トランプ氏の経済的長期戦

(2025年12月20日)

ドナルド・トランプ大統領と経済(イラスト:リナス・ガルシス/ワシントン・タイムズ紙)

By Editorial Board – The Washington Times – Friday, December 12, 2025

 多くの米国人にとって、手頃な価格が得られないという問題は決して「でっち上げ」とは思えない。株価が上昇しても、住宅市場から締め出され、次の家賃の支払いに苦しむ人々にとってはほとんど慰めにならない。ドナルド・トランプ大統領は、この状況が近いうちに変わることに賭けている。

 ガソリン価格はわずかに下がり、スーパーで高値に驚くことも少なくなりつつある。農務省の経済学者たちによれば、「2026年には、食料品全体の価格上昇率は歴史的な平均成長率よりも緩やかになると予想されている」という。

 しかし、それでも人工知能が自分たちの仕事を奪うのではないかという不安を和らげることはない。米民間雇用サービス会社ADPの最新雇用報告によると、民間部門は今年後半に3万2千人の雇用を削減した。連邦準備制度によれば、大手求人サイトの「インディード」に掲載された求人件数は5%減少している。

 トランプ氏はその認識に反論している。「民主党は『手頃さ、手頃さ』と口にするのが大好きだが、具体的には何も語らない。高い物価をもたらしたのは彼らだ。物価を下げているのは私だ」と、9日にポリティコ紙のインタビューで語った。

 長期的な見通しは明るい。政権は外国に対して圧力をかけ、数兆ドル規模の投資を米国に呼び込んでいる。「アメリカ・ファースト(米国第一)」政策は国内製造業の回帰を促し、より多くの雇用機会につながっている。

 トランプ氏は、過去の政権下でより有利な条件を求めて海外に拠点を移した半導体メーカーについて言及。「われわれは半導体市場を維持できたはずだ。インテルやその他の企業を含め、100%の市場を持っていた」と述べた。

 トランプ氏の第1期目に、台湾の最新コンピューターチップメーカーTSMCはアリゾナ州に工場を建設することに合意した。新施設での生産は昨年本格化し、2028年には第2の先端工場が稼働予定だ。さらに数年後には第3工場も計画されている。

 それは1650億ドルの投資による成果だ。6千の雇用を生み、携帯電話や自動車、そしてスマート機能を備えたあらゆる製品を支える重要な部品を供給することになる。

 安価な電力は大きな売りである。米国で工場を稼働させる費用は、平均して欧州が支払う額の半分だ。というのも欧州はいまだに中世時代の風車のような風力発電や、雲がかかると止まってしまう太陽光パネルへの無謀な執着を捨てていないからである。

 トランプ氏は前任者が残したグリーン・ニュー・ディール関連のプロジェクトを中止した。政権のエネルギー長官、クリス・ライト氏は「掘れ、ベイビー、掘れ」と言い、運輸長官ショーン・ダフィーは「電気自動車狂騒曲の終わり」を宣言した。

 左派の気候ビジネスが一気に後退していることで、組み立てや輸送のコストは安くなる。消費者は冬に暖房を、夏に冷房を使う際にローンを組む必要がなくなるだろう。

 トランプ氏の鋭いビジネス感覚は、重要なのは民主党政権の失政が残した尾を引く混乱ではなく、こうした指標だと理解している。しかし問題は、国民が自分たちの懐が実際に温かくなるのを感じるまでは「黄金時代」が始まったと信じない点である。

 指標は十分に速くは改善しておらず、有権者は世論調査で中間選挙で共和党に不満をぶつけるだろうと答えている。トランプ氏とその支持者は、好景気とはウォール街の繁栄以上の意味があることを認める必要がある。

 選挙シーズンが近づく中、発信をより慎重にし、幾つかの短期的な成果を示すことが熱気を高めるのに役立つだろう。

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