米、ロシア間で緊張高まる中、ケリー気候変動特使が訪ロ
By David R. Sands – The Washington Times – Friday, July 9, 2021
気候問題に関するバイデン大統領の最高顧問、ジョン・ケリー氏が、来週モスクワを訪れ、ロシア高官と会談する。ロシア政府が9日、確認した。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、モスクワでのブリーフィングで、ケリー前国務長官が、3日間の訪問の一環として、12日にかつて外交トップ同士だったロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談すると述べた。
バイデン政権は、気候変動問題を、さまざまな分野で米国と衝突してきたロシアや中国など敵対国との間で共通点を見いだせる数少ない課題の一つと考えている。バイデン政権発足後、米政府高官として初めて中国を訪問したケリー氏は、4月に中国の高官と2日間にわたって気候変動対策に関する非公開の会談を行った。
また、バイデン氏は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を決定したことを、トランプ政権の政策や外交との決別を示す重要な指標としてアピールしている。
ザハロワ氏によると、ケリー、ラブロフ両氏は、11月にスコットランドのグラスゴーで開催される世界気候サミットに向けて「共同行動の見通し」を検討するほか、北極の環境問題についても話し合う。ロシアは現在、急速に開発が進む北極圏の気候や安全保障問題を扱う8カ国からなる北極評議会の議長国になっている。
ロシアのプーチン大統領は、今春のバイデン大統領のオンラインでの気候サミットに参加したが、欧米の政府関係者は、温室効果ガス削減のためのロシアの目標が不十分だと指摘し、強化を求めている。米国務省は、8日の短い声明の中で、ケリー氏のロシア訪問を明らかにしていた。
ケリー氏は、気候問題に関する大統領特使として、今年ロシアを訪問する最高位の米政府高官となる。
ウクライナ問題、エネルギー政策をめぐって米ロ間の分断が深まり、米国の公的機関や民間企業を標的とし、ロシアが発信源とみられている身代金要求ウイルス「ランサムウエア」攻撃が急増する中での訪ロとなる。