米エアフォースワンにカタール機 就役遅れにトランプ氏しびれ切らす

2025年5月2日金曜日、テキサス州サンアントニオのサンアントニオ国際空港で撮影された、カタール王室が使用する飛行機の配色を施したボーイング747。ドナルド・トランプ大統領は今週、4億ドルの飛行機を受け取り、後に大統領図書館に寄贈したいと述べた。(Brandon Lingle/The San Antonio Express-News via AP, File)
By Susan Ferrechio – The Washington Times – Tuesday, May 13, 2025
米ボーイングは、老朽化した大統領専用機「エアフォースワン」の後継機の製造に取り組んできたが、計画は数年にわたって遅れ、巨額の予算超過に陥っている。その一方でトランプ大統領は、中東カタールから豪華なボーイング747を受け取った。
トランプ氏は今週、カタールからこの「空の宮殿」を受け取る計画を発表し、反対に遭っていた。民主党と一部の共和党議員は、4億ドルの飛行機を受け取るのは腐敗の印象を与え、安全保障上の重大な懸念を引き起こすと述べた。
しかし、全くの奇想天外とも言い切れない。
トランプ氏がカタールの申し出を受け入れたのは、ボーイングからの新しい大統領専用機納入が何年も遅れているからだ。同社は整備士を見つけるのに苦労し、機体の内装に携わっていた大手業者との契約を破棄せざるを得なかった。
現在大統領専用機として使用されているB747は、35年以上使用されている。昨年退役し、入れ替わるはずだった。
現在の予測では、2028年か2029年まで準備が整わない可能性がある。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、ボーイング社内では、サプライチェーン(供給網)やその他の問題により、2035年まで納入が遅れる可能性があるとの見方も出ている。
先週行われた議会議事堂での議員との会合で、ボーイングと協力している空軍関係者は、2035年というスケジュールについては確認せず、現行の計画から1、2年短縮し、早ければ2027年の納入を目指していると述べた。
その日程でさえ、確実とは言い難いようだ。
空軍のダーリーン・コステロ次官補代理(調達・技術・兵站担当)は下院議員らに、「その日程は保証できない」と語った。
トランプ氏にとって、カタールからの贈り物は米国にとって莫大な節約になり、後継機の早期納入を意味する。
トランプ氏は、この申し出を見送ることは「愚か」だと述べた。
「無料でジェット機をくれた。私への贈り物ではない。国防総省への贈り物だ」
B747-8型機2機は、次期大統領専用機として10年以上前に納入された。
当初の就役期日を1年過ぎた今、その遅れに多くの非難が集まっている。
先週の下院軍事委員会での証言で、コステロ氏は就役の遅れの原因は「内装納入業者の変更、人員の制約、配線の設計」にあると指摘した。
会計検査院(GAO)は2022年7月の報告書で、当時、計画が予定より2年遅れたのは、ボーイングが「内装設備」の納入業者との契約を、業績不振と深刻な財務問題を理由に解約したためであることを明らかにした。ボーイングは、内装を完成させるために新たな業者を探さなければならなくなり、そのためにスケジュールが1年延びた。さらに、両機の配線をすべてやり直す必要があったことや、セキュリティーチェックをパスできる適格な作業員を見つけるのが困難だったことなどから、さらなる遅れが生じた。
ボーイングは、航空機整備士の労働力不足を挙げ、GAOは、航空機の改造に必要な熟練工のセキュリティークリアランス承認率が「計画より低い」ことを遅れの理由としている。
大統領がかかわる計画であるため、作業員は高度なセキュリティーチェックに合格しなければならない。
ボーイングはワシントン・タイムズの問い合わせには回答しなかった。
業界関係者の中には、納期が遅れたことについてトランプ氏を非難する者もいる。最初の任期中、トランプ氏はボーイングとの契約を再交渉し、40億ドル台半ばだったコストを39億ドルに引き下げた。
コスト削減の一部は、新しい機体を製造する代わりに古い機体を2機購入したことによる。
これらは、廃業したロシアの航空会社トランスアエロ向けのものだったため、大統領に仕え、さまざまな脅威から機体を守る防衛システムを装備するために、大幅で時間のかかる改修が必要となる。
GAOの報告によると、1機あたり200マイル(320キロ)の配線が必要で、これは標準的なB747のほぼ2倍である。
コステロ氏は下院議員らに、空軍はボーイングと協力して納期を早めるよう努力していると述べた。同氏は、空軍がセキュリティー要件の一部を緩和し、ボーイングがより多くの整備士を雇用できるようにしたと述べた。空軍は、2027年の納入を可能にするために、さらに条件を緩和することを検討している。
ボーイングは、トランプ氏が1期目に確保した39億ドルの契約が継続しており、コスト超過で20億ドル以上を失っている。
コステロ氏は、「ホワイトハウスと協力して、これらの航空機の能力的な観点から何が許容範囲なのかについて検討しており、それに応じて日程を調整する予定だ」と述べた。
空軍とボーイングからの不透明なスケジュールに直面したトランプ氏は、老朽化したエアフォースワンと並行して使用できるよう、年内にカタール機を改造するよう防衛企業のL3ハリスに依頼した。
トランプ氏は記者団に対し、カタール製航空機は大統領専用機になると語った。