コロナ規制で10代の脳に変化
By Tom Howell Jr. – The Washington Times – Thursday, December 1, 2022
新型コロナウイルスのパンデミックによって、思春期の若者の脳が物理的に影響を受けている可能性があることが、スタンフォード大学の研究者らが1日に発表した研究報告から明らかになった。
研究者らは、パンデミックとそれに伴う行動制限を経験した人の脳は、通常よりも老化が早まるのではないかと指摘している。
このような「脳年齢」の加速は通常、暴力やネグレクトなど、日常的な困難を経験した子供に起こる。2020年、コロナ禍の中で不安やうつの報告が増加したが、スタンフォード大の研究は、物理的な変化も発生している可能性を示している。
「バイオロジカル・サイカイアトリー:グローバル・オープン・サイエンス」で発表されたこの研究論文の主執筆者で心理学教授のイアン・ゴトリブ氏によると、「世界の研究から、パンデミックが若者の精神衛生に悪影響を及ぼしたことはすでに明らかになっているが、脳の中で物理的に何が起きているのかについては分かっていない」。
研究者らによると、脳が思春期、10代初期に変化することはよくある。特に、記憶と感情をコントロールする海馬と偏桃体では変化がよく起きる。認知制御と「実行機能」を扱う大脳皮質の組織は薄くなる。
スタンフォード大の研究者らは、パンデミックの前と最中に撮った163人の子供のMRI(磁気共鳴画像装置)画像を見て、ロックダウン(封鎖)を経験した子供の脳の成長のプロセスが加速したと結論付けている。
2020~2021年の感染ピークは、特に若い人々にとって困難な時期だった。リモート学習という学業上の困難を抱える一方で、学校は閉鎖され、友達との交流ができず、団体でのスポーツもできなくなった。
ゴトリブ氏は、「パンデミック前と比較して、閉鎖後の子供は、内にこもる精神衛生上の問題が強まっただけでなく、皮質が薄くなり、海馬と偏桃体の体積が増し、脳年齢が進んでいた」と指摘した。
暴力やネグレクトなどで脳の老化が急速に進んだ人々は、その後、精神衛生上の問題を抱える。スタンフォード大の研究者らは、パンデミックを経験した子供が同様の問題を抱えるようになるかどうかは分からないとしている。
また、これらの変化が恒久的なものなのかどうかは分からず、実年齢が、脳年齢に「追い付いていく」のかもしれないとしている。
研究では、この子供を10代後半、成人初期まで追跡調査し、脳年齢の加速の長期的な影響を解明する計画だ。同時に、子供の精神衛生を調査し、新型コロナに感染した子供と感染しなかった子供の間の違いについても調査する。
スタンフォード大の研究者らは、新型コロナは世界中の人々に影響を及ぼしているため、比較できる対照群が存在せず、脳の変化は数世代にわたる可能性があるとしている。