ロシア偵察機、9月11日にアラスカ付近の防空識別圏侵入
By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, September 12, 2022
米加両国軍は12日、ロシア軍が、2001年に同時多発テロが発生した9月11日、アラスカ付近に2機の偵察機を派遣したことを明らかにした。
北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は、ロシア軍機がアラスカとカナダの防空識別圏(ADIZ)に入ったと短い声明の中で明らかにした。過去にロシア軍は、米国との関係が緊張した際に、ADIZに戦闘機を飛行させて、米軍を牽制したことがある。
2015年には、ツポレフ95ベア爆撃機2機が7月4日の祝日にカリフォルニア州沿岸から40マイル(約64㌔)以内を飛行し、米軍機が緊急発進した。
当時の防衛当局によると、ロシア機の搭乗員の1人が「おはよう米国のパイロットたちよ、7月4日の独立記念日に挨拶に来たよ」という内容のメッセージを無線で送ったという。
サンフランシスコの北、メンドシーノ郡の海岸近くを飛行した爆撃機を、2機のF15戦闘機が追跡した。
7月4日の独立記念日にロシア軍機が飛行したのはこれが2回目。2012年には2機のベア爆撃機がカリフォルニア州付近のADIZに侵入した。
NORADは、今回のADIZ侵入をそれほど重要視していない。
「ロシア機は国際空域に留まり、米国やカナダの領空には入っていない。北米のADIZでの最近のロシアの活動は、脅威とは見なされておらず、挑発的な活動とも見なされていない」
カナダ空軍のアレクサンドラ・ヘジュドク大佐(NORAD広報担当)は、NATOが迎撃機を派遣してロシア機を追跡し、その地域から護衛したと述べたが、「作戦上の安全を守るため」詳細な説明は避けた。
NORADによると、ADIZに入った外国軍機は手順に従って監視され、空域から出るまでエスコートされる。過去にNORADは、同様のADIZの飛行について「不安定化につながる可能性がある」と指摘したことがある。
NORADは、「人工衛星、地上レーダー、空中レーダー、戦闘機からなる重層的な防衛ネットワークを展開させ、航空機を追跡・識別し、適切な行動を指示している。北米と北極圏の主権を守るため、さまざまな対応策を講じる用意がある」としている。
ADIZは、米国とカナダの海岸から幅200マイル(約320㌔)の区域に設置され、外国航空機の侵入がないか常に監視されている。
前回、ロシア航空機がADIZに侵入したのは7月初旬で、NORADは、これらの飛行は米国とカナダの防空能力をテストするためだと指摘している。この2機はNORADによってイリューシン38対潜哨戒機であることが確認されている。
グレン・バンハーク空軍大将は、7月の侵入は、過去に起きたような核搭載爆撃機ではないため、過去のロシア機による侵入ほど挑発的ではないと述べた。
今回の飛行は、ウクライナでのロシアの軍事行動と、西側がウクライナ軍を強力に支援していることをめぐってロシアと米国、北大西洋条約機構(NATO)との緊張が高まっている中で行われた。
昨年、2機のイリューシン38が侵入した際、米軍はF22迎撃戦闘機で追跡した。
バイデン政権は、ロシアのADIZへの侵入について、軍による詳細な情報提供を制限しているようだ。
ロシアはこれまで、定期的にツポレフ95爆撃機をアラスカとカナダ付近で飛行させている。
イリューシン38は、偵察や対潜水艦作戦ができる哨戒機である。
バンハーク氏は7月に記者団に対し、ロシアが戦略的メッセージを送るために「対潜哨戒機を使っていることは間違いない」と述べた。
バンハーク氏は7月のイリューシン38の飛行について「しかし、ロシア側が思っているようなことはこちら側の領域では起きていない。そのため、ロシア側にとっては飛行を実施しただけになっていると思う」と語った。