ロシアが米インフルエンサー・ネットワークを構築 大統領選への影響狙い

(2024年9月10日)

2024年9月4日水曜日、ワシントンの司法省で、リサ・モナコ司法副長官(左)、クリストファー・レイFBI長官(右)と共に、司法省の選挙脅威タスクフォースの会合で発言するメリック・ガーランド司法長官。(AP Photo/Mark Schiefelbein)

By Ryan Lovelace – The Washington Times – Saturday, September 7, 2024

 米情報当局者らによると、敵対国が、間もなく行われる大統領選に影響を及ぼすための取り組みを強化しており、ロシアは米国人インフルエンサーのネットワークを構築し、イランはサイバー活動を強化している。

 当局者らは6日、記者団に、最大の脅威はロシアであり、有権者を操ろうとしていると指摘した。国家情報長官室(ODNI)によると、ロシアが支配するメディア「RT」は、親ロシア的なストーリーをつくり出し、広めるために、米国など西側諸国のインフルエンサーのネットワークを構築したという。

 当局者らによると、インフルエンサーらはドナルド・トランプ前大統領の再選を支援し、カマラ・ハリス現副大統領を中傷することを目的としている。

 あるODNI当局者は、「これらのアクターは、特にロシアを支援しており、トランプ前大統領に有利になるよう有権者に影響を与え、副大統領を不利にしようとしている」と述べた。

 ODNI当局者らは、外国の脅威についてトランプ氏や選挙戦関係者と話したかどうかという質問には答えなかった。この当局者らは7月に記者団に対し、大統領候補らに「接触した」と述べたが、6日には陣営への「ブリーフィングを行っただけ」だったと述べた。

 トランプ氏は8月、英紙デイリー・メールに、米政府高官とのブリーフィングを拒否すると語っていた。内容がリークされ、非難される可能性があると考えているからだ。

 当局者らはロシアの工作の証拠として、4日に発表された司法省の事件に触れた。2人のRT職員が、ロシアの利益のために秘密裏に資金を提供し、動画を公開したとして告発された。また、米情報当局者らによると、RTと並んで、ソーシャル・デザイン・エージェンシーやANOダイアログなど、連邦政府によって制裁を科されている組織もロシアの計画を支援している。

 米政府当局者らは、投票をしにくくしたり、できなくしたりするような活動は見られなかったと強調した。

 当局者らは、イランの秘密影響工作はロシアと似ていると言う。イランは偽のソーシャルメディア上の人物を利用して、米国の有権者を分断させる作戦に以前よりも意欲的に取り組んでいる。

 あるODNI当局者は「(情報機関は)イランが今年の選挙に影響を与えるために、これまでにないほど活発に活動しているとみている。ただ、その戦術や手法は、これまでと似ているという。ロシアと同様、イランはさまざまな方法で、対立をあおり、選挙に対する信頼を損なおうとしている」と述べた。

 米情報機関が発表した9月の選挙セキュリティー最新情報によると、イランは「いつでも使える手段」を持っている。

 イランはすでに、これらの手段を使って、トランプ陣営に対するハッキングやリークなどを行ったと米情報当局者は述べた。

 米政府当局者らは、イランのサイバー攻撃能力について警鐘を鳴らしているが、マイクロソフトはイランの手法がロシアや中国と同等とは考えていない。

 マイクロソフト「脅威分析センター」のクリント・ワッツ氏によると、彼のチームはロシア、イラン、中国のサイバー活動と影響工作を綿密に調査しており、これらの敵対国が人工知能(AI)を武器としてどのように利用しているかについて、いくつかの顕著な違いを発見したという。

 ワッツ氏は、ビリントン・サイバーセキュリティー・サミットで、ロシアは「これらのシステムから排除される懸念があるため、西側のツールではなく、最初から自国のツールを使う必要がある」と認識していると語った。

 ワッツ氏によると、中国は必要なツールを自国で調達できることを知っているが、イランはそれができない。

 「イランが弱く、大きく後れを取っているのは、さまざまな方法を試したものの、そのほとんどをものにできていないことだ。あえて言えば、応用できるか、手に入れられるかの違いだ。長期的な傾向として、どちらがAIを持ち、より迅速に大規模な手法を開発できるかといえば、それは米国と中国だ」

 米情報当局者らは6日、記者団に対し、中国は有権者に影響を与えるためにロシアやイランとはかなり異なるアプローチをとっていると語った。

 「中国はまた、州や地方レベルで米国の当局者や組織と関係を築くために長年、努力を続けている。連邦政府は中国に敵対的だと思っているからだ。そのため中国は、大統領選以外の選挙に大きな関心を寄せている」

 米政府高官は、中国共産党の工作員として働いていたとしてニューヨーク州のキャシー・ホークル知事の元首席補佐官代理が逮捕されたことを受けて、中国の活動を調査した。

 米当局者らは、11月の投票に影響を与えようとする国の数が増えていることを警戒しているという。

 ロシア、イラン、中国に注目する一方で、米情報機関は、他にも干渉しようとしている国があることへの懸念をこれまで以上に強調するようになっている。

 「少なくとも、選挙にどのような影響を及ぼせるかを試すような活動について考えている国が数多く見られる。このような活動には、政治家が当選した場合に、その政治家に取り入ろうとするロビー活動も含まれる」

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