CIAは新型コロナ流出説を隠蔽した 内部告発者が議会で証言

(2026年5月17日)

2021年2月3日(水)、中国湖北省武漢市で世界保健機関(WHO)の調査団が視察を行った際、武漢ウイルス研究所の入り口付近に警備員が集まっている様子を捉えたファイル写真。(AP通信/Ng Han Guan)

By Stephen Dinan – The Washington Times – Wednesday, May 13, 2026

 世界を震撼させた新型コロナウイルスは、中国の研究所から流出した可能性が高い――。米中央情報局(CIA)の科学者らがこうした見解に傾いていたにもかかわらず、CIA幹部が、当時米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長だったアンソニー・ファウチ氏らの影響を受けて、こうした見解の公表を封じ、異論を唱えた分析官を排除していたとする内部告発が浮上した。

 CIA作戦担当官として国家情報長官室のための新型コロナ起源調査に関わったジェームズ・アードマン氏によると、CIAは2021年8月の時点で、ウイルスが中国の武漢ウイルス研究所から流出した可能性が高いとの見解を公表する方向で検討していた。しかし、5日後には方針を転換。理由を示さないまま、公表を見送ったという。

 同氏は13日、上院国土安全保障・政府活動委員会で、CIA内部には中国側を擁護しようとする空気があり、さらにドナルド・トランプ大統領への反発が、「研究所流出説」への抵抗感を強めたと証言した。

 その結果、「事実は隠蔽され、資源は浪費され、政策決定者には適切な情報が提供されなくなった」という。

 一方でアードマン氏は、「隠蔽を明示的に命じた決定的証拠は見つからなかった」とも述べた。その上で、「大勢が一つの意見を大声で否定すれば、その意見は押しつぶされてしまう」と語り、組織内の空気が異論を封殺したとの認識を示した。

 同氏はまた、政府研究費を受ける科学者が、問題発生後には原因究明の「専門家」として政府側に起用される構図にも疑問を呈した。相互依存関係が、客観的な検証を妨げる悪循環になっていたという。

 その中にファウチ氏も含まれていた。アードマン氏によると、ファウチ氏はCIAが接触する専門家の選定に影響力を持ち、すでに研究所流出説に否定的な立場を示していた研究者らを、情報機関が相談すべき相手として推薦していたという。

 ただしアードマン氏は、「ファウチ氏が直接『彼らに聞け』と命じたわけではない」と説明。「当時の官僚機構は、そうした推薦に進んで従う状態だった」と振り返った。

 新型コロナは2020年初頭から世界的に大流行し、多数の死者を出した。各国政府は混乱に陥り、学校や企業は閉鎖され、国民は外出自粛を強いられた。ワクチンや治療法の開発も急ピッチで進められた。

 当初は、中国・武漢で確認されたウイルスが動物から人へ自然感染したとの説が主流だった。しかし、中国が武漢ウイルス研究所でコロナウイルス研究を行い、その研究に米国の資金が流れていたことが明らかになると、「研究所流出説」への関心が高まった。

 2023年には、米連邦捜査局(FBI)やエネルギー省が研究所流出説を支持する方向へ傾いた一方、CIAや情報機関全体は慎重姿勢を崩さなかった。

 CIAは今回の公聴会に強く反発した。CIA報道官のリズ・ライアン氏は、委員会がアードマン氏に公開証言を求めたことについて、「悪意ある行動だ」と批判。同氏はすでに非公開で議員側に説明を済ませていたと主張した。

 さらに、「これは議会公聴会を装った不誠実な政治ショーにすぎない」と非難。「CIAは既に、新型コロナの起源として研究所流出が最も可能性が高いと評価している。それを弱めようとする試みこそ不誠実だ」と述べた。

 これに対し、同委のランド・ポール委員長(共和党)は、CIAが研究所流出説を公に支持したのは2024年の大統領選後で、ジョー・バイデン大統領の退任直前だったと指摘。「それは分析ではなく、後始末だ」と批判した。

 アードマン氏は、2022年にCIA職員10人(うち7人は科学者)が実施した内部検証にも言及した。当初、10人中8人が研究所流出説を支持する方向に傾いていたが、提出した草案は「新たな情報を踏まえて修正するよう」求められたという。

 科学者らは「新情報でも結論は変わらない」と主張したものの、再検証に応じた。だが再検証後も、7人中6人の専門家が依然、研究所流出説を支持した。しかし最終的な報告書では、「起源は特定できない」と書き換えられていたという。

 アードマン氏は「結論そのものが変更された」と証言した。

 一方で、2023年に一部で報じられた「科学者らが結論変更の見返りに報酬を受け取った」との疑惑については否定した。後にボーナス支給があったのは事実だが、報告書とは無関係だったとして、「買収はなかった」と語った。

 ポール氏は、こうした抑圧によって、国民は新型コロナの起源について率直な議論を行う機会を奪われたと主張した。

 「アードマン氏の証言によれば、CIAの科学分析官たちは2021年から2023年にかけて繰り返し、研究所流出が最も可能性が高いと結論付けていた。しかし、その結論は公式見解に反映されず、議会にも共有されなかった」

 民主党議員の多くは今回の公聴会を欠席し、共和党側から批判を浴びた。ロン・ジョンソン上院議員(共和党)は、「向こう(民主党)側には、ディープステート(闇の政府)内部で何が起きているのかを知ろうとする好奇心が全くない」と語った。

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