一枚岩でないアジアの反中同盟

(2023年11月20日)

2016年5月17日、ダーウィン港に停泊するオーストラリア国境警備隊のパトロール艇。オーストラリア政府は2023年10月20日(金)、外国の支配が自国軍のスパイ活動に利用される可能性があるという米国の懸念にもかかわらず、戦略上重要なダーウィン港の中国企業による99年間のリース契約を解除しないことを決定したと発表した。(ルーカス・コーチ/AP Image via AP)

By Andrew Salmon – The Washington Times – Sunday, October 22, 2023

 【ソウル】米国はアジア全域の友好国と同盟国を団結させ、強力な反中国同盟を構築しようとしているが、一枚岩とはいかないようだ。

 アングロスフィア(英語圏諸国)の同盟国、オーストラリアと英国は、インド太平洋で米国としっかり足並みをそろえているように思えるが、米国が歩み寄ろうとしている他の地域の民主国家は、はるかに対立的だ。

 地域的な軍拡競争では、対抗する新興の超大国への抑止力を強化する従来の戦略は、危険を伴い、偶発的な衝突のリスクが高まり、その後のあからさまな紛争へと徐々に発展していく。

 米中2国間関係は改善が見られず、域内の小国が負うリスクは、危機を抑制するための対話のルートと仕組みが欠如しているため、増加している。

 これらの疑問と懸念が、先月17~19日に地域内外から政策立案者、軍関係者、アナリストらを迎えて韓国の首都ソウルで行われた「ソウル安保対話」で示された。

 オーストラリアのマールズ副首相は集会で「世界的なルールに基づく秩序が大きな圧力を受けており、大国間の軍事的な競争が強まるにつれ、軍拡が著しく進んでいる」と語った。

 特に中国軍はあらゆる分野で増強しており、とりわけ海軍の拡大が著しい。その一方、北朝鮮は核兵器を増強し、それらを発射するためのより攻撃的な指針を採用している。これに対して、韓国と日本はミサイル部隊を新設し、国産のステルス戦闘機を開発している。オーストラリアは最近、独自の原子力潜水艦隊を配備するため、米英と画期的な合意を交わした。

 一つ懸念すべきは、バイデン政権の注意と予算がウクライナと中東に向けられ、米国にインド太平洋でのプレゼンスを維持するための余裕がなくなるという点だ。

 マールズ氏は「われわれは米国が東アジア地域にできる限り関与するよう働き掛けを続ける。それがインド太平洋の集団安全保障にとって本当に重要だと考えている」と語った。

 英国のゴールディ国防担当閣外相は、この地域の分裂が拡大していることを巡って中国を非難した。

 英貴族院議員で男爵夫人のゴールディ氏は「中国は過去に類を見ない競争相手であり、もはや航行の自由などの基本的考えを順守していない」と述べた。

 世界の物流の約60%がインド太平洋海域を通過する。中国はこれまで海運への妨害は行っていないが、南シナ海の係争中のサンゴ礁に軍事基地を建設し、漁船団が攻撃的な行動を取ることもあり、近隣諸国は警戒を強めている。

 英国は2021年、インド太平洋にF35戦闘機を搭載した空母打撃群を派遣し、2025年まで演習を繰り返し実施する。駆逐艦が台湾海峡を航行し、中国を牽制(けんせい)した。

 ゴールディ氏は「英国は台湾に対する攻撃的な行動は受け入れられないことを示した。混乱し、不安定であることは誰のためにもならないからだ」と語った。

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