NSAの元工作員、エプスタイン氏はイスラエルの組織の一員だった

(2024年1月12日)

2017年3月28日、ニューヨーク州性犯罪者登録所提供のファイル写真。ヴィクトリアズ・シークレットを運営する小売界の巨人は、金融業者のジェフリー・エプスタインが、彼の個人的な財政を管理している間に、彼の財産の「莫大な金額」を不正流用したと述べた。オハイオ州の億万長者レスリー・ウェクスナーは2019年8月7日(水)の書簡で、「資金の一部」を回収したが、フロリダ州でエプスタインに対する性的虐待疑惑が最初に浮上した2007年にエプスタインとの関係を断ち切ったと述べた。(ニューヨーク州性犯罪者登録簿 via AP, File)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, January 10, 2024

 国家安全保障局(NSA)の元工作員、ジョン・シンドラー氏によると、性犯罪者、故ジェフリー・エプスタイン氏に関する情報をつないだ結果、イスラエルの影響工作との関連が浮かび上がった。

 エプスタイン氏は個人所有の島に飛行機で有力者らを運び、未成年女性と性行為をさせていたことが、最近、新たに世間の注目を集めた。裁判書類が公開され、島を訪れた有力者らの名前が公表されたためだ。この島は「ロリータ・アイランド」と呼ばれている。

 シンドラー氏は、中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官がかつてエプスタイン氏にキャリアに関する助言を求めたことが明らかになったことを受けて、バーンズ氏の解雇を要求していた。今週、自身のブログ「トップ・シークレット・アムブラ」に掲載した長文のリポートで、エプスタイン氏は「MEGA」として知られるイスラエルの極秘影響工作の一部だったようだと指摘した。

 大富豪だったエプスタイン氏は、2019年7月に性的人身売買容疑で逮捕された。その1カ月後、ニューヨークの拘置所で謎の死を遂げた。

 最近公開された裁判書類には、ビル・クリントン元大統領、英国のアンドリュー王子、エフード・バラク元イスラエル首相、弁護士のアラン・ダーショウィッツ氏ら、島を訪れた富豪の名前が記載されていた。

 シンドラー氏は、性的人身売買とは別に、エプスタイン氏に関する本当の問題は、どこで富を手に入れ、外国勢力のために密かに働いていたのかどうかにあると述べた。

 エプスタイン氏は大学を中退し、芳香剤などを販売する「バス・アンド・ボディ・ワークス」チェーン創業者で富豪のレス・ウェクスナー氏を顧客に持つ金融の大物にのし上がった。ウェクスナー氏の名前はこの裁判書類に記されており、2人は数十年にわたって親密な関係にあった。

 シンドラー氏は、外国のスパイを特定し、それに対抗するという防諜活動が、一般の人々にはなかなか理解されず、いかに怪しいかを指摘。「重要なスパイジョークがある。ひげを剃る鏡の中の自分を見て、少なくとも週に一度は『おれは誰のために働いているんだろう』と思うようになったら、スパイの仕事から足を洗うべきだ」と述べている。

 シンドラー氏によれば、エプスタイン氏は大きな組織の一員だったようだ。そこから、活動に必要な資金を得、被害者を買い取ったり、脅迫して黙らせたりしていたとシンドラー氏はみている。

 「1人の小児性愛者の仕業ではない。エプスタインの数十年にわたる虐待の商売としての規模を考えると、少なくとも数百人の被害者がいる。このような卑しむべき活動を長期間にわたって人目につかないようにするには、かなりの数とまではいかなくても、それなりの数の支援者がいたはずだ」

 一つの手がかりは、ジャーナリストのニック・ブライアント氏が2019年に報じたもので、エプスタイン氏は自宅に隠しカメラを設置し、密かに人々を録画していたという。この動画が、脅迫と情報入手のために使われていた可能性がある。

 シンドラー氏は、「言い換えれば、エプスタイン事件の核心は、金持ちや権力者を脅迫するための極秘情報活動だった」とみている。

 シンドラー氏によると、司法省は2008年、性犯罪が疑われていたエプスタイン氏を「情報機関に所属していた」ことを理由に、詳細を説明しないまま放免した。しかし、CIAや連邦捜査局(FBI)とエプスタイン氏とのつながりは不明なままだという。

 シンドラー氏は、英国のメディア王ロバート・マクスウェル氏の事例によく似ていると指摘した。シンドラー氏によるとマクスウェル氏は、イスラエルと、その情報機関モサドと強いつながりを持つ複数の情報機関のために活動していた。

 エプスタイン氏と同様、マックスウェル氏も1991年に謎めいた状況で死亡した。マクスウェル氏はまた、エプスタイン氏の側近で愛人だったギスレーヌ・マクスウェル氏の父親でもあり、2021年に性的児童売買で有罪になっていた。

 シンドラー氏はまた、モサドには「新聞にお前のことが載ればいい」という有名なジョークがあることを明らかにした。

 「1997年5月にこれが国家安全保障局(NSA)に起きた。ワシントン・ポスト紙がイスラエル情報機関内部の衝撃的な動きを暴露するセンセーショナルな記事を掲載した時だ」

 その記事は、NSAがどのようにして、ワシントンのイスラエル情報機関幹部とテルアビブのスパイ担当者との間の通信を傍受したかを伝えていた。

 そのスパイは、当時の国務長官ウォーレン・クリストファー氏がパレスチナの指導者ヤセル・アラファト氏に渡した秘密書簡のコピーを、「MEGA」という情報源から入手するようイスラエル大使に命じられたという。

 このスパイは「大使は私に、MEGAに行って、この書簡のコピーを手に入れるよう要請した」が、それに対し担当官は、「MEGAをそのようなことに使うことはない」と答えている。

 この記事はNSAにとって恥ずべきものであり、イスラエルは、MEGAは個人ではなくCIAを指すと主張することで、MEGAの特定をかわそうとした。

 このリークによって、国務省などの機関に潜むイスラエルの二重スパイと思われるMEGAの大捜索が始まった。

 そして1998年、ウォール・ストリート・ジャーナル紙がその謎を解いた。同紙は、ユダヤ人慈善活動のために活動している米国の大企業グループに関する記事を掲載した。そのグループは「Megaグループ」と自称していた。米国で最も裕福で影響力のある20人のユダヤ系実業家が参加し、年に2回会合を開いていた。

 メンバーには、ハリウッドの映画監督スティーブン・スピルバーグ氏、シーグラム会長のエドガー・ブロンフマン氏、元ヘッジファンドマネジャーのマイケル・スタインハート氏らがいた。このグループは1991年に2人の富豪によって設立された。エドガー・ブロンフマン氏の弟でシーグラムの共同会長のチャールズ・ブロンフマン氏とウェクスナー氏だ。

 シンドラー氏は「MEGAがイスラエル情報当局に、米国でのスパイ活動や影響工作の手段と見られていたことをつかんでいる。ジェフリー・エプスタイン氏の億万長者の後援者が共同で設立したことも分かっている。それ以外は憶測に過ぎない」と指摘。

 これらの断片的な情報は、議会や調査報道記者によるエプスタイン・ネットワークの全容解明への出発点になるはずだと述べた。

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