役に立たない学歴 文化系大卒が増加し収入減

卒業式に出席する卒業生たち。ファイル写真提供:EduLife Photos via Shutterstock。
By Sean Salai – The Washington Times – Thursday, October 30, 2025
教育アナリストたちは、「グラドフレーション(卒業インフレ)」を深刻な問題として挙げている。文化系学部の卒業生が多すぎるために高収入の仕事が少なくなり、4年制大学の学位の価値が低下している。
「グラドフレーションとは、大卒や学位取得者が増加し、就職市場でその資格の相対的価値が低下する傾向を指す」と、ノースカロライナ州を拠点とするK12(幼稚園から高校まで)の非組合員教育者の団体、アメリカン・ティーチャーズ・アライアンスの事務局長、エイミー・マーシャル氏は言う。
マーシャル氏は、25歳以上の成人のうち、少なくとも学士号を持つ人の割合が、1970年の11%から2010年に28.2%に上昇したことを示す国勢調査局の数字を指摘した。
国勢調査局は、2024年には被雇用者の44.5%が学士以上の学位を取得し、過去最高を記録すると推定していた。
同時に、短期で資格が取得できる配管工、機械工、技術者が不足している。
初級レベルの仕事の募集に「3~5年の経験、大卒資格不要」と記載する雇用主が増えている。ジョージタウン大学の教育労働力センターによると、2031年までの年間求人の約3分の1は、資格は必要だが学位は必要ないという。
ニューヨーク大学でマーケティングを教えるアンジェリカ・ジャンチャンダーニ氏は「グラドフレーションは単に学位保持者が多すぎるということだけではない。(高等教育で学ぶ内容と労働市場のニーズ、企業が求めるスキルの間の)整合性の問題でもある」と言う。
新卒者の約半数が「不完全雇用」に陥っており、大学を卒業してから1年後には、複数の高卒レベルの仕事に就き、普通以下の賃金で働いている。
しかし、科学技術系の学位保持者は依然として高収入を得ている。
シアトルを拠点とし、AI就活支援ツールを運営するHuntr(ハンター)は、4月から6月にかけて掲載された25万件以上の求人情報を分析した結果、データ分析、ITサポート、ソフトウエアエンジニアリングの仕事で、学士号があれば年収13万8000ドルを得られる可能性があることを明らかにした。
ハイテク業界の平均初任給は、修士号取得者で15万7000ドル、博士号取得者で16万5000ドルに上昇した。一方、高卒者の平均初任給は7万8000ドルだった。
ハンターの提携・運営責任者であるサム・ライト氏は、「私が思うに、グラドフレーションは業界や学位に依存するものだ」と言う。
多くの大学が英語、歴史、哲学などの人文科学の学部専攻を廃止し、科学技術プログラムを強化している。
トランプ政権は最近、卒業生が平均的な高卒者よりも多く稼いでいることを示せない学位プログラムの学生への融資を打ち切った。
ロヨラ大学ニューオーリンズ校の自由市場経済学者ウォルター・ブロック氏は、文学、歴史、哲学といった〈専攻者が少ないブティック型の学科〉が絶滅の危機にあると述べた。学生たちが「就職につながらない」と考えるようになったためだ。
ブロック氏は電子メールで「最悪なのは、フェミニスト、黒人、クィア(性的少数派)に関する『研究』だ。政治学、人類学、社会学もよくない」と指摘した。
大学教育の価値を疑問視
近年、生活費が高騰しているため、大学教育の価値を疑問視する国民が増えていることが、複数の調査で明らかになっている。
ピュー・リサーチ・センターは今月、最新の調査で、成人の55%が、米国の大学は学生を高収入の仕事に就かせる準備が「まあまあできている」または「できていない」と評価していると報告した。
対照的に、2014年にピューが行った同様の調査では、大学での学歴が就職に「まったく」あるいは「あまり」役立たなかったと答えた成人はわずか16%だった。
公立フロリダ・アトランティック大学の経済学者で副学部長のシリ・タージェセン氏は、インフレ調整後の平均的な連邦学生債務は2007年以来41%増加し、全国で総額1兆7000億ドルに達していると指摘した。
タージェセン氏の試算によれば、学生ローンを組んだ2020年の大学卒業生は、インフレ調整後の2023年換算で、平均4万3000ドルを超える借金を抱えている。
タージェセン氏は電子メールで「グラドフレーションは実際にあちこちで起きていて、特定の部門で特に蔓延している」と指摘した。
労働市場のニーズ
労働市場、高等教育の関係者の中には、次のように指摘する人もいる。多くの学生は、将来的に収入の低い学位のために大学に通いながら、結局卒業できず、数千ドルもの学生ローンだけが残ることになる。その結果、雇用主は求人票から「学位必須」の条件を外す圧力を感じ、これが「グラドフレーション」をさらに悪化させているという。
ペンシルベニア大学のジョナサン・ジマーマン教授(教育史)は、大学生の約40%が学位を取得できていないと推定している。
ジマーマン氏は「もっと多くの学生が大学を卒業できるよう、大学での指導や助言を改善するための総力を挙げた取り組みが必要だ」と語った。
ニューヨークを拠点とする求人検索エンジン、メタイントロのレイシー・カエラニ最高経営責任者(CEO)は、若い人たちは、同じ学位を取得する学生が多く、卒業後に競争が激しくなるような専攻を選ぶことには慎重になるべきだと述べた。
カエラニ氏は、賃金プレミアムが縮小、新卒者の失業率は高く、ホワイトカラー職の学位取得要件を撤廃する雇用主が急増していると指摘した。
カエラニ氏は電子メールで「需要に比例せずに供給だけが大幅に増加すれば、その価値は当然、下がる」と指摘した。
一部の労働市場専門家は、大学は「統計学入門」などの一般的な講義をやめ、成長分野のスキルに直結した、インターンシップ重視の職種に対応する授業やキャリア支援へ重点を移すべきだと主張している。