中国、世界の物流へ支配拡大 米議会が国防総省に調査要求へ
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, October 4, 2023
米連邦議会で、中国による世界の物流ネットワーク支配の危険性について、年内に議会に報告するよう国防総省に義務づける法案が検討されている。中国による物流への支配が強まれば、将来、米中が対立したり、紛争が発生した場合に米軍への補給に影響を及ぼす可能性がある、
上院軍事委員会は、2024年度国防権限法案の中で、中国による物流・データネットワークへの支配は国家安全保障上の脅威だと指摘した。
この法案に関する報告書は、「委員会は、中華人民共和国が世界中の主要な物流とインフラの拠点を拡大していることを懸念しており、これは米国が重要な通信ラインを確保し、戦力を投射する能力にとって重大な脅威となる」としている。
国防総省は、この懸念を軽減するために民間技術を利用する方法を研究しており、上院議員らはロイド・オースティン国防長官に対し、12月1日までにこの問題に関する報告書を議会に提出するよう求めた。その報告書には、中国の権益によって所有または運営されている世界中のすべての物流とインフラの拠点のリストが記載されることになる。
また、この懸念に対処するために国防総省が実施した政策やプログラム、それらが成功しているかどうかも記載される。
国防総省は、中国の物流への脅威に関する情報の提供とその脅威の抑制と緩和のために民間が何ができるかを調査し、さらに、軍の予算と権限を使って、より安全な物流を確保し、「中華人民共和国による脅威への対処を支援する」ことができるかどうかを調査することが求められる。
中国は、中国遠洋運輸(COSCO)や招商局集団など、世界各地に港湾施設や物流企業の大規模なネットワークを構築しているほか、中国と世界の貨物や船会社の情報を収集する中国の物流データネットワーク「LOGINK」も持っている。
米議会の米中経済安全保障調査委員会は昨年、中国運輸省が管理しているLOGINKは、公にされない貨物や海運データにアクセスできるため、国家安全保障上の脅威となっていると警告した。LOGINKは公開データベースと、中国国内と巨大経済圏構想「一帯一路」に関連する港を含む世界中の数十の港にいる45万人以上のユーザーからの情報を組み合わせて使用している。
専門家らは何十年も前から、中国の商業港湾施設に関する安全保障上の懸念を指摘しており、中国の港湾会社がパナマ運河の両端で港湾施設の運営を始めた際には、その懸念が特に強調された。
今日、中国は世界各地に95以上の港湾施設のネットワークを拡大しており、海外での軍事基地ネットワークの確立に取り組んでいる。アナリストらは、習近平国家主席はこれらの基地を利用して、世界的覇権の野望を実現することを目指しているとみている。
同委は報告で「LOGINKの広範な使用は、中国政府の権力と影響力を拡大し、米国に商業的・戦略的リスクをもたらす可能性がある」と指摘している。
中国の法律では、中国国内のすべての企業は軍や情報機関に情報を提供することが義務付けられている。
国防権限法案は上下両院協議会で協議中で、最終版にはこの国防総省の報告規定が盛り込まれる見込みだ。