」と指摘した。

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