中国のミサイル脅威「急速に拡大中」 国防情報局が警鐘

(2026年4月25日)

中国のDF-26弾道ミサイルは、長距離から発射され、移動中の艦船を攻撃できるほどの精度を備えているため、米国を懸念させている。(AP通信)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, April 22, 2026

 中国人民解放軍は昨年、全射程のミサイル総数を3450発に拡大する一環として、中距離ミサイルの保有数を増加させた。米国防情報局(DIA)局長が明らかにした。

 DIAのジェームズ・アダムズ長官(海兵隊中将)は16日、議会への書面証言で、2025年に中距離弾道ミサイル「東風26(DF26)」を新たに50発配備し、同型の長距離ミサイルは計550発になったと述べた。

 アダムズ氏は、中国軍について「ミサイル戦力の増強を進めるとともに、極超音速滑空体など新型システムの開発を積極的に追求している。威圧と抑止を軸とする核戦略を支え、米国の防衛を複雑化させる狙いだ」と指摘した。

 同氏は下院軍事委員会の情報・特殊作戦小委員会で「中国は軍近代化を急速に進め、あらゆる戦闘領域で能力を強化している。台湾の武力制圧や第1列島線内全域への戦力投射、地域紛争への米国の介入阻止を可能にする力を備えつつある」と述べた。

 こうした急速な軍拡は、習近平国家主席が主導する「政治整風運動」の一環として高級将校の粛清が進む中でも継続している。

 粛清は国家レベルの指導者や作戦指揮官を含む人民解放軍全体の高級将校に及んでいる。

 米国防総省によると、東風26は地上目標に加え、海上の米空母を攻撃できる長距離ミサイルで、通常弾頭または低出力核弾頭を搭載可能だ。

 米情報機関は中距離ミサイルの射程を1864マイル(約3000キロ)から3418マイル(約5500キロ)と推定しており、国防総省の中国軍に関する年次報告では、東風26は低出力核攻撃用の「高精度戦域兵器」として配備されているとされる。

 アダムズ氏によると、その他の中国の弾道・巡航ミサイル戦力は昨年、横ばいまたは減少した。

 台湾を射程内に収める短距離ミサイル約900発は変わらず、中距離ミサイル1300発も増減はなかった。

 大陸間弾道ミサイル400発も増加せず、地上発射型巡航ミサイルは2024年の400発から300発に減少した。

 DIAは最近、人民解放軍が2035年までに最大700発の大陸間弾道ミサイルを保有する計画で、その中には軌道上から核攻撃を行う「部分軌道爆撃システム(FOBS)」約70基が含まれるとの見方を明らかにした。

 DIAは昨年の報告書で、人民解放軍がすでに600発の極超音速ミサイルを保有し、2035年までに弾道型や滑空体を含め4000発を配備すると分析している。

 東風26は、中国国営メディアから米国の戦略拠点グアムを攻撃可能なことから「グアムキラー」と呼ばれている。

 中国の核弾頭は現在600発を超え、今後5年でさらに400発が追加される見通しだ。核ミサイルは従来より高い即応態勢で配備されており、中国が台湾に軍事行動を取った場合、米国への威嚇に用いられる可能性がある。

 アダムズ氏の声明によると、中国は9月、第2次世界大戦終結80周年を記念する軍事パレードで新たな軍事能力を誇示した。

 公開された装備には、配備済みおよび開発中の兵器が含まれ、核戦力や無人兵器が近代化の中核として位置付けられている。

 アダムズ氏は「特に核の3本柱のすべての要素が初めて披露されたほか、空母運用可能な無人機や無人潜水艇など、多領域にわたる無人機対抗能力が示された」と述べた。

 同氏によると、人民解放軍の重点は高度戦闘能力の開発加速、中国共産党の軍統制強化、戦略資産の拡充にある。

 主要技術分野として人工知能(AI)、バイオ技術、量子技術、先端半導体、先進エネルギー生成・貯蔵技術が挙げられる。

 台湾を巡っては2025年、大規模演習を通じて圧力を強め、封鎖作戦やエネルギーインフラ攻撃の訓練も行われた。

 台湾侵攻に投入される部隊の能力は向上しているが、中国指導部は現状で米国や同盟国の介入に対抗しつつ台湾を制圧できるかについて確信を持っていないという。

 アダムズ氏は「現時点では依然、武力による統一のリスクとコストが利益を上回っている可能性が高く、中国が掲げるレッドラインもまだ越えていない」と述べた。

 人民解放軍はまた、危険な航空・海上行動を継続している。アデン湾でドイツ軍機にレーザー照射を行ったほか、豪州のP8哨戒機近くでフレアを放出するなどの事例が発生した。

 宇宙分野では、中国が月と地球の間の空間で活動する「シスルナー」能力を開発し、月面や月付近での政治・経済・軍事目標を支える構想を進めている。2028年には月南極付近に研究拠点を設置する計画だ。

