アジア各地で脅かされる信仰 宗教会議に世界から指導者300人超-韓国

世界平和統一家庭連合のエントランス。(AP Photo/Shuji Kajiyama, File)
By Andrew Salmon – The Washington Times – Thursday, August 7, 2025
【ソウル(韓国)】韓国ソウルで7日、信仰、文化、地理の壁を越えて宗教の自由と普遍的価値を促進するための会議が4日間の日程で開幕した。世界中から300人を超える宗教指導者が参加した。
「アジア各地で信仰を持つ者が現実の脅威に直面している」―国連の総合協議資格を持つ非政府組織(NGO)で、このイベントの主催者であるUPFのタジ・ハマド会長はこう訴えた。
ミャンマーではイスラム系少数民族ロヒンギャが虐殺され、民族浄化が行われている。中国では宗教の自由が大幅に制限され、特に併合されたチベット地域で顕著になっている。
開催地ソウルから北へ約65キロの北朝鮮では、聖書の配布さえ犯罪とされている。
スーダンのイスラム教徒であるハマド氏は、「ただ会議を開催するために形式的に集まったわけではない。必要に迫られてここに集まった。神聖なものが脅かされている。だからこそ集まった。それを共有する精神的な遺産が脅かされ、それを実践する自由が脅かされている」と述べた。
こうした課題は誰の目にも明らかだが、集会に参加した指導者らは、現代の日常の生活の中にも、精神性を損なう要因があると訴えた。
米国人キリスト教徒のジョージ・スターリングス・ジュニア大司教は、「今日、文明は歴史的かつ重要な分岐点に立っている。科学技術の発展と制度の高度化によって社会の組織化は進んでいるが、宗教と精神性のための空間は次第に狭まっている」と述べた。
参加者らは、宗教は古いが、現代社会でも価値を持つと強調した。
スターリング師は、「法律が社会の枠組みを提供してきたのに対し、宗教は社会の指針となる精神的、道徳的羅針盤の役割を果たしてきた。宗教の自由は、個人の尊厳と良心、コミュニティーの文化的アイデンティティーを支える根本的な価値だ」と強調した。
出席者は、3項目の宣言に合意し、記者会見で発表した。
第1項では、宗教の自由は「人類の普遍的かつ不可侵の権利であり、例外なく保障されなければならない」ものであり、各国の憲法と国際的規範に従って守られるべきであるとの前提に立ち、そのために全員一致で祈りを捧げることに合意した。
第2項では、指導者らは信仰のいかんを問わず、「最高レベルの真実、良心、精神性を基に」互いに連帯することを約束した。
第3項では、これらの価値は宗教的伝統に由来し、「人類の倫理的基盤を成す」という前提に立ち、「真実、愛、正義、平和の普遍的価値を保護する」ことを宣言した。
UPFは韓鶴子総裁と亡き夫、文鮮明師によって設立された。夫妻は世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)を設立した。
UPFと同様、家庭連合は一貫して宗教的統一を追求してきたが、新興宗教として偏見の目で見られてきた。家庭連合はワシントン・タイムズを所有している。
日本では、宗教の自由が侵害され、教団は解散の危機にさらされ、韓国では捜査を受けている。
日本政府当局は、家庭連合が「霊感商法」で高価な物品を販売して信者から搾取し、信者に多額の献金を強要していると非難している。教団側は不正行為は行っていないと主張、政府が批判している高額献金はもう実施されていない。
米国務省の「2023年国際宗教の自由報告書」は、日本がいかなる刑法にも違反していない家庭連合の解散命令請求を出したことを受けて、「規範から逸脱した」と指摘した。
教団関係者によれば、UPFは政治的スケープゴートにされ、反共であることから左翼団体の標的になっているという。
韓国では、教団幹部らが、弾劾により失職した尹錫悦前大統領の金建希夫人をめぐる疑惑の渦中にある。
金氏は6日に最初の尋問を受けた。捜査当局は7日に同氏の拘束を要請しており、請求が受理されるかどうかは来週決定する。
金氏は、政財界への便宜や夫の就任式への招待と引き換えに、シャーマンを介して元家庭連合幹部から約5万ドル相当の高級宝飾品やシャネル製品を受け取ったとされている。
金氏は政治任用への介入と株価操作という、より深刻な容疑に直面しているが、過去にも高価な物品を受け取った疑惑があることから家庭連合を巡る疑惑は一層強い関心を集めている。
尹氏在職中に取り沙汰されたスキャンダルは今も忘れられてはいない。夫による北朝鮮との関係改善への取り組みを望む人物から賄賂として提供されたディオールの高級ハンドバッグを金氏が受け取ったとされるものだ。
「ディオール・ゲート」は発覚すると、すぐに全国に拡散され、尹氏は大統領拒否権を行使して夫人に対する野党の調査を阻止した。
メディアと国民は、大統領一家がシャーマンと関係があったという疑惑にも怒っている。
シャーマンは韓国の古い霊的伝統を代表する存在だが、偏見の目にさらされ、政財界のリーダーに不当な影響力を行使しているという疑惑が絶えない。
これらの要因が、疑惑を一層扇動的なものにしている。これまでのところ、捜査対象は2023年に追放された家庭連合の元幹部1人だ。教団トップの韓氏にまで疑惑が及ぶかどうかは不明だ。
ソウルの北東に位置する加平郡の丘にある韓氏の住居と宗教施設は、7月18日に大勢の警官と捜査官による家宅捜索を受けた。韓氏は渡航禁止処分を受けている。
6月に就任した李在明大統領の新政権によって、捜査の対象となっている宗教団体は家庭連合だけではない。
7月18日には、ソウルの汝矣島にある純福音教会が、特別検察の家宅捜索を受けた。牧師が2023年に起きた海兵隊員事故死の隠蔽疑惑に関与した人物とつながりがあるのではないかという容疑だ。
両宗教団体は謝罪を求め、宗教指導者らは7日の会議で家宅捜索を非難した。
会議に参加した米国のナンシー・ロザリオ主教は、この会議について「礼拝所に対する脅威、迫害、冒涜を受けることなく、継続的に世界平和を追求していく運動を拡大するための…韓鶴子師による明確な呼びかけ」と説明した。
会議に参加した有力黒人聖職者らのうちの一人、スターリング師は、会議は重要な原則を打ち出したが、行動を確実にするためにはさらなる取り組みが必要だと訴えた。
「私たちは行動計画を立てなければならない。口先だけではどうにもならない。信仰を実践しなければならない」
同師は、宗教指導者らが自らを奮い立たせるよう呼びかけた。
「もし私たちの教会の宗教的指導者らが、宗教迫害がその醜い頭をもたげている状況に対して何も行動できないというのなら、それは霊的に無力というしかない」と訴えるとともに、宣言の3項目を推進するために、草の根の信徒らの中に基盤を築き運動を推進していくよう呼び掛けた。