共和党、性自認問題で民主党を追及 各州でテレビ広告

(2024年10月4日)

旗を掲げて抗議する学生たち(2023年8月30日、テキサス州ケイティにて)。2024年2月28日水曜日、LGBTQ+擁護団体PFLAGナショナルは、テキサス州司法長官事務所に対し、トランスジェンダーの子どもたちが性別を確認する医療を受けることへの支援に関する情報の提出を求められ、訴訟を起こした。(Brett Coomer/Houston Chronicle via AP, File)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Tuesday, October 1, 2024

 バイデン政権下の民主党は、女子スポーツへのトランスジェンダー選手の参加から二次性徴抑制剤の投与、更衣室利用まで、性自認を巡るあらゆる活動を受け入れてきた。共和党はこれについて有権者に知らせることで選挙戦を有利に進めようとしている。

 カマラ・ハリス副大統領、民主党議員らをトランスジェンダー政策に関連付ける広告は、主要激戦州だけでなく、上下院選で接戦が繰り広げられている州でも公開されており、この問題が有権者にどれだけ影響力があるかがリアルタイムで試されている。

 例えば、トランプ陣営はペンシルベニア州で、ハリス氏が2020年の民主党大統領予備選で掲げた、不法移民や受刑者の性転換手術を税金で支援する姿勢を非難する広告を出している。

 「ナンセンス」と題されたこの広告では、ハリス氏が2019年のインタビューで、「受刑者のための手術…刑務所のトランスジェンダー受刑者なら誰でも受けられるようにする」と語っている様子が映し出されている。

 「信じがたいことだが、事実だ。リベラルなメディアでさえ、カマラが受刑者や不法滞在者のために税金で性転換をすることを支持していることにショックを受けている。カマラは(性別による区別を避ける)ノンバイナリーを支持し、トランプ大統領はあなたを支持する」

 広告には、ホワイトハウスでドラッグクイーン(女装パフォーマー)と並んでポーズをとるハリス氏や、上院で承認された初のトランスジェンダー職員であるバイデン政権の厚生次官補レイチェル・レバイン氏、ジェンダーフルイド(性自認が流動的な)活動家のエネルギー省元職員サム・ブリントン氏の写真も掲載されている。ブリントン氏は、空港手荷物窃盗事件で起訴され、エネルギー省を退職した。

 ハリス陣営は、この広告に反論せず、従来の立場を強調しないよう努め、CNNで、大統領になれば「今後も変わらず、現実的な取り組みをし、前に進むために常識的な解決策に焦点を当てる」と語っている。

 ミズーリ州、ニューメキシコ州、オハイオ州、テキサス州を含む多くの州で展開されている共和党支持の他のキャンペーン広告は、学校の女子スポーツへのトランスジェンダー選手の参加問題について、女性や少女を貶めていると民主党候補を非難している。

 テキサス州では、共和党のテッド・クルーズ上院議員を支援する政治活動委員会(PAC)「真実と勇気」が先週末、民主党のコリン・オールレッド下院議員を、女性・女子スポーツ保護法に反対票を投じたとして非難する300万ドルの広告を公表した。同法は昨年通過したが、民主党議員らは賛成しなかった。

 広告はオールレッド氏について「彼は、ウォーク(差別などに敏感)な進歩主義者や急進的な民主党議員の側に立ち、私たちの娘たちを支援しなかった。そんなことをする男がいるのか」と訴えている。

 この広告はスペイン語でも放映され、フラッグフットボールの試合で少女にタックルする男の映像で終わる。その男のジャージには「オールレッド」と書かれている。

 上院選のオールレッド陣営は、この広告を「うんざりするような虚偽の攻撃であり、テッド・クルーズがいかにテキサスを分裂させたいかを示すもうひとつの例だ」と非難した。

 陣営のスポークスマン、ジョシュ・スチュワート氏は「女性の命を危険にさらす危険な中絶禁止、社会保障とメディケアの定年引き上げ、命にかかわるような冬の嵐を逃れてカンクンへと向かうことから目を逸らすためなら、彼は何でも言うだろう」と語った。

 だが、2023年の女性・女子スポーツ保護法や、トランスジェンダー権利法を制定する2023年の決議案へのオールレッド氏の支持については言及しなかった。この決議案は、連邦法を改正し、学業に励むスポーツ選手が

「自分の性自認に最も適したチームやプログラムでスポーツに参加できる」ようにすることを求めている。

 言い換えれば、オールレッド氏は、男性から女性に転換したトランスジェンダーのアスリートが女性のスポーツに参加できることを支持する立場だ。問題は、有権者の共感を得られるかどうかだ。

