中国軍、戦略的EMP兵器の開発を推進 兵器を無力化、インフラを破壊

(2023年9月11日)

米国のインフラは壊滅的な電磁パルス攻撃に弱い。(AP通信/ファイル)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, September 6, 2023

 公開情報を収集、分析するオープンソースインテリジェンス(オシント)の専門家3人による最新報告によれば、中国軍事は、米軍機の電子機器や軍事基地全体を無力化できる戦略的電磁パルス(EMP)兵器の開発と試験で大きな進歩を遂げた。

 報告によれば、電力網を含む米国の重要インフラの電子制御もまた、中国のEMP兵器に対して脆弱であり、壊滅的な損害をもたらす可能性があるという。

 「EMP兵器の分野での中国の急速な進歩は、世界の安全保障の戦略的状況、特に米軍と民間の活動の脆弱性に関して重大な懸念として浮上している」と報告書は述べている。

 報告書「遠くに暗闇がある-中国のEMP兵器の米国防・重要インフラへの脅威」は、軍事・情報アナリストのL.J.イーズ、ライアン・クラーク、シャオシュー・ショーン・リン氏がまとめたもので6日に発表された。この3人は、「中国共産党バイオ脅威イニシアチブ」と呼ばれるプログラムの一環として、中国の軍事・兵器プログラムを専門に研究している。

 電磁パルスは核爆発の際に初めて発見された。パルスは広範囲に広がり、電子システムを破壊したり、損傷させたりすることができる。

 2020年の軍の報告によると、中国は高出力磁気パルスコンプレッサーと呼ばれる装置を保有しており、これによって強力な電磁パルスを発生させ、電子機器にダメージを与えることができるという。

 報告は、この装置は「情報収集のための軍事機器にかなりの脅威を与える」と指摘、この装置の写真が掲載されている。

 この兵器化されたEMP装置で、電子機器、防衛システムを無力化し、通信を麻痺させることが可能になる。中国はまた、台湾に対する軍事攻撃の第1段階として、台湾に対するEMP攻撃を実施する可能性があると報告書は述べている。

 同じく2020年に発表されたもう一つの中国軍事研究報告書によれば、中国はこの装置で、「微小電子機械システム(MEMS)」を採用した高度な兵器や民生システムに使用されているマイクロ慣性センサーを破壊した。MEMSは、基板上に電子回路、センサー、機械的部品などを搭載したもので、さまざまな製品に使用されている。

 EMP兵器によって、米軍の戦闘機F35やF22、今後配備されるB21戦略爆撃機の複数のシステムが破壊される可能性がある。これらの航空機に採用されている航法システム、兵器システム、航空保安システムなどはすべて、MEMS技術に依存しているからだ。

 軍用機のレーダーシステムも、中国のEMP兵器によって攻撃される可能性があると報告書は述べている。

 また報告は、中国がスーツケース大の移動式指向性エネルギー兵器を開発していることも明らかにした。これはマイクロ波を使った電子妨害システムで、中国のCETCインターナショナル社が開発した。CETCは、中国軍の気球監視プログラムを支援しているとして、バイデン政権から制裁を受けた企業の一つだ。

 中国は将来、気球群を使って米国に対して戦略的EMP攻撃を行う可能性があり、「国家の重要インフラと防衛態勢を著しく損なう」と報告書は警告している。この電子妨害システムは、同盟国との連携に使用される重要な通信を妨害または使用不能にすることで、軍事システムを混乱させることができ、また、急襲作戦の前に基地の電子監視システムやセキュリティーシステムをダウンさせることもできる。

 民間人を標的にする場合、このシステムは「電力網、輸送ハブ、通信網を含む」重要インフラを無力化するために使用可能と報告書は述べている。

 この電子妨害システムはまた、中国の「ニューロストライク」兵器と呼ぶものの一部としても使用される可能性があるという。

 中国の世界での特許出願を調査したところ、高出力パルス電源や高出力マイクロ波発生技術に関する特許を大量に出願していることが分かった。

 国際飛行場は、軍用、民間用を問わず、重要な交通の要所であり、EMP攻撃に対して脆弱だ。そのため、中国のマイクロ波電子妨害システムのような小型兵器は、深刻な潜在的脅威となる。

 「飛行場を標的にしたEMP攻撃は、周辺地域をはるかに超える影響を連鎖的に引き起こす可能性がある」

 EMP兵器の標的には、航空管制システム、計器着陸システム、航法システム、通信システムなどがある。

 また、重要インフラの脆弱性から、電力網や通信網へのEMP攻撃は、紛争時に格好の標的となりうる。発電所や変電所、高圧線がEMPの攻撃を受け、広範囲に停電が発生する可能性がある。電力網を制御する電子システムもEMPに脆弱で、過負荷を引き起こし、機器の故障を引き起こす可能性がある。

 携帯電話の基地局、データセンター、衛星も電子的に攻撃され、大規模な混乱を引き起こす可能性がある。

 交通網も脆弱である。EMP攻撃は、鉄道交通、航空通信、道路交通管制を混乱させる可能性がある。EMP攻撃は、株式市場やATMへの攻撃を通じて、金融被害も引き起こす可能性がある。

