戦術核弾頭の近代化が完了 精度が向上、地下核施設破壊も
By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, January 9, 2025
エネルギー省の国家核安全保障局(NNSA)が今週発表したところによると、新しい精密誘導システムによる核重力爆弾B61の近代化が完了した。
B61-12への寿命延長作業は、90億ドルを費やして、10年以上にわたって行われてきた。初期型に取って代わることになる。推定500発の核爆弾が、アジアや欧州の北大西洋条約機構(NATO)基地の空軍に配備される。
NNSAは声明で「B61核爆弾は50年以上使用されており、米国の核兵器の中で最も古く、最も汎用性の高い兵器だ」と発表した。
NNSAは、このアップグレードは、航空機搭載核兵器の強化に不可欠であると考えている。F35やF16戦闘機、B1爆撃機から投下することができる。新しいB21戦略爆撃機にも搭載可能だ。
近代化された爆弾は、新しい「テールキット」が搭載され、これによって精度が向上している。これは、「ダム爆弾(無誘導爆弾)」を精密誘導兵器に変える従来の統合直接攻撃弾(JDAM)キットで使用されているものをモデルにしたもののようだ。また、「軍事的特性には全体的な変化はないが、出力が大幅に減少している」と声明は述べている。
報告されている爆弾の出力は、0.3キロトンから50キロトンの間で調整可能だ。キロトンはTNT火薬1000トンに相当する。
初期の改良型は、パラシュートを使って爆弾の降下を遅らせ、地上での爆発を可能にしていた。
初期型はすべて新しいB61-12に統合され、武装、点火、起爆の改良が施されている。航空機からの分離をより安全にするパラシュートが廃止され、信頼性が向上した。
2009年に報じたように、米議会はB61の近代化のための資金を削減しようとした。B61は米国の兵器の中で最も古い戦術核兵器であり、ロシアや北朝鮮の脅威に対する拡大抑止に必要だと軍は言っている。
しかし、軍首脳が1960年代に製造されたトリガー・パッケージと電子機器の近代化が緊急に必要だと説明したため、予算は復活した。B61の改良型は、中国、ロシア、北朝鮮、イランの地下核施設など、強化された構造物を標的にするために使用することも計画されている。
国防総省の国防科学委員会は11月、敵の地下施設や隠された施設を撃破する方法を検討する研究を完了した。
研究の詳細は公表されていない。しかし報告書は、脅威についてさらに多くの情報が必要としており、地下の標的に対抗するための「効果連鎖」オプションと新システムを提示した。
2002年の国防総省の核レビューでは、軍の地下貫通能力は非常に限られており、唯一の地下貫通型核兵器はB61-11(無誘導重力爆弾)で、現在も運用中であると報告されている。さらに新しい派生型のB61-13が開発中で、早ければ9月にも配備される可能性がある。
この爆弾は、地下壕や施設内の強化された標的を破壊するためにも使用できる。しかしアナリストらは、中国の各地に設置されている地下核施設を破壊するには不十分だと指摘している。
元国防総省の核計画立案者、マーク・シュナイダー氏は、バイデン政権が要求するB61-13は50発だけでは不十分だと述べた。
シュナイダー氏は「米国は十分な核兵器を持っていないし、非常に深いところ(強化され、地下深くに設置された標的)を破壊できるような高い能力(超高出力、あるいは高出力と地中・岩石貫通能力)を持つ核兵器はほとんどない」と指摘。中国の「地下万里の長城」核ネットワークは、「地下数百メートルにあると言われている。このような地下施設に対して高い損害期待値を達成するには、おそらく多くの照準点に対して2発のカウンターフォース(対兵力攻撃)能力を持つ弾頭が必要だろう」と述べた。
NNSAは、B61に加え、W88、W87、W80ミサイル弾頭など、他のいくつかの弾頭の近代化にも取り組んでいる。
国防総省にとって40年ぶりの核弾頭W93も開発中である。NNSA関係者によれば、開発は急ピッチで進められている。この弾頭は潜水艦発射弾道ミサイルに使用される。
核戦力の近代化は、国防総省が発表した最優先課題である。近代化計画の新システムの多くは、新型の潜水艦、爆撃機、地上配備型ミサイルを含め、スケジュールが遅れており、予算も超過している。