議会襲撃事件巡り恩赦 法的・社会的に依然、問題抱える元被告ら

(2025年5月27日)

2021年1月6日、ワシントンの連邦議会議事堂で集会を行うドナルド・トランプ大統領の支持者たち。その4年後、冬の嵐が首都を襲う中、議員たちは再び連邦議会議事堂に集まり、今度は抗議や挑戦、暴力はなく、何重にも張り巡らされた黒いセキュリティーフェンスの向こう側で、カマラ・ハリス副大統領に対するトランプ大統領の2024年の当選を承認した。(AP Photo/Jose Luis Magana)

By Alex Swoyer – The Washington Times – Wednesday, May 21, 2025

 2021年1月6日の議会襲撃事件の元被告らは、トランプ大統領が約1600人に恩赦を与えてから4カ月以上たった今でも、事件に関連する問題から解放されていない。

 代理人を務めたクリストファー・マッキアローリ氏によれば、保護観察の終了、控訴の取り消し、財産の返還などに関する正式な手続きのほとんどが解決したにもかかわらず、逮捕による影響は一部でまだ残っている。

 マッキアローリ氏によれば、多くの被告が、旅行時の保安検査が強化され、大幅な遅延を引き起こしたり、フライトのチェックインができなくなったりした。

 また、銃器の携帯、仕事や賃貸の申し込みの際の身元調査や、警察の立ち入り検査で問題があった元被告もいるという。

 シルバーマン・トンプソン・サルトキン・ホワイト法律事務所のパートナーであるマッキアローリ氏は、「恩赦が発表されたときに、前科が刑事データベースで適切に修正されていたかどうかがはっきりしていない」と述べた。

 さらに、告訴が再提訴される可能性を考慮し、最終的な判断を下していない裁判官もいる。

 トランプ氏は1月20日、大統領就任のわずか数時間後に大統領令を出し、被告らを恩赦した。14人は減刑され、有罪判決を受けていた者は完全恩赦を受けた。事件は、議会による2000年の選挙結果の認定を阻止しようとしたものだった。

 大統領令はまた、司法省に対し、襲撃事件の被告人に対する係争中の事件について「訴訟の再提起を禁止する」よう指示した。

 ミシシッピ州の弁護士テッド・クーパーシュタイン氏は、司法省からの却下要請を判事が拒否したため、それを不服として提訴する可能性があったという依頼人から相談を受けたことを明らかにした。

 同氏はワシントン・タイムズ紙に電子メールで「時効期間満了となる2026年1月6日以前に再起訴される可能性が残されていた。その可能性は低く、依頼人はこれ以上、公然となることを避けたいと希望していたので、控訴は見送った。控訴したとしても、それは、確定的な効力を持って訴訟を取り下げる検察からの要請を連邦地裁判事が却下できるかどうかという興味深い学術的な法的問題でしかなかったはずだ」と述べた。

 クーパーシュタイン氏によると、少なくとも3人の連邦判事(いずれもオバマ大統領任命のターニャ・チュトカン、ベリル・ハウエルの両判事、クリントン大統領任命のポール・フリードマン判事)が、1月6日に係属中の事件を「確定的な効力を持って」却下することを決定したという。

 クーパーシュタイン氏は、「各被告が再起訴される可能性は完全に『ゼロ』にすべきだ。時効は5年のままなので、2026年1月6日になれば、被告は再起訴による刑事責任の危険から逃れられるはずだ。司法省と(連邦検事局が)依然、この大統領の支配下にあればの話だが」と述べた。

 マッキアローリ氏によると、裁判官らは、訴訟を確定的に却下することを拒否し、最終的な解決になることを避けたようだ。

 「裁判官らはイデオロギーに反発しており、棄却は政治的判断であり、人違いや必要な証拠開示がなされなかったからだと主張している。人違いや情報開示の問題であれば、通常は確定的に却下される」

 ワシントン・タイムズ紙は司法省にコメントを求めた。

 一方、連邦犯罪で告訴された他の抗議デモ参加者に関する新たな判決メモの中にも、恩赦に関する言及が出始めている。

 連邦公選弁護人のユージン・オーム氏は今月初めに提出した書類で、昨年パレスチナの抗議デモで米国旗を燃やした依頼人マイケル・スノー氏には、すでに服役しており、刑期としてはそれで十分だと主張した。

 スノー氏は、軽犯罪の器物損壊罪(およそ525ドル相当の国旗)の一件について有罪を認めた。

 2024年7月24日の抗議デモでは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相によるホワイトハウス訪問に抗議するため、ワシントンのユニオン駅の外に親パレスチナのデモ隊が集まった。デモ隊は旗を燃やし、建造物にスプレーで落書きをし、警官隊ともみ合いになり、騒乱が勃発した。

 司法省によると、被害と後始末に国立公園局は1100万ドル以上を費やしたと推定されている。

 オーム氏は、1月6日の暴動参加者らは釈放されており、スノー氏のガザ抗議活動への参加は実刑に値しないと主張した。

 オーム氏は裁判所に提出した文書で、「しかし、ガザの抗議行動は概して平和的だった。しかし、一般的な抑止力ということを考えれば、器物損壊から扇動に至るまで、あらゆる政治的抗議行動を行った4000人近くが最近赦免された事実を無視することはできない」と主張している。

 「処罰を完全に免れた者もいる。政治的抗議行動中の犯罪に対する一般的抑止力について言うと、行政府、ひいては裁判所が国民にどのようなメッセージを送ることになるのか、歴史的には明確でない。そのメッセージが何であろうと、1月6日の恩赦の文脈では、どのような判決も不当な量刑格差を生む可能性が高い」

 スノー氏は結局、4カ月の保護観察と社会奉仕活動を受けることになった。

 マッキアローリ氏はワシントン・タイムズの取材に電子メールで、1月6日から得た教訓の一つは、警察と検察は、どのような政治的主張を持っているかによって暴動に対し違った対処をしてはならないということだと答えた。

 「また、1月6日の被告を暴力的な過激派として扱うことができないのと同様、ユダヤ人学生をターゲットにした大学での暴力的な抗議活動や、2020年の春から夏にかけての都市部での全国的な騒乱の参加者らを起訴することはできない」

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