妊娠中絶薬めぐる法廷闘争、終結見えず
By Alex Swoyer – The Washington Times – Tuesday, August 13, 2024
米食品医薬品局(FDA)によるミフェプリストン(妊娠早期に用いられる経口妊娠中絶薬)の承認をめぐる法廷闘争は依然、続いている。連邦最高裁は6月、この問題に関する審理を回避し、この薬を認可する連邦規制を縮小すべきかどうかの判断を拒否した。
今後数週間のうちに、カンザス、アイダホ、ミズーリ各州は、FDAによるミフェプリストンの承認に対する異議申し立てを再開する予定だ。この裁判は最高裁の判決を見越して保留されていた。
カンザス州のコバチ司法長官は、「裁判が再開されれば、われわれは勝利すると確信している」とし、「この訴訟は最高裁に持ち込まれる可能性が高く、国家にとって極めて重要な問題だ」と述べた。
各州は昨年、この薬の使用期間の延長、ジェネリック医薬品、郵送による配布に異議を唱え、テキサス州北部地方裁判所に訴訟を起こした。
各州は、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)受給者は合併症を起こすと救急病院を受診しなければならないため、化学流産の増加による経済的損害が起こると主張している。
それによると、ミフェプリストンを服用した後に緊急治療や入院を必要とする健康上の問題が発生する女性が、外科的中絶を行った女性よりも多いという。
原告の訴状では「化学流産の合併症率、救急搬送率、入院率の上昇は提訴した各州にさまざまな形で直接的な経済的損害を与えている」とし、公的保険と病院に関連する負担が生じることを指摘した。
連邦政府はまだ、各州の訴えに応じていない。
FDAの決定に異議を唱えるプロライフ(中絶反対派)の医師らが提起した問題について最高裁が審理している間、各州の訴訟は何カ月も保留されていた。
FDAがミフェプリストンを最初に承認したのはクリントン政権時代の2000年9月で、妊娠第7週まで使用可能だった。
プロライフの医師らは、ミフェプリストンは承認されるべきではなかったと主張し、FDAが最近、この薬を医師の対面による診察なしで患者に郵送して妊娠10週まで使用できるよう改正したことに異議を唱えた。
下級裁判所では医師らが勝訴したが、最高裁は医師らには訴訟を起こす法的根拠も十分な損害もないと判断した。全員一致の判決で、判事らはミフェプリストンに対する医師らの道徳的異議は正当かもしれないが、十分な法的損害を証明していないと述べた。
カバノー判事は意見書に、「以上の理由で、連邦裁判所はFDAの行動に対する原告の懸念に対処する場としては不適切だ」と記した。
FDAがミフェプリストンを承認して以来、規制は着実に緩和されている。この薬は現在、米国での中絶の3分の2近くで使用されており、必要な医師の対面診察の回数も削減されている。
バイデン政権は法廷で、女性の健康を害さないよう慎重に検討した結果、規則が緩和されたと述べている。
米国医師会によると、ミフェプリストンは流産の場合にも使用されており、この制限により流産した女性の治療がさらに困難になったという。
プロライフの医師らの異議申し立てについて審理した連邦判事はFDAの手続きに欠陥があると判断し、当初の承認は違法であるとの判決を下した。
第5連邦巡回控訴裁判所は、この判決の範囲を狭めた。同裁判所は、当初の承認に異議を唱えるにはあまりにも長期間経過しているが、郵送による配布や妊娠後期の使用といった最近の変更には異議を申し立てることができるとしていた。
最高裁の判決は、こうした下級裁判所の判決を無効にした。
米家族計画協会は先週、今年1~3月までの中絶件数が、2022年に最高裁がロー対ウェイド判決を覆す前よりもわずかに増加したと報告した。