バイデン政権下の無防備な国境
By Editorial Board – The Washington Times – Thursday, January 19, 2023
バイデン大統領は、治安が悪化して危機的状態に陥っている国の責任者である。バイデン氏は、敵から国を守る責務を負う米軍の価値を見事に低下させる一方で、米国国境への無秩序な侵入を防止するための方策を片っ端からつぶした。大統領が、国の根幹を成す部分をいじくり回しているうちに、米国民がこれほど無防備な状態に置かれたことは、ほとんどない。
米軍は、政治的駆け引きとは無関係であるべきだ。また、バイデン政権下では、「ウォーク(社会正義への意識が高いとされる)政治」がさまざまな階層に浸透している。ワシントンに本部を置く保守系シンクタンク、ヘリテージ財団が実施した最新の世論調査によると、現役軍人の68%が、軍の政治化を目の当たりにしたことがあり、65%がその傾向に多少、または、非常に、懸念を抱いていると述べている。
急進的な人種やジェンダーに関わる政治が優勢で――また、それとともに戦時に備える姿勢により焦点が絞られるよりも、気候変動に対する関心が高まっているため――愛国心のある若者らはそっぽを向き、新兵募集の作業は立ち行かなくなっている。「米国民が、米国で最も信頼できる機関であるべきものへの信頼を失っている事態は、これまで以上に明白になっており、私たちの軍隊が直面している現在の新兵採用危機はそれを証明している」と、共和党のマイク・ウォルツ下院議員(フロリダ州)は、最近のヘリテージ財団主催の兵役と準備に関する講演会で語った。
陸軍は、1973年に全員志願兵制に切り替えて以後、2022年には、最悪の徴兵不足に見舞われ、目標を1万5000人下回った。海兵隊は、通常の50%ではなく、目標の30%しか達成されずに、2023会計年度に入り、空軍と海軍の両方が、通常の25%ではなく、目標の10%達成に留まった。
バイデン氏がつかさどる国防総省の指導の下、兵役義務が崩れつつある一方で、彼の移民政策も、国境警備を無力化している。12月には、140カ国から記録的な25万人の不法移民が米国国境に到着したと報告されている。大統領の残りの任期中に、同じように移民が流入すれば、それが大統領就任以降にすでに入国している500万人の移民に上乗せされて、1100万人以上の移民を米国が背負うことになり、未曽有の人口の急増となる。
経済的チャンスに引き寄せられてやって来る男女、子供らの制御不能の流入の波は、侵略軍による略奪行為と等しいと見るべきではない。それでも、彼らと共に入ってくる危険なカルテル供給のオピオイド(医療用麻薬)の犠牲者は、全ベトナム戦争を通じて失われた米国人の年単位の人数の2倍であると言われている。米国のいわゆる麻薬戦争は、今や、米国人に仕掛けられた麻薬戦争なのである。
そのため、1993年以降に実施されているギャラップ世論調査で、移民の増加を支持する米国民の数が2020年に減少し始めて、以来、さらに減少し続けていることが示されているのは驚くに当たらない。
2013年、ヒラリー・クリントン氏は、中南米およびメキシコの銀行家の聴衆に向かって話し掛けた時、理想とする2023年頃の米国像を一部披露した。「私の夢は、開かれた貿易と、開かれた国境を持つ西半球共同市場だ」と。彼女は、国境が守られていない国に降り掛かる混沌と死については言及しなかった。
政府の最大の義務は、国民の安全を維持するのに十分な軍隊と国境警備隊を配置することだ。悲しいことに、バイデン氏は、国の根幹をいじくり回し、クリントン夫人の夢を米国人の最悪の悪夢にした。