「母親」→「受精した人」 州知事が性別特定する用語の排除提案、反発広がる
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2025年1月22日、ウィスコンシン州マディソンの州議会議事堂で、年次州議会演説を行うトニー・エバース州知事(AP Photo/Morry Gash, File)。
By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, February 24, 2025
バイデン政権は妊婦のことを「妊娠した女性」「出産する人」と呼んでいたが、ウィスコンシン州のトニー・エバース知事は「受精した人」という言葉を好んで使っている。
この民主党知事は先週、2年ごとに提出される予算案で、州法の中の性別を特定する単語について、「母親」を「受精した人」、「男性」を「人」といった性別に中立な用語に置き換えることを提案し、反発を招いた。
この法案の子供の父子関係を問う項目では、「父子関係」は「親子関係」に、「父親」は「自然な親」などに100回以上置き換えられている。
ウィスコンシン州上院議長メアリー・フェルツコウスキー氏は、民主党が「女性、結婚制度、家族を抹殺しようとしている」と非難した。
フェルツコウスキー氏は声明で、「エバース政権が母親と父親を抹殺しようとしているのを見るのはうんざりだ。州議会演説で明らかになったように、知事は政府に子供を育てさせようとしているだけでなく、『母親と父親』という概念を完全に消し去ろうとしている」と非難した。
共和党員のフェルツコウスキー氏は、この提案では「父親」という言葉が100回以上も 「自然な親」などの言葉に置き換えられていると付け加えた。
共和党知事会のエグゼクティブ・ディレクター、サラ・クレイグ氏は、この変更案について「母親にとって不快」と指摘した。
クレイグ氏は声明で、「ウィスコンシン州のトニー・エバース知事の最近の左翼的な提案は、単に感覚がずれているだけでなく、母親にとって不快なものだ。母親であることは、私の生涯で最大の特権だ。もしトニー・エバース知事が母性を『受精した人間』に貶めてしまうなら、私たちの社会は破壊されてしまう」
また、2025―27年予算案の長いメッセージの中に、知事がこの変更をコメントなしで盛り込み、隠そうとしていると非難する者もいた。「母親」を「受精した人」に置き換える提案は、1917ページの文書の1766ページに掲載されている。
トム・ティファニー下院議員(共和党、ウィスコンシン州)はXに「ウィスコンシン州知事のトニー・エバースは、州法を改正し、『母親』という用語を『受精した人』に置き換えようとしている。これはクレイジーというだけでなく、子供を産み育てる女性に対する侮辱だ」と投稿した。
ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の名選手、ブレット・ファーブ氏もXで「ナンセンス」とコメントしている。
LGBTQの擁護者は、2015年に最高裁が同性婚を合法化した判決を受け、州法の性別を特定する文言を書き換え、州法に同性カップルを盛り込むよう各州に働きかけ、「妻」も「夫」も、「母」も「父」もいない夫婦もいると主張している。
エバース氏はこのような反発が起きていることについて公にコメントしていないが、州法から性別を特定する用語を排除しようとするのは今回が初めてではない。
ウィスコンシン・ウォッチは2023年6月の記事で、「エバース氏は過去2回の予算要求で、州法を改正してジェンダーに中立的な用語を取り入れるよう提案したが、共和党が支配する財政合同委員会は、財政政策以外の措置を排除する広範な動議を提起し、この文言を削除した」と指摘している。
トランプ大統領は1月20日の大統領令で、米国の政策として男性と女性の2つの性を認めると宣言したのを皮切りに、連邦政府はトランスジェンダーフレンドリーな用語を削除しようとしている。
エバース氏は先週、555億ドルの予算を発表し、州史上最も「子供に優しい」予算と称した。
同氏は予算メッセージで、「私が提案する予算は、子供に投資し、長い間放置されてきた課題に対処することを優先事項とし、バランスを取るものであり、実質的かつ持続可能な減税を行い、節約できるところは節約する」と述べた。
バイデン政権は、連邦政府から性別を特定する言葉を削除したことで知られ、トランスジェンダーへの差別を排除することを名目に、連邦職員に希望に応じて異性の代名詞を使うよう要求していた。