政府と山火事の闘い
By Editorial Board – The Washington Times – Wednesday, August 10, 2022
米国の西部が、再び燃え上がっている。地元の住民にとって、町や都市を一望する乾き切った丘が赤々と照らし出される光景は、熱く、乾燥した夏で知られるこの地域では、季節の風物詩だ。連邦議会は重たい腰を上げて、救済策を講じようとしている。しかし、今のところ、米政府の知恵は山火事には到底太刀打ちできていない。
全米省庁合同火災センター(NIFC)によると、この夏、4万件近くの火災がすでに、580万エーカー(約2万3000平方キロ)以上を焼き尽くした。これは、2015年以来、最大であり、年平均の370万エーカーをはるかに上回っている。
カリフォルニア州は、国の西部の地域形成を担っているにもかかわらず、山火事が起こりやすいために、常に注目の的になっている。目下、四つの火災が「黄金の州」(カリフォルニア州のニックネーム)を燃やしており、ヨセミテ国立公園の雄大なセコイアの木々も危機にさらされた。しかし、驚くべきことに、現在、最も多くの大規模な山火事に見舞われている州は、肌寒い遠隔の地、アラスカ州で、例年よりも暖かく、雨が多かった春に続いて27件発生している。
「米干ばつモニター」によると、今年の夏は、カリフォルニア州を含む国の半分の地域が、干ばつに見舞われているという。このような異常気象は、通常、気候変動によるものとされるが、気候変動の兆候として本当に認識可能なのは、それが長期間続く場合のみに限られる。直観に反して、米海洋大気庁は、1901年から2019年にわたる期間中、一つを除く48の隣接州のすべての地域で、10年当たりの平均降水量が増加していると伝えている。
外れ値を示しているのは南西部で、その期間に降水量が10年ごとに100分の1イン チ 減少したことが記録されている。その結果、ニューメキシコ州のサンタフェ国有林で34万エーカーに及ぶ大規模火災が発生したが、幸いなことに、現在は、ほぼ鎮火している。
7月下旬に下院は、「山火事対策兼干ばつ回復法案」を218票対199票という僅差で可決した。特筆すべきことに、消防士の給与用に12億ドルの財政支出が承認されている。しかし、この法案には、最低賃金を20ドルにすることが盛り込まれ、さらに後の法律作成時に、資金が十分に充当できないことが明らかになり、消防士の一時解雇を招きかねないと主張する共和党員が現れた。そのため、大部分の共和党議員が反対した。共和党はまた、長年にわたって、怠慢により森林の管理が行われていなかったため、樹木の間伐や乾燥した下草の除去などの作業が不十分である事態の対策費として、さらに5億ドルを要求した。西部が燃えている間、この法律は、上院によって慎重に審議されたスケジュールに従って、注目される日が来ることを待っている。
一方、荒野の環境は、気候に関連するあらゆることに加えて、狂気の人間の行動よってもたらされるという差し迫った課題に直面している。ユタ州では最近、当局が一人のハイカーを逮捕し、建造物等以外放火の容疑で起訴した。報道によると、その男はクモを見つけて、ライターで燃やそうとして山火事を起こしてしまったのだという。
また、別の男も同様に、オレゴン州南西部の人里離れた森に放火した疑いで起訴された。彼は地元の人々に捕まり、勧善懲悪の原理に従って、その男自身が燃やしたかもしれない木々の一つに縛り付けられた。
首都ワシントンでは、政府の役人らが、安逸をむさぼり、山火事は依然として燃え続けている。一方で、「母なる自然」は、彼らには太刀打ちできない方法で、森林の管理に、彼女なりの采配を振っている。