検察、クリントン氏はFBIを「道具」として使った
By Jeff Mordock – The Washington Times – Tuesday, May 17, 2022
検察は、ジョン・ダーラム特別検察官のロシア捜査を審理する刑事裁判の初日となる17日、ヒラリー・クリントン陣営の弁護士がドナルド・トランプ氏に対する醜聞を使って「FBI(連邦捜査局)を利用し、操作し」、2016年の大統領選前に「オクトーバーサプライズ」を演出したと主張した。
検察は、弁護士のマイケル・サスマン被告が2016年9月、ドナルド・トランプ陣営を妨害する目的でFBI当局を欺くことを意図していたと述べた。
連邦検察官のブリテン・ショー氏は冒頭陳述で、「証拠は、被告のうそがすべて、大きな計画の一部であったことを明らかにする。それは大統領選の前夜にオクトーバーサプライズを起こす計画、つまりFBIを利用し操る計画だった。この計画は、ほぼ成功した」と述べた。
サスマン被告は、FBIのトランプ・ロシア共謀の捜査の起源を探るダーラム氏の一審で、連邦捜査官にうそをついた罪に問われている。
同被告は、トランプ陣営とロシアのアルファ銀行との間の秘密通信を詳述した二つの白書と二つのUSBメモリーを証拠としてFBI幹部に提示した際、クリントン陣営の代理人であり、技術幹部であったことを隠したとして起訴されている。これらの証拠は虚偽であることがすでに分かっている。
検察によると、サスマン被告はFBIのジェームズ・ベーカー弁護士との会談を設定したことで、クリントン陣営に金銭を請求したという。
ショー氏はワシントンの裁判所で、サスマン被告がFBIとのつながりを利用してトランプ氏への捜査のきっかけを作り、その話をメディアに売り込み、FBIを「政治的道具」として利用したと陪審員らに語った。
サスマン氏の弁護人マイケル・ボズワース氏は、依頼人は善良な市民であり、サイバーセキュリティーの専門家ロドニー・ジョフ氏からの確かな情報に基づいて行動したと述べた。
同氏によると、ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ氏とロシアを結び付けるとされるインターネット上のやり取りに基づく記事を掲載する予定だったという。サスマン被告は陪審員に、ニューヨーク・タイムズの記事に不意を突かれないように、FBIに知らせたと語った。
FBIの捜査官はサスマン被告の情報について調べ、捜査する価値はないと結論づけた。ロバート・モラー特別検察官もこの主張の信頼性を否定した。捜査当局によると、トランプ陣営とアルファ銀行との間の電子メールはスパムマーケティングメールであり、秘密の通信ではなかったという。
サイバーセキュリティーの調査チームを統括するFBIのスコット・ヘルマン捜査官は陪審員に対し、サスマン被告の主張を調べた結果、信憑性に疑問があると結論づけたと話した。彼は、ロシアは抜け目がなく、米国の大統領候補と露骨に接触することはないと述べた。
「(サスマン被告とジョフ氏が)導き出した結論から見て、彼らは公平でもなければ客観的でもない。想定しなければならないことがあまりにも広範囲に及んでいて、意味がなかった」
ヘルマン氏は、データがサスマン被告から提供されたものであることを知らず、ダーラム氏のチームから連絡を受けるまでその名前を知らなかったという。
ヘルマン氏によると、同氏のチームが捜査の開始を断った後、FBIの防諜部門はトランプ氏とアルファ銀行との関係の捜査を進めた。彼は陪審員に対し、自分のチームがこの告発は無意味だと結論づけた後、防諜部門が告発を進めるのは「奇妙」だと述べた。
当時、反トランプ派のFBI捜査官ピーター・ストローク氏がFBIの防諜部門を率いていたが、ヘルマン氏は、彼がこの捜査を推進したかどうかは明言しなかった。
サスマン被告の弁護人は、トランプ氏とアルファ銀行を結びつける証拠はなかったというFBIの結論は、検察側の理論に反すると述べた。
彼は冒頭陳述で「クリントン陣営は、FBIとの面会を全く望んでいなかった。彼にその権限を与えず、指示もせず、してほしいとも思っていなかった」と述べた。
ボズワース氏は陪審員に「そして、何が起こっただろう。FBIは事実上、これを封印した。これは、クリントン陣営が望んだこととは真逆だ。彼らはトランプ氏を傷つけ、自分たちを助けるような大きな記事を望んでいた。FBIはそれを封じた」と語った。
ボズワース氏はまた、FBIはサスマン被告の顧客が誰であるかを知らなかったという検察側の主張にも反論した。彼は陪審員に、サスマン被告を民主党の弁護士としたメモが「いくつも見られる」FBIの内部文書を見せた。
「今言っていることではなく、彼らがやったことでFBIを判断してほしい」
ショー氏は、サスマン被告は、FBIを利用してニュースメディアでトランプ氏を中傷し、それによって大統領選でクリントン夫人を押し上げようとしていたと反論した。
ショー氏は陪審員に、「FBIが私たちの機関であるからこそ、私たちはここにいる。誰のためにも政治的な道具として使われるべきではない。共和党でもない。民主党でもない。誰でもない」と語った。
ショー氏は「ベーカー氏とFBIが事件を起こし、この深刻な疑惑にFBIの資源を投入したことが分かるはずだ。サーバーは犯罪を反映したものではなく、国家安全保障を脅かすものでもなかった」と述べた。
弁護団も冒頭陳述でFBIのベーカー氏を非難した。彼らは、サスマン被告がアルファ銀行の話を持ち込んだとき、ベーカー氏がクリントン陣営の弁護士だったことをサスマン被告は明らかにしたと述べた。
ボズワース氏によると、ベーカー氏は選挙後の2017年3月の司法省の会合で、クリントン陣営との関係を明らかにした。同氏によると、ベーカー氏は会議の中で司法省の職員にその関係を伝えたという。
ボズワース氏は「これは重要な会議だった。気軽な懇親会ではなかった。FBIの最高幹部による司法省へのブリーフィングだった」と述べた。
この裁判の陪審員選定は16日に終了した。陪審員12人と補欠4人の内訳は、白人女性8人、黒人女性3人、白人男性2人、黒人男性2人、アジア系男性1人。その中には、連邦議会図書館や財務省などの連邦機関に勤めている人もいる。
2週間続くとみられるこの裁判は、ダーラム氏と3年にわたる調査にとって初めてのものだ。
トランプ氏をはじめとする保守派は、3件の起訴と1件の有罪答弁という成果を上げたダーラム氏の仕事ぶりを評価している。
FBIの弁護士だったケビン・クラインスミス氏は2020年、トランプ陣営顧問のカーター・ページ氏に対する監視令状を申請するために使用した電子メールを改ざんしたことについて有罪を認めた。ダーラム氏が起こした事件では執行猶予が言い渡された。
元英スパイのクリストファー・スティール氏による反トランプ文書の重要な情報源であるイゴール・ダンチェンコ被告も、ダーラム氏の捜査を受けて罪に問われている。彼は、トランプ氏とロシアを結びつける未検証で卑猥な情報を集めた文書の情報をどこでどのように入手したかについて、FBIにうそをついた罪に問われている。
保守派の中には、ダーラム氏が捜査の進展を遅らせ、重要でない案件に時間を浪費していると批判する者もいる。3年の歳月をかけたのだから、執行猶予が付くような軽い有罪答弁1件だけでいいはずはないと不満の声を上げている。