 世論調査では、国民は女子スポーツに生物学的男性が参加することに一貫して反対しているが、経済、インフレ、不法移民、犯罪などに比べれば、この問題に対する有権者の関心はそれほど高くない。

 LGBTQ団体「イクウォリティー・テキサス」広報担当、ジョナサン・グーチ氏は、テキサス・トリビューン紙で、「暴言であり、トランスジェンダーのテキサス市民はこのようなことを数多く経験してきた。市民はこれを政治問題化したいとは思っていない。ほとんどのテキサス市民が関心を持っているのは、そんなことではなく、食料品の価格だ」と訴えた。

 それでも、この問題は政治的過激主義を懸念する有権者を揺さぶる可能性がある、と保守系団体「アメリカン・プリンシプルズ・プロジェクト」のスポークスマン、ポール・デュポン氏は言う。

 デュポン氏は電子メールで「民主党は、トランスジェンダーに関することになると、ほどほどということを知らないようだ。カマラ・ハリスと民主党は、(基本的に共和党と共通する)減税、警察官の増員、不法移民の取り締まりを公約に掲げる広告を出したが、トランスジェンダー問題については中道に進もうとしない。それをすると支持基盤を怒らせることになるからだ」と指摘した。

 例えば6月、バイデン政権は未成年者のトランスジェンダー手術を支持していたが、LGBTQ擁護団体からの反発を受け、その方針を転換した。

 デュポン氏は「民主党がこの問題で、有権者の支持を得られない姿勢を取り続けるなら、共和党はその弱みにつけ込むべきだ」と強調した。

 ミズーリ州では、共和党のジョシュ・ホーリー上院議員が、2022年の全米大学体育協会(NCAA)女子水泳選手権でトランスジェンダーのリア・トーマス選手と5位タイとなったオールアメリカンのライリー・ゲインズ選手を起用し、民主党の対抗馬、ルーカス・クンス氏を攻撃する広告を公開している。

 ゲインズさんは広告の中で「(トーマスは)トロフィーを手に入れたが、それは女性が獲得したものだった。それは間違っている。ルーカス・クンスは急進的なトランスジェンダー政策を支持している」と語っている。

 ワシントン・タイムズ紙はクンス陣営にコメントを求めた。

 オハイオ州では、PAC「上院リーダーシップ・ファンド」が民主党のシェロッド・ブラウン上院議員に対抗する広告を出した。孫娘たちが「スポーツで秀でるためにいかに苦労してきたか」を語る男性が出演している。

 同州コンコードに住むスコット・Fと名乗るこの男性は、「十分に厳しいのに、シェロッド・ブラウンが、トランスジェンダーの生物学的男性が女子スポーツに出場することを認めることに賛成票を投じたとはね。不公平で危険だ」と訴える。

 ブラウン氏は再選を目指して、共和党のバーニー・モレノ氏と接戦を展開している。

 この広告は、上院リーダーシップ・ファンドとクリーブランドのWKYCテレビとの対立を引き起こした。WKYCはファクトチェックで、この広告を「虚偽」としたが、ブラウン氏が、もともと男子だった選手が女子学校スポーツに出場することを禁止した「アメリカン・レスキュー・プラン」の修正案に反対票を投じたことは認めている。

 ブラウン陣営は声明で、「(モレノ氏が)選挙運動中にうそをついていたことが発覚」、上院リーダーシップ・ファンドはFOXニュースに、同局からの連絡はなかったとしていると主張、この点について「非倫理的」と非難した。

 ニューメキシコ州とテキサス州の下院選でも、トランスジェンダーの選手について民主党を非難する広告が出されている。

 保守系の「独立した女性の声(IWV)」はこの問題に注目している。IWVは9月18日、「ライリー・ゲインズ・スタンド・ウィズ・ウーマン・スコアカード」を発表した。これは、男女別スポーツの問題に関してどのような立場を取っているかで候補者をランク付けしたものだ。

 IWVのCEOヘザー・ヒギンズ氏は、「ライリー・ゲインズ・スタンド・ウィズ・ウーマン・スコアカードは、女性と女子生徒・児童の夢を奪うことに対して、候補者や選挙で選ばれた公職者がどの程度闘っているかを測定し、責任を問うためのものだ。国民がこの情報を手にする時が来た」と語った。

 緑色の「RG認定」ステッカーを受け取った候補者にはドナルド・トランプ前大統領がいる。カマラ・ハリス副大統領には赤色の「X」が与えられた。

 ゲインズ氏はウェブサイトで「すべての国民は、誰が女性の味方で、誰がそうでないかを知る権利がある」と述べた。

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