米国の鉄鋼を鍛える 日本製鉄がUSスチール買収

(2024年1月13日)

2023年12月18日月曜日、ペンシルベニア州ブラドックにあるUSスチールのエドガー・トムソン工場の一部。米国の工業化において重要な役割を果たしたピッツバーグの鉄鋼メーカーU.S.スチールは、約141億ドルの全額現金取引で新日鉄に買収される。(AP Photo/Gene J. Puskar)

By Editorial Board – The Washington Times – Monday, January 8, 2024

 日本企業がUSスチールを所有する可能性に、議員たちはパニックを起こしている。1901年にJPモルガンが、アンドリュー・カーネギーの豊富に所有していた製鉄会社を含め九つの大手鉄鋼メーカーを合併させて作った象徴的な会社だ。

 かつて世界有数の大企業であったUSスチールが、140億㌦という比較的わずかな金額で売却されようとしている。同社、そして米国内の鉄鋼業界全体が、過去数十年の間に海外の競合他社に市場シェアを奪われてきたことが、日本製鉄による買収提案をめぐる論争に拍車をかけている。

 鉄鋼は米国のインフラに不可欠な要素である。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が起きてから分かったように、中国のような場所からしか入手できない重要な物資が突然入手できなくなると、問題が発生する。

 しかし日本は中国ではない。日本は米国にとって、外交政策において最も頼りになる同盟国の一つとなっている。貿易関係では時折波風が立つものの、下院中国特別委員会が対米外国投資委員会(CFIUS)に対し、日本からの投資の国家安全保障への影響を評価する際の基準を緩和するよう勧告するほど強固な関係だ。

 著名な政治家や労働組合の幹部の中には、それとは逆に、CFIUSを利用して取引を阻止したいと考えている者もいる。彼らはUSスチールに、オハイオ州を拠点とするクリーブランド・クリフスが一方的に提案し、すでに拒否された70億㌦のオファーを受け入れさせることを望んでいる。

 このような動きは、同社を米国の手中に残す一方で、鉄鋼市場を統合することになる。なぜなら、米国人の鉄鉱石鉱床の100%と、米国の自動車産業向けに製造される鉄鋼の半分以上が1社の手に渡ることになるからだ。

 そのようなことは、票を集めるためにこの問題を利用しようとする人々には関係ない。

 「鉄鋼は常に安全保障に関わるものであり、それは国家安全保障と鉄鋼業界の経済的安全保障の両方だ」とペンシルベニア州選出のジョン・フェッターマン上院議員(民主党)は述べる。「この外資系企業への売却を阻止するため、私の立場を生かして、できることは何でもするつもりだ」。

 フェッターマン氏の民主党の同僚で同州選出のボブ・ケーシー上院議員も率直に「この取引はペンシルベニア州とペンシルベニア州の労働者にとって悪い取引のように見える」と述べた。しかし、彼らは、米政府が日本製鉄への売却を阻止した場合に、USスチールの労働者に何が起こるかについてはあまり考えていないようだ。

 おそらく、彼らは政府規制当局が鉄鋼業界を監視しやすくなるため、統合を好むのだろう。統合はまた、労働組合の指導者たちに、契約交渉の席ではるかに大きな影響力を与えることになる。

 USスチールの幹部は、株主のために最善の取引をする義務がある。彼らが選択した行動方針が、経済全体や同社の何千人もの従業員にも利益をもたらすのであれば、それに越したことはない。同社の株価に40%のプレミアを上乗せした日本製鉄の提示額は、公正に見える。

 米国人はグローバリズムに対してこれまで以上に懐疑的であり、その理由は十分に理解できる。しかし、産業インフラへの外国投資が理に適う場合もある。売却案が発表されて以来、一貫した立場を取っていないバイデン大統領は、米国の鉄鋼にとって何が最善かをUSスチールに決めさせるべきだ。

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