CIA、AIを駆使し中国に対抗
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, February 24, 2021
中央情報局(CIA)の次期長官に指名されているウィリアム・バーンズ氏は、人口知能(AI)技術を導入し、中国人スパイによる大規模で、攻撃的な活動に対抗するというCIAの計画を引き続き推進することを表明した。
バーンズ氏は24日、上院情報特別委員会の指名承認公聴会に参加した。委員会は事前に用意した書面で、「さまざまな面での中国情報機関の優位性を取り払い、CIA職員の能力向上と活用を進めるために」AIを「直ちに導入する」という計画に関して、バーンズ氏に質問した。
委員会はさらに、CIAのAI導入は不可欠だと主張。その理由として、中国が「米国の技術的優位と、原則に則った技術の利用を脅かす技術的全体主義」という脅威になっていることを挙げた。
バーンズ氏は、中国はAI、機械学習(ML)に注力し、情報収集と防諜の能力強化を進めていると指摘した。AIは、大量のデータを収集し、コンピューターとソフトウエアでそのデータを活用する。
バーンズ氏は書面での回答で、「(CIAは)情報を集め、分析し、拡散する方法を変革することでこの問題を解決しなければならない。私は、CIAがこの目標を達成するために(AI/ML)戦略を立て、国内の有力AI/ML企業と密接に協力し、今後(情報機関)全体へのAI/ML技術の導入を促進すると理解している」と答えた。
委員らは、CIAが新しい技術に関して伝統的に秘匿と安全性を優先してきたことから、AIの導入が遅れてきたと懸念を表明した。
バージニア大学法科大学院のアシュレー・ディークス教授は、中国はあらゆる情報を収集することに意欲的に取り組んでおり、そのために米国の情報活動が難しくなっていると指摘した。
ディークス氏はブログ「ローフェア」で「中国政府が、街中のすべての人を認識でき、人の行き来を容易に把握できるなら、外国の工作員が国内で活動することは一層困難になる」と指摘した。
「米国など西側情報機関の工作員は(電子機器で)追跡しやすく、中国政府は、西側情報機関と協力している可能性のある中国国民を見つけ出すことも可能になる。恐らく、機械学習とパターン検出の技術を使って生活のパターンを割り出している。中国の顔認証への取り組みによって、防諜能力は向上している」
書面での質問は、「ユビキタス・テクニカル・サベイランス(UTS)」として知られる、海外での人的情報収集活動への新たな脅威についても明らかにしている。
これには、米国の政府、民間のネットワークから中国のような国が入手した大量の情報も含まれる。米当局者によると、この情報を使って中国の情報機関は、米国などの工作員の身元を割り出しているという。
中国は、2013年に始めたサイバー攻撃で、行政管理予算局(OMB)の連邦政府職員に関する重要な情報を盗み出した。大規模な情報窃取は医療保険のアンセム社でも起きており、何百万人もの米国民の情報が盗み出されている。
バーンズ氏は、CIA長官になれば、「多方面から、統合された、包括的な取り組み」を開始し、「CIA挙げて、(ハイテク監視機器による)脅威に対処できるようにする」と述べている。
「私は、政府内、同盟国のカウンターパートと連絡を取り合い、戦略、解決策を共有して敵があらゆる場所、方法で集めた情報が悪用されないよう対処するつもりだ。それには、CIAが、今持っているスパイのノウハウを生かし、高度な技術を生み出し、手に入れたすべての情報を適切に生かすことが必要だ」