 サイバー分野では、中国が関与する大規模作戦が行われ、情報を集めたり、有事に米国の重要インフラにサイバー攻撃を仕掛けるための作戦を実行したりしている。

 アダムズ氏は「中国は情報や軍事的価値があると判断したネットワークへのアクセスを今後も拡大する可能性が高い」と述べた。

 中国のハッカー集団「ボルトタイフーン」は米国の重要インフラに侵入しており、「地政学的緊張や軍事衝突時に米国と同盟国の重要サービスを妨害、破壊する可能性がある」という。

海軍、コンテナ型兵器を配備へ

 米海軍は、輸送用コンテナ内に収容して無人艦や従来型艦艇に搭載できる兵器やシステムの開発を進めている。

 この計画は先月、海軍のダリル・コードル作戦部長(大将)が開始したもので、モジュール化されたコンテナ型兵器によって戦闘能力を強化する戦略的取り組みだ。

 コンテナには無人機群のほか、兵站支援機器、対潜戦センサー、レーダーなどが搭載され、電子戦や実弾攻撃の双方を支援する。

 また、複数のミサイルシステムもコンテナに収容でき、中国やロシアがすでに配備している類似システムに対応する形となる。

 海軍作戦部水上戦担当のデレク・トリンク少将は22日、上院小委員会で、コンテナは中型無人水上艦(MUSV)で運用されると証言した。

 MUSVは40フィート(約12メートル)コンテナ2基を搭載できる。

 海軍はインド太平洋地域に30隻以上のMUSVを配備し、さらに多数の小型無人水上艇や無人航空機を運用する計画だ。

 米海軍のギャレット・ミラー大佐(第1水上開発群司令官)は海軍リーグ主催のシー・エア・スペース・シンポジウムで20日、インド太平洋地域に30隻以上のMUSVを配備する計画に加え、数千隻の小型無人水上艇や、多数の無人航空システムを有人艦艇または無人艦艇から運用する方針を明らかにした。

 トリンク氏は、太平洋艦隊からの要請を受けて、コンテナを利用した輸送の導入が進められており、「あらゆる艦隊から同様の要請があるものと考えている」と説明した。

 コンテナの一部は補給用で、敵潜水艦探知用センサーや標的捕捉・誘導用レーダーを搭載するものもある。さらには「エフェクター」を搭載するコンテナもある。エフェクターは軍事用語で、ミサイルや電子戦、指向エネルギーなどの兵器を指す。

 海軍はこれらシステムの迅速な開発に向け、防衛企業と連携している。

 トリンク氏は民間防衛当局者レベッカ・ガスラー氏との共同書面で、MUSVの強みは「戦闘能力をコンテナに収め、迅速に搭載、配備が可能なこと」にあると主張した。

 「国際標準化機構(ISO)の規格に合ったコンテナを用いることで、センサーや通信中継、補給装備、兵器システムなど新たな能力を迅速に追加することが可能になる。

 「こうした柔軟性により任務に応じた戦力構成が可能となり、既存戦力を補完できる」

 書面は、コンテナ型の兵器とシステムは、「あらゆる作戦環境で優位性を維持するために必要な速度、規模、柔軟性を海軍にもたらす」としている。

 この計画は艦艇と無人機を組み合わせた柔軟な海軍力構築を目指す取り組みの一環で、コードル氏は先月の防衛関連会合で「すべてをコンテナ化したい」と述べていた。

人民解放軍のAI活用

 インド太平洋軍のサム・パパロ司令官は議会で、中国軍がすでに人工知能(AI)を戦闘力強化に活用していると証言した。

 パパロ氏は21日、上院軍事委員会で行った証言で「中国はAIの力を、標的を特定するために使用している。すなわち、大量のデータの分析を通じて、さまざまなセンサーに入力される要因間の相関関係を踏まえ、標的の所在を迅速に見極める力だと考えている」と述べた。

 さらに「中国はAIの力を、戦略的意思決定にも用いているようだ。すなわち、自らがどのような局面で戦っているのかを把握し、相手の意図を見抜く能力だ。そのように認識している点は正しいと思う」と述べた。

 対中抑止を主な任務とするパパロ氏は、AI技術をマスターした側が、さらに重要なのはその運用を制した側が、「21世紀の優位を握る」と強調した。

 米軍と中国軍のAI能力については、米国がAIエージェントや大規模学習モデルの製品面で優位にあると指摘した。

 計算能力においても米国側が製品面で優位に立っている一方、中国はロボット分野で重要な強みを持っていると分析した。

 パパロ氏は「われわれの優位は最大でも6カ月から12カ月程度にすぎず、データ、計算能力、応用、そして何より人間による活用で優位を維持・拡大しなければならない」と述べた。

 中国がより高度なAIを取得した場合に、戦闘能力が向上し、米兵の犠牲者が増えることになる可能性があるかという質問には、「可能性ではなく確実だ」と答えた。

 さらに「AIによって計算能力が向上し高速化すれば、思考能力も向上し高速化する。ドローン戦であれミサイル戦であれ、個々の戦闘の形式は一般化されており、最終的な決定要因は計算能力と意思決定の優位性だ」と述べた。

韓国海軍の3000トン級潜水艦「新チェホ」が、2025年9月26日(金)、釜山近郊の韓国南東海岸沖で行われた観艦式に参加している様子。(AP通信/アン・ヨンジュン撮影)

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