ハーバード大、雇用時の「多様性宣言」を廃止
By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, June 3, 2024
ハーバード大学人文科学部(FAS)は、採用時の多様性宣言を廃止すると発表した。宣言は、テニュアトラック(終身在職)志願者に提出を義務付けていたが、イデオロギーを基に忠誠を誓わせるものとして批判されていた。
学生新聞ハーバード・クリムゾンによると、学部教授問題・企画局のニーナ・ジプサー局長は3日、電子メールで、「多くの教員」がこの声明は「非常に偏狭」だと感じているとの指摘を受けて廃止の決定が下されたことを明らかにした。
FASはハーバード大学最大の学部で、これまで、「多様性、包摂性、帰属意識を奨励するための取り組み(過去、現在、将来予想されるこれらの分野での貢献を含む)」についての宣言文を求職者に求めていた。
ハーバード大学は、昨年10月7日のハマスによる襲撃に対するイスラエルの対応を受けて学内で反ユダヤ主義感情が高まったことで強く批判されてきた。この反ユダヤ主義の高まりは、学術界での反イスラエル、親パレスチナのDEI(多様性、平等、包摂性)文化の影響によるものとされており、大学は傷ついた評判からの回復に努めている。
ハーバード大学は先週、教育機関として、論争の的となる社会的・政治的問題について態度を明確にしないと発表。「大学の中核機能に直接影響を与えない公的な問題に関する公式声明」を出さないよう求めた学部主導のワーキンググループの勧告を提示した。
公立大学では、共和党主導の州での法律制定を受けて、DEIプログラムの廃止が進められており、ハーバード大学での宣言文廃止の決定は、民主党が強い州のリベラルで知られるこの大学でさえ、DEIへの対応を見直し始めていることを示している。
マサチューセッツ工科大学は先月、「強制された声明」は学問の自由を侵害し、「無意味だ」と表明、雇用時のDEIについての宣言を廃止した最初の私立大学となった。
ハーバード大学では、多様性に関する声明に代わって、求職者の「学術界を強化するためにしてきたこと」と「学生が質問し、考えを共有しやすくする学習環境」を促進する、より人種に中立的な声明文を取り入れる。
ジプサー氏はメールで、「視野を広げることで、教員がさまざまな方法で学術界の強化に取り組めるようにするためのものであり、多様性、包摂性、帰属意識を高める取り組みでもある」と書いている。
また、二つの宣言文の提出は、採用選考の最終候補者だけに求められる。クリムゾン紙によると、この変更は「外部からの採用だけでなく、学内の昇格・審査手続き」にも適用される。
ワシントン・タイムズ紙はハーバード大学にコメントを求めた。
ハーバード大学の宣言文廃止は、「個人の権利と表現のための財団」のニコ・ペリーノ上級副会長ら、言論の自由を擁護する人々から喝采を浴びた。
マンハッタン研究所のクリストファー・ルフォ上級研究員は、「小さな勝利だが、われわれの活動が受け入れられ始めていることを示すものだ。DEIの全組織が解体され、塩漬けになるまで、われわれはやめない」と述べた。
ハーバード大学ロースクールのランダル・ケネディ教授は4月、宣言文提出の廃止を呼びかける声明で「うろたえさせる」と述べている。
自ら「左翼の学者」を名乗るケネディ氏は、4月2日付のクリムゾン紙への寄稿で、「多様性宣言文を拡大することは、DEIへの信仰を公言し、それを誇示することを学者に要求することで、学問の自由に対する重大な挑戦となっている」と述べた。
クロニクル・オブ・ハイヤー・エデュケーション誌の追跡調査「DEIへの攻撃」によると、2023年1月以降、23州の少なくとも159の大学がDEIへの取り組みや要件を縮小している。