ついに核融合が実現
By Editorial Board – The Washington Times – Thursday, December 15, 2022
太陽の内部で起こっている核反応、核融合が、地球上で達成された。人類に無限のクリーンエネルギーを供給する核融合は、単なるゲームチェンジャーになるだけでなく、世界を変容させる可能性を秘めている。これが現実になるとすれば、それは、グローバリストの熱望に「よる」ものではなく、むしろ、「にも関わらず」である。
火曜日、米エネルギー省のグランホルム長官は、ワシントンで行われた記者会見で、核融合反応を生み出すための何十年にもわたる努力が、ついに報われたと表明。「これは、21世紀における最も素晴らしい偉業の一つだ」と述べた。
この飛躍的発見は、カリフォルニア州にあるエネルギー省のローレンス・リバモア国立研究所で行われた。研究者は、水素を入れたカプセルの中に、レーザー光線を照射した。内部の原子は、星の中心部を超える温度に達し、粒子は融合し、プラズマに変換され、ヘリウムを生成した。驚くべきことに、そこで生成されるエネルギーは、ヘリウムを生成するために使われるエネルギーを上回る。二酸化炭素はまったく発生せず、放射性物質も残らない。
科学者らは、この画期的な業績は、最初のステップにすぎず、完成までには数十年もかかる可能性があることを認めている。核融合エネルギーが広く利用できるようになる日は、排出物を生み出す化石燃料の終焉(しゅうえん)と、クリーンエネルギー時代の開始を画する約束の日となる。
これは、米国にとって誇らしい瞬間である。ただし、例外が一つある。民主党は、オバマ派のラーム・エマニエル氏の言葉を借りれば「重大な危機を軽視することはない」という原則を重視している。気候変動への恐怖はまさにこの「重大な危機」であって、それ故、バイデン大統領のアジェンダの重大な部分を占める。クリーンエネルギーを究めれば、人間が引き起こした地球温暖化は止まり、世界の指導者が作成した「大いなるリセット」計画は無用となる。
「進歩主義者ら」は、そのような言い方を一蹴するが、化石燃料による温暖化ガス排出と気候変動に関連があるとされ、不安が広がったことで、世界がいっそう不自由で、規制された方向へ進んだことは、ほとんど疑いの余地がない。バイデン氏は8月、7400億㌦のインフレ削減法案に署名し、それを「史上最大の気候変動法案」と呼んだ。11月に開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に出席した彼は、国際気候プロジェクトに対する援助額を4倍の110億㌦に増やした。
核融合によって、人間が引き起こした地球温暖化に起因する、地球の存続に関わる脅威の解決へと大きく前進すれば、バイデン氏と彼の仲間の気候変動日和見主義者によって推進された代替エネルギーは、自動車が町に転がり込んできたときの馬蹄(ばてい)鍛冶屋のように、歴史の傍観者に追いやられるであろう。
環境保護団体グリーンピースのエネルギー専門家ヤン・ハベルカンプ氏はインディペンデント紙に次のように語っている。「私たちは、原則として、テクノロジーに反対したことはないが、核を導入した途端、コストが上昇し、変革の速度が落ち始めることははっきりしている。気候変動は相変わらず、ますます現実問題になっているのに、今、私たちには、どうすることもできないのは、まさに、こういうことだ」
気候の終末論者や、核の否定論者が、世界的な(カーボンニュートラルに向けた産業、社会、生活の大刷新)「グリーン」リセットの幻想を打ち砕く恐れのある事態に反発することはあり得る。しかし、その他の人類にとって核融合は、夢の実現への希望となる。