イスラエル批判の総代、卒業式出席が禁止に-MIT

(2025年6月3日)

2024年5月3日金曜日、マサチューセッツ工科大学(マサチューセッツ州ケンブリッジ)キャンパス内の親パレスチナ派の学生キャンプに集まる学生たち。親イスラエル派はその近くで反対デモを行った。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、米国の大学キャンパスでの抗議デモや国際刑事裁判所の検察官を含め、イスラエルやその政策に対する批判者を反ユダヤ主義として繰り返し非難している。(AP Photo/Charles Krupa)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, June 2, 2025

 マサチューセッツ工科大学(MIT)は、卒業式前の式典でイスラエル批判の演説を行ったとして、卒業生総代の卒業式出席を禁止した。大学側はこの学生の発言の内容について、学校当局を欺いたと主張している。

 「パレスチナ青年運動」によるとこの学生はメグハ・ベムリさんで、2023年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエル市民を虐殺した事件後、イスラエルとの関係を断たなかったことで大学は「ジェノサイド(集団殺害)」に手を貸したと非難した。この事件はイスラエルがハマス攻撃を開始するきっかけとなった。

 卒業ガウンの上に赤いケフィヤを巻いたベムリさんは「今、私たちは卒業を控え、人生を歩み始める準備をしているが、ガザには大学が一つも残っていない。私たちはイスラエルがパレスチナを地球上から消し去ろうとしているのを見ており、MITがそれに手を貸していることは恥だ」と述べた。

 5月29日に学部生と大学院生を対象とした卒業前イベント「OneMIT」でのこの発言を受け、大学は30日の学部卒業式への出席を禁止した。

 MITの広報担当者は声明で「MITの2025年卒業式に関する活動中に、29日のOneMITで卒業生が述べた演説は、事前に提出された内容とは異なるものだった。その人物は昨日の学部学位授与式で予定されていた役割があったが、その日のイベントへの参加を許可しない旨を通知した」と述べた。

 声明はさらに「MITは表現の自由を支持するが、この決定を維持する。これは、個人が卒業式主催者を欺く発言を故意に繰り返し、ステージから抗議を主導し、重要な学内の式典を妨害したためだ」としている。

 ボストン・グローブ紙の報道によると、MITの学長補佐メアリー・ノーブルズ氏はメールでベムリさんに「卒業式への参加は『特権』だ」と伝えたという。

 ノーブルズ氏は「あなたは卒業式主催者を故意に繰り返し欺いた。表現の自由の権利は認めるものの、ステージから抗議を主導し、重要な学内式典を妨害したあなたの判断は、MITのキャンパス内での表現に関する時間、場所、方法の規則に違反する行為だった」と指摘している。

 ノーブルズ氏の30日の卒業式でのスピーチはヤジにかき消され、同氏は群衆を非難した。

ボストン・ドットコムに投稿された動画によるとノーブルズ氏は、「悪いけれども、あなた方がメッセージを伝える権利は尊重するが、時間や場所が適切ではない。きょうは卒業生と彼らの家族のための日だ。彼らを尊重し、スピーチを続けさせてほしい」と訴えた。

スピーチは、一部の出席者から拍手喝采を浴びた。

 MITユダヤ人同窓生同盟(JAA)は、「ベムリ氏は、式典を乗っ取る機会を利用し、演説の全内容をイスラエルを非難し、中傷し、ハマスの思想に基づくプロパガンダを宣伝することに充てた」と非難した。

 MIT-JAAは30日、声明で「昨日の式典を反逆的な学生が乗っ取るのを阻止できなかったMITのリーダーシップと行政に深く失望している。卒業式は、学生たちの成果を祝うためのものだった」と訴えた。

 一方、パレスチナ青年運動は、MITがベムリさんを卒業式から排除したのは「勇気と原則に則った主張への報復」だと非難した。

 卒業したMITの博士課程学生、ガイ・ジスキン氏はX(旧ツイッター)に、卒業式から排除するだけでは不十分だと投稿した。

 「彼女とその『同志』は、私たちと私たちの家族にとって大切な卒業式を台無しにした。彼女が受けたのは、2回目の式典への参加禁止だけだ。笑い話のような懲罰だ。学位を剥奪すべきだ」

 卒業式を巡って反イスラエルの騒動に直面したのはMITだけではない。ハーバード神学大学院(HDS)のある卒業生は、イスラエル人学生を暴行した容疑で起訴された同級生エロム・テッティータマクロさんを称賛する演説を行った。

 この学生は29日の卒業式でパレスチナの国旗を掲げながら「私がきょうパレスチナのことを話すのは、大規模な残虐行為のせいだけでなく、私たちが共犯でもあるからだ」と述べた。

 HDSの広報担当者はこのスピーチについて、講演者が準備していた原稿から逸脱していたと述べた。

 広報担当者はニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」に「講演内容が変わることはスタッフは事前に知らされていなかった。HDSもハーバード大学も、学生が提出、承認された講演内容から逸脱することを容認しない。この式典で講演者が表明した見解や意見は、個人のものであり、HDSまたはハーバード大学の公式な政策や立場を反映するものではない」と話した。

 トランプ政権の反ユダヤ主義対策合同タスクフォースは4月、ハーバード大学が提示された改革を受け入れなかったため、同大学への22億ドルの多年度助成金と6000万ドルの契約を凍結し、これを受けて大学は提訴した。

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