AI解雇、顧客から不満の声 再雇用の企業が急増

(2026年3月15日)

2025年5月20日(火)、カリフォルニア州マウンテンビューで開催されたGoogle I/Oイベントで講演するアルファベットのCEO、サンダー・ピチャイ氏。(AP通信/ジェフ・チウ、資料写真)

By Sean Salai – The Washington Times – Tuesday, March 10, 2026

 電子商取引やフィンテック企業の一部は、顧客からの不満の声が相次いだことを受け、AI(人工知能)ボットに置き換えていたコンテンツライターやソフトウエアエンジニア、カスタマーサービス担当者の一部をひそかに再雇用し始めている。

 IBM、セールスフォース、グーグル、メタといった企業は昨年末以降、生成AIサービスの運用を支援するため、業務内容を見直した上で一定数の従業員を追加雇用している。ただし具体的な人数は公表していない。

 またマーケティング担当者、コピーライター、コンテンツモデレーター(投稿監視担当者)、人事管理担当者などの求人も一部で復活しており、企業が、以前廃止していた職種の補充を進めている状況がうかがえる。

 米テキサス州を拠点とするコンサルタントで、メタとアマゾンで人事担当幹部を務めたジェシカ・スミス氏は次のように語る。

 「一部の企業は、『AIは業務を支援できる』という段階から、短期間で『AIは人間に代わりうる』という結論へと進んでしまった。今は、人間が依然として重要な役割を果たしうる領域があることを理解し始め、調整している」

 AI関連の解雇は組織再編や生産性向上の一環として行われることが多く、チャットボットに取って代わられた職に戻った労働者の正確な全国統計は存在しない。

 それでも、企業向けIT助言会社ガートナーは、AIを理由に人員削減を行った企業の半数が、年内に同様の職種で人材を再雇用すると予測している。

 米ワイオミング大学ビジネス学部長で経済学者のスコット・ビューリエ氏は「一部の企業は先走り過ぎた」と指摘する。「現実には、多くの業務が依然として判断力やエスカレーション対応(上位部署への対応移行)、品質管理、人間同士のやり取りを必要としている」

 企業の中には元従業員を呼び戻して再訓練する例もある。また別の企業では、人材を再び募集し直し、対外AIサービスを改善できる人材を探している。

 ニューヨークに拠点を置く求人検索エンジン「メタイントロ」のレイシー・カエラニ最高経営責任者(CEO)は、企業が半年から1年前に人員を削減した職種と似た初級職を再び募集する動きが急増していると指摘する。

 「顧客は、コンテンツが単なるAIの粗雑な文章なのかどうか、電話の相手がボットなのかどうかを見抜く。多くの企業で顧客からの苦情が増えている」

 求人サイト「フレックスジョブズ」のキャリア専門家キース・スペンサー氏は、過去3年間の人員削減によって、複雑な顧客対応に精通していた従業員を失った結果、「共感の欠如」が生じたと指摘する。

 「場合によっては、こうした役割を廃止した後の少人数のチームでは、従来の品質を維持したり、管理したり、迅速に顧客対応したりできなくなることもあることが分かった」

 シカゴのコンサルティング会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、2025年にAIが原因とされる人員削減は約5万5000人に達した。これは全国で行われた約120万人の解雇の4.5%に当たる。

 一方、再雇用の動きも広がっている。

 人材開発会社キャリアマインズが先月行った調査では、AIを理由に従業員を解雇した企業の約3分の1が、25%から50%を再び雇用していた。

 さらに35.6%の企業は、AIで解雇した従業員の半数以上を再雇用した。この中の3社に1社では、解雇によって節約できた額よりも人員補充に多くの費用がかかった。

 米ユタ州のソフトウエア企業ドーモの最高デザイン責任者クリス・ウィリス氏は次のように語る。「単に人間を置き換えるのではなく、人間とAIの協働が重要になる。そのためには最初から意図的に仕組みとして組み込む必要がある」

 人材派遣会社アットワークのジェイソン・レベラント社長も、企業は過去1年でAIの限界を学んだと語る。「AIは日常的な業務には対応できても、『人間同士の信頼』が必要な場面にはまだ十分対応できない」

 同氏はこう付け加える。「AIによる顧客サービスは経営側から見れば良いアイデアだ。しかし消費者からは不評だ」

 技術調査会社フォレスター・リサーチは2026年版報告書「仕事の未来」で、雇用主の55%がAIを理由とした解雇を後悔していると推定している。

 その結果、多くの専門家は、今後、成功する企業は部門を丸ごと廃止するのではなく、より少人数のチームがAIと協働して対外サービスを提供する形になると予測している。

 テキサス州オースティンのAIソフト企業イグナイトテックのエリック・ボーンCEOは、「AIは仕事をこなす能力を十分持っている。企業側はそんなことはないと言う。問題があるのは企業の方だ」と語った。

 アナリストの多くは、企業と労働者がこの新技術に適応するには、まだ時間がかかるとの見方で一致している。

 シアトルのAI履歴書作成サービス「ハントル」が昨年行った調査では、求職者の13%がAIによって仕事を失ったと回答した一方、約7割はAIが自分の仕事を脅かすことはないと考えていた。

 ハントルの提携・運営責任者サム・ライト氏は、「この結果は、私たちが今起きている変化に十分備えられていないことを示している」と語った。

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