新教皇、AI革命の可能性に関心

2025年5月13日(火)、バチカンのパウロ6世ホールで国際メディアの面会する教皇レオ14世。(AP Photo/Domenico Stinellis)
By Ryan Lovelace – The Washington Times – Monday, May 12, 2025
新ローマ教皇レオ14世は、人工知能(AI)革命にも意欲的に取り組み、それが「レオ」という名前を選んだ経緯にも関係していることを明らかにした。
教皇は枢機卿会で、教皇名をレオ14世としたのは「教皇レオ13世がその歴史的回勅『レールム・ノヴァールム(新しい事態)』の中で、第1次産業革命の文脈で社会問題を取り上げたことが主な理由だ」と述べた。
教皇は10日、AI革命からも同様の課題が出現するとみていると述べた。
「現代でも教会は、人間の尊厳、正義、労働を守るための新たな挑戦となる、もう一つの産業革命と人工知能分野の発展に関して、その社会的教えの宝庫をすべての人に提供する」
レオ13世は1891年にレールム・ノヴァールムを著した。同書はカトリックの社会的教えについて詳述し、産業革命に関わる懸念に対処し、資本主義と社会主義の行き過ぎを批判した。
レオ14世は8日に選出された後、すぐにカトリック教会がこの新しい技術に関わる問題に取り組むよう呼び掛けた。
チリ出身のフェルナンド・チョマリ枢機卿がカトリック系「アウアー・サンデー・ビジター」誌に語ったところによると、教皇は就任後の非公式の夕食会で、「人工知能、ロボット工学、人間関係」などを含む文化的な変革についての懸念に触れたという。
10日に行われた最初の公式説教で教皇は、宣教は「テクノロジーの進歩、経済的な豊かさ、社会的な成功、政治的な権力、あるいは個人的な快楽など、人々の安心や幸福に寄り添った環境」で行われなければならないと述べた。
教皇は12日、ジャーナリストを前に、AIの発展に対して特別に注意するよう改めて促した。
アウアー・サンデー・ビジターによると、教皇は「私が特に考えているのは、人工知能であり、その計り知れない可能性だ。この責任は、時代と社会での役割に比例して、すべての人に関係する」と述べた。
シカゴ出身の69歳の教皇は、新しい技術を積極的に取り入れているようだ。IT技術を生かして家族とコミュニケーションを取ったり、「ワードル」などのゲームをしたりしているという。
世界中のAI政策を追跡している一部専門家らは、新しいAIツールの出現の中で、教皇が人間と機械の関係について回勅やその他のガイダンスを発表すると予想している。
自律システム企業ユリシーズ・エコシステム・エンジニアリングの創業者ウィル・オブライエン氏は、人間を超える汎用人工知能(AGI)の出現の可能性をめぐる疑問について、カトリック教会は迅速に動く態勢を整えていると述べた。
オブライエン氏はXに、「数学者である教皇レオ14世は、AIに関する回勅を発表し、カトリック教会は数十億ドル規模の投資をAIの安全研究の非営利団体に投じ、AGIとその結果として起こる世界的な変化に対処する権威ある声の一つになる。『データセンターを爆破するかもしれない』という功利主義的で愚かな考え方よりも、はるかに理性的で哲学的に深みのある方法をとるだろう」と投稿した。