パキスタンのインド機撃墜に沸く中国 原因は「技術的優位でない」指摘も

2025年2月5日水曜日、中国北京の人民大会堂での歓迎式典で、儀仗兵の前を通り過ぎる中国の習近平国家主席(左)とパキスタンのアシフ・アリ・ザルダリ大統領。(Wu Hao/Pool Photo via AP)
By Andrew Salmon – The Washington Times – Updated: 10:50 a.m. on Wednesday, May 21, 2025
インドとパキスタンの最近の紛争で、どちらの国が「勝利」したかを決めるのは容易ではない。しかし中国は、パキスタンに売却した装備が大勝利を収めたと、内外へのアピールに余念がない。
警鐘が鳴り響いている。
元海軍特殊部隊員のティム・シーヒー上院議員(共和党、モンタナ州)は、最近のワシントン・タイムズのイベントで、「パキスタンは、インドが使用した主に欧米の技術に対して、中国の技術でこれまでのところすべての交戦に勝利しているように見える。これはわれわれにとって好ましいことではない」と述べた。
しかし、ある専門家は、初期の分析は単純化されていると指摘する。それによると、インドにはロシアの戦闘機やS400防空システムもあり、これらは効果的だったようだ。
この専門家は、パキスタンが主張する、中国製の装備を搭載した欧米の最新鋭戦闘機の撃墜は、技術的な優位性よりも、むしろ事態が急速にエスカレートした結果である可能性を示唆した。
いずれにせよ、パキスタンが中国製の戦闘機と空対空ミサイルによって、フランスの軍需企業、ダッソーのラファール3機を撃墜したとされる事件は、多くの人々を驚かせた。撃墜は大々的に報じられ、中国の兵器への評価が上がった。
中国軍は1988年以来、実戦の経験がなく、中国の軍需企業は製品の能力が戦闘で実証済みと主張することができなかった。それが今や可能になっている。
核保有国同士の4日間にわたる衝突は終わったが、情報筋によれば、識者は注視すべきだという。つまり、インドは今後、同様の攻撃モデルを使う可能性が高い。
亜大陸の空での戦い
4月22日、インドが支配するカシミール地方でイスラム過激派が26人を殺害した後、インドはパキスタンがテロリストとつながっていると非難した。パキスタンはそれを否定した。
5月7日、インドはパキスタン国内のテロ組織関連の9カ所を空爆した。パキスタンはこれに対し、自国の戦闘機が5、6機のインド軍戦闘機(フランス製とロシア製)を撃墜したと主張した。
インドが損失について沈黙するなか、メディアへの複数のリークによれば、インドの3機が撃墜された可能性が高い。インドのソーシャルメディアに掲載された残骸の画像は、少なくともインド軍のラファール1機が墜落されたことを示唆している。
火砲、無人機、ミサイルを使った国境を越えた衝突は、米国の介入により5月10日、双方が引き下がり、最悪の事態は避けられた。
空中戦は、双方の戦闘機が自国の領空からスタンドオフ兵器を発射して行われたものであり、そのため、墜落した機体の破片や脱出したパイロットは自国領に落下した。パキスタンは、墜落したインド機の識別可能な残骸を示すことができていない。
パキスタンは、長距離空対空ミサイル「霹靂15」で武装した中国製戦闘機「殲10Cフューリアス・ドラゴン」などを配備していた。
殲10Cもラファールも第4世代戦闘機であり、米国のF35や中国の殲20のような第5世代戦闘機ほどのステルス性を備えていない。だが、殲10、ラファールも、ユーロファイター、ロシアのミグ29、米国のF16などの第4世代機と同様、高性能機だ。
地上管制、訓練、パイロットの技量にとどまらず、中国の装備が優れていたのか、それともインドが戦闘に慎重だったことが紛争初期のパキスタンの成功を可能にしたのかという見方もある。
防衛問題に詳しいある情報筋は、取材許可がないとして匿名で、機体やアビオニクス(航空電子機器)、ミサイルの射程といった技術的な優位性よりも、エスカレーションのスピードが大きな要因になっている可能性を示唆した。
「パキスタンはインド機に発砲し、奇襲をかけたようだ。作戦の初期段階では、インド側はテロリストの訓練キャンプを標的にし、軍を標的とはしていなかった」
それに加えて、インドがパキスタンの防空網を制圧しなかったことは、交戦規定が厳格に適用されていたことを示している。
この情報筋は、「追跡したパキスタンの航空機に発砲してはいけないと指示されていたのか。もしそうだとすれば、パキスタンは交戦規定を引き上げることで勝利したことになる」と述べた。
また、それでも「殲10がラファールに発砲して撃墜したのであれば、非常に効果的な兵器であることの証拠だ」と強調した。
シンクタンク「パシフィック・フォーラム」の安全保障専門家アレックス・ニール氏も同様の考えを持っている。「興味深かったのは、双方のエスカレーションの管理の仕方だ」
インド軍はパキスタン軍と交戦中、攻撃を拡大し、空軍基地や首都イスラマバードに近いパキスタン軍司令部のあるラワルピンディを攻撃した。その後戦闘は停止した。
中国にとっては「分水嶺」
中国は世界最大の軍隊を擁し、巨大な軍産複合体を保有している。また、データサイト「スタティスタ」によれば、2020年から2024年にかけての武器輸出は、米国、フランス、ロシアに次いで世界第4位だ。
しかし、1979年にベトナムへの介入に失敗し、戦術的な不足を露呈して以来、戦争はしていない。1988年に南シナ海で空と海の限定的な衝突に勝利して以来、怒りに任せて発砲したことはない。
スタティスタによれば、中国の武器売却額は世界のわずか5.9%で、米国の43%にはるかに及ばない理由の一端はここにある。
米国、欧州、イラン、ロシア、北朝鮮の武器メーカーでさえ、非公開の議論や武器市場、パンフレットのコピーで、自国の装備は「実戦でテスト済み」だと主張できる。
中国はこれができなかった。しかし、今はできる。
国営メディア「環球時報」は19日、殲10は「国家の誇り」と指摘。航空宇宙、量子コンピューター、高速鉄道の技術革新と、それ以前の中国のローテク輸出を比較し、「世界は
「メイド・イン・チャイナ 」から「インテリジェント・マニュファクチャリング・イン・チャイナ 」への転換を目撃したと主張した。
ニール氏は「これは中国にとって一つの分水嶺となる。中国の軍需産業が、西側諸国が生産したものを打ち負かすことができるものを生産したのだから。もちろん、指揮統制や訓練、その他もろもろの面で注意すべき点はある。中国は、世界の防衛市場で真に競争力のある製品を生産していることを証明できた」と述べた。
ニール氏は、中国は兵器をパッケージで輸出することがよくあり、パキスタン空軍が中国のパイロットとともに訓練を行っていることを指摘した。中国が今回の勝利をどこまで宣伝し、利用するかは不明だという。
「中国の防衛産業にとっては勝利だ。世界中の多くの潜在的な買い手が求めている信頼性と効率性を示すことができる。この可能性を市場でどこまで具体化するかは、最終的には、中央軍事委員会と政治局常務委員会次第だ」
インド海軍のある幹部は、地上からの支援を伴わない戦術的な空爆は、将来パキスタン関連のテロが発生した場合の対応のモデルとなりうると述べた。
この情報筋は、インドとパキスタンの空での衝突が「ニューノーマル(新常態)」になる可能性があることを認めた。一方、戦闘データと「センサー・フュージョン」(さまざまな情報を統合し、一つの視覚情報として提供する能力)は、台湾のような中国軍と対峙する他の国にとって重要な教訓になりうると述べた。