米国防総省高官、対中情報競争で企業や大学との協力不可欠と主張

(2022年1月8日)

 

2021年10月19日、中国東部の浙江省杭州で開催されたアリババグループ主催の年次クラウドサービス技術フォーラム「アプサラ会議」で、アリババの社内半導体部門「Tヘッド」が開発したARM構造のサーバープロセッサ「Yitian 710」を見るマスク姿の来場者たち。(Chinatopix via AP)

By Ryan Lovelace – The Washington Times – Wednesday, January 5, 2022

 米国防総省のデータ最高責任者、デービッド・スパーク氏は、米政府が、中国との情報競争に勝つには、学界、実業界との協力関係を築かなければならないと主張した。

 米中両国政府は、一般的に入手可能な情報から人工衛星や電気信号から集めた情報まであらゆるデータを収集している。しかし、中国は、実業界からもデータを入手できる。企業と共産党との間の障壁を取り除く政策を取っているからだ。

 バイデン政権は、企業と政府との間で新たな協力を築き、米国のサイバー防衛を強化しようとしてきたが、米政府と実業界の提携は実現していない。

 スパーク氏は5日、ジョージ・ワシントン大学メディア・国家安全保障計画で記者団に対し、米国はまだ、中国との競争に負けていないと指摘した。

 「中国が必ずしも米国に対し有利だとは思っていない。しかし、実業界、クラウドを提供する有力企業との協力を続け、学界と共に実業界との協力が国家安全保障にとって不可欠だという認識を持たなければ、また、協力を一層深化させ、その能力を効果的に生かせなければ、いずれ競争から脱落すると考えている」

 スパーク氏は、米国は速く、正確に意思決定することに注力しているが、それは、全体主義支配の中国が、米国のような自由社会では受け入れられることのない方法で、国民から情報を入手しているからだと指摘した。

 2020年に国防総省のデータ最高責任者に就任したスパーク氏は、政府は、優位性を高めるために、ただデータを集めるだけでなく、データの質を重視する方向へと移行していると述べた。

 「敵国を見ると、大量のデータを利用している民間部門と同等の能力を持ち、それらを生かして意思決定での優位性を生み出している。これまでのように、私たちも同様の取り組みをしていかなければ、後れを取り、能力という点から見て影が薄くなってしまう。敵国は、データを生かして意思決定での優位性につなげているからだ」

 国防総省内には、中国との技術競争に関してさらに悲観的な見方もある。9月に退職した空軍の元ソフトウェア最高責任者、ニコラス・チェイラン氏は、米国は人工知能(AI)とサイバーでの競争で敗北へと向かっていると警告、挽回する時間はまだあると訴えた。

 チェイラン氏は、米国のハイテク部門が米政府との協力を回避していることで、中国が競争で優位に立っていると非難した。

 バイデン政権で連邦政府は、悪化したIT企業との関係改善に取り組んできた。両者の関係は、国家安全保障局(NSA)の契約職員だったエドワード・スノーデン容疑者が、政府が民間部門を利用して偵察を行っていたという極秘情報を公表したことで悪化していた。

 サイバー・インフラ安全局(CISA)が主導して昨年、ハッカーやサイバー攻撃との戦いで政府がIT企業と協力することを可能にする「統合サイバー防衛協力(JCDC)」構想が策定された。

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