「ゼロ炭素政策」とガスレンジ
By Editorial Board – The Washington Times – Wednesday, January 11, 2023
お節介焼きのバイデン大統領は、台所の料理に関連するあらゆることが気に入らないようだ。ガス関連の汚染物質が呼吸器系に問題を引き起こす可能性があることを示唆した研究に基づいて、天然ガスを使って、直火焼きしたり、焼き色を付けたり、オーブンなどで焼いたりする新しいガスレンジが、禁止されるかもしれない事態が起きている。
過去2年間、国民は、化石燃料をめぐる連邦政府の闘いの真っただ中に引きずり込まれていたが、だまされはしない。まだ表沙汰になっていないものの、ガスレンジを禁止するかもしれないということは、明らかに、バイデン氏の唱える「(温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする)ゼロ炭素」の未来に向けてやろうとしている愚かなテコ入れへの新たなワンステップだ。
提案された禁止は、危険な製品から公衆を保護し、製品の安全基準推進の任務を負っている「消費者製品安全委員会」がする仕事だ。同委は、米国のおよそ35%を占めるレンジに照準を合わせて、1世紀以上にわたる長期間、何らかの形で見過ごされてきた、その潜在的な健康被害の存在を探り当てたと手柄を自任した。リチャード・トルムカ委員は、この提案を最初に報じたブルームバーグ・ニュースに「これは、表に出ていない危険だ。どのような選択肢でも検討する用意がある。安全であると言い切れない製品は禁止できる」と語った
天然ガスの屋内燃焼の健康への影響に関する懸念は、「環境問題研究と公衆衛生誌」に掲載された研究のメタアナリシス(複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること)から出てきた。それは、使用されたレンジの有病率を小児喘息(ぜんそく)の発生率と比較して、その結果を次のようにまとめている。「現在、米国で見られる小児喘息の12.7%が、ガスレンジの使用が原因であることが分かった」
国民は、「子供のガスレンジ調理への暴露は、タバコの煙の暴露などの他の危険因子と関連がない」とする研究者の主張を問題として取り上げるべきだ。簡単に言えば、彼らは、ガス調理の健康への影響は、小児喘息の他の原因と、統計的に区別できると主張しているのだ。この研究の客観性も疑わしい。研究者の一人が環境団体RMIに雇用されているからだ。RMIは、「すべての人が、クリーンで、繁栄する、ゼロ炭素の未来を手に入れるべく、グローバルなエネルギーシステムを転換させる」ことを目指している。
「すべての人のためのゼロ炭素の未来」は、「化石燃料を一切使わない」ということと同じであり、それは、政府のさまざまなレベルの環境過激派の目標だ。サンフランシスコと近隣のバークレーは、今はやりの運動を開始し、数年前に新築物件の天然ガス配管設備を禁止した。ニューヨーク市は2021年に仲間入りし、ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事(民主)は、州が新しい建物でのガスを禁止する最初の州になることを提案している。
すべては気候を救うためであり、環境保護庁は、米国の温室効果ガスの10%以上が、住宅および商業施設から排出されていると述べている。消費者向けの機関と同様に、この機関は、電気コンロや、電気ヒートポンプなどの「持続可能な」機器への切り替えなど、汚染削減対策をサポートしている。
エルギー情報局によると、不都合なことに、国内の電力の80%は、天然ガス、石炭、原子力発電所で生成されている。ガスレンジを禁止することは、ただ、台所での燃焼で発生する二酸化炭素を発電所に移転するにすぎないのだ。その事実は、すぐにはなくならない。
素早く調理できる青い炎のレンジを、電気コンロの鈍く赤いコイルへ交換することを強制することは、国民に、台所は、お節介焼きバイデン大統領がやっている化石燃料との愚かな闘いの場ではないことを納得させるのに十分だ。