国連の将来
By Editorial Board – The Washington Times – Thursday, March 3, 2022
ロシアは2月25日、国連安全保障理事会の常任理事国として、ウクライナ侵攻の停止を求める決議案に拒否権を行使した。ウクライナのゼレンスキー大統領はその後、グテレス国連事務総長に、安保理におけるロシアの投票権を剥奪するよう要請したところ、当然のことながら、ロシアの常任理事国の資格を取り消すべきだと主張する者も出てきた。
それに異論はないが、ロシアが国連憲章を修正して自らの除籍を認めない限り、これは法的に不可能であり、重大な疑問が生じる。ロシアのプーチン大統領が現在しているような、国際法違反、戦争犯罪、無辜(むこ)の民間人の殺害などを、主要加盟国が犯すのを止めさせる力がないとしたら、国連は何の役に立つのであろうか。
安保理は、国連の中でも最も強力な部門である。193カ国すべてが宣言のような、拘束力のない決議に投票する「総会」と異なり、安保理は、1995年にボスニアで、2004年にハイチで国連が行ったように、介入するための多国籍軍を結成し、配備するといった拘束力のある権限を有している。
ロシアのウクライナ侵攻のような行動を、国際制度の理想主義者は最も恐れていた。今回の行動は、万能の拒否権を持つ一常任理事国が、世界が注視する白昼に、残忍な戦争犯罪を行って、他国の領土保全を侵犯するという国際連合憲章2条4項違反を犯したものなのである。
この恐ろしい現実から目をそらし、格好をつけるために加盟国は、国連総会緊急特別会合を開催するための、「いちかばちか」の投票を行って切り抜けた。この取り繕いの「いちかばちか」の決議によって、国連は実際にロシアの拒否権を剥奪し、他の192カ国がロシアのウクライナでの行動を非難できるようになると信じるように仕向けた。
実際、達成された動きのすべては、ロシアが拒否権を持つ安保理から、そのような拒否権が存在しない「国連総会」の1部門に投票権を移しただけだった。これは、賢明に聞こえるかもしれないが、この動きの欠点は、安保理と違って、総会は、宣言的声明を出す以上の力は持たないということである。
ちょっとかじれるだけでも、ないよりましだ、歯形は一時的なもので、永久的な傷跡を残さないし、非常任理事国メンバーの選択の幻想を永続させることができるではないか、と主張する者も多い。簡単に言えば、この数十年のサイクルでは、ほとんどの国が、中国やロシアにしたい放題させる制度やプロセスを取り続けてきた。その間、グローバル社会もそれでよしとしているようにも見える。
この2カ国は歴史の流れに乗っていたのかもしれないが、両国とも、他国に対して積極的に行動し、治外法権的支配を推し進めてきたので、世界は劇的な変化を遂げた。
ロシアのウクライナ侵攻は、国連憲章の現在の構造が、現在の国際システムにおいては、問題があることを証明している。そのうち、国際社会は現状打開のための会合を開くかもしれない。しかし、問題があることを認めることが第一歩である――しかも、それは、いかに困難であっても、自由世界が、今や、たどらなければならない道のりである。