 「米国の重要インフラに対するEMP攻撃の潜在的被害は甚大である。これらのシステムは相互に絡み合っているため、一つの故障が他のシステムに連鎖する可能性がある」

 中国はEMP対策の開発も進めており、これは軍が電磁兵器の使用が将来の戦争の一要素になると考えていることの表れだ。

 報告書は、米軍と政府に対し、中国のEMPの脅威に対応する戦略と対策を早急に開発するよう求めている。

 「EMPの脅威が強まる中、先進的な材料科学、革新的な電子回路、徹底的な情報活動を組み合わせることで、米国の防御を強化し、EMP攻撃を受けても継続的な作戦能力を確保することが可能になる」と報告書は述べている。

 元特殊部隊将校で元国務省条約交渉官のロバート・マクライト氏はワシントン・タイムズに、報告書は電磁波を使った脅威が依然続いていることを示していると指摘、「これは脅威であり、米政府は早急に対処しなければならない」と述べた。

中央から、トルコのハカン・フィダン外相が、パキスタンのイシャク・ダル外相(右)、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン・アル・サウド外相(右から2番目)、トルコ、パキスタン、サウジアラビアの軍および民間高官らとともに、2026年8月31日(月)、トルコのイスタンブールで開催されたメッカ共同防衛協定に基づき設立された戦略政治防衛委員会の第1回会合で記念撮影に応じた。(AP通信/カリル・ハムラ撮影)

イスラム3カ国が新同盟 米国の信頼性に懸念 中東に新たな勢力図

(2026年09月07日)
2019年2月27日、ベトナムのハノイで、ドナルド・トランプ米大統領(左)が北朝鮮の金正恩委員長と写真撮影に応じた。(AP通信/エヴァン・ヴッチ撮影)

トランプ氏、金正恩氏との再会談模索 非核化巡り溝

(2026年09月05日)
2026年6月30日、マサチューセッツ州ローウェルの野球場と住宅街を見下ろすように、マークリー・グループが建設したデータセンターがそびえ立っている。(AP通信/マット・オブライエン撮影)

中国ボットがデータセンター建設反対へ影響工作 Xが指摘

(2026年09月02日)
米海軍作戦部長のダリル・コードル提督は、2025年11月17日、東京訪問中に選ばれた記者団と会見した。(AP通信/マリ・ヤマグチ撮影)

海軍作戦部長、中東への戦力移動は中国抑止に影響

(2026年08月30日)
8月18日に撮影されたこのヴァントール衛星画像は、ヤゴン礁を捉えたもので、アナリストらは、約9マイル離れたアンテロープ礁における人民解放軍の軍事作戦を支援する可能性のある、中国の早期警戒レーダーの開発を示していると指摘している。(画像提供:衛星画像 ©2026 Vantor)

中国、西沙諸島に新たな軍事基地 米が強く非難

(2026年08月28日)
陸軍が重要な任務にロボットや自律システムを活用する際に、どのような考え方が適切でしょうか?(写真提供:TSViPhoto、Shutterstock経由)

国防総省の「AIファースト」に障壁 専門家が警告

(2026年08月26日)
NASAが提供した映像からのこの画像は、2026年4月6日(月)、アルテミスIIミッションの宇宙飛行士たちが人類史上地球から最も遠い距離に到達した後、オリオン宇宙船の外部カメラから撮影された月の様子を捉えたものです。(NASA提供、AP通信経由)

トランプ氏、宇宙開発で新指針 年間1000機打ち上げ目指す

(2026年08月25日)
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)は、2026年8月13日(木)、千島列島最大の島である択禄島のクリリスクにある、ロシア英雄エドゥアルド・ノルポロフ記念中学校を訪問した。(ガヴリール・グリゴロフ、スプートニク、クレムリン・プール写真、AP通信経由)

ロシア、北方領土近くでミサイル試射 日本の対中防衛重視に影響も

(2026年08月24日)
2019年10月2日に低速シャッタースピードで撮影され、米空軍が提供したこの画像は、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地で行われた非武装のミニットマン3大陸間弾道ミサイルの発射実験の様子を示している。スウェーデンのシンクタンクは2024年6月17日(月)、世界の核保有国9カ国は核兵器の近代化を続け、2023年には核抑止力への依存度をさらに高めるだろうと述べた。(JTアームストロング軍曹/米空軍提供、AP通信経由)

国防総省、中露の脅威受け核指針を見直し 抑止力を強化へ

(2026年08月22日)
2026年1月30日(金)、東京南部の海上自衛隊横須賀地区本部で、小泉進次郎防衛大臣が韓国の安徽博防衛大臣と会談後、報道陣の取材に応じた。(AP通信/ユージン・ホシコ撮影、資料写真)

太平洋諸国が連携強化 小泉防衛相が豪訪問、米は警戒

(2026年08月19日)
→その他のニュース