トランプ氏再選で日韓に緊張感
By Andrew Salmon – Special to The Washington Times – Friday, November 15, 2024
日本と韓国は第2次トランプ政権の到来に備え、同盟問題や防衛費の見直し、経済リスクへの対応を検討し、さらには国家指導者たちのゴルフの腕前まで気をもむ状況となっている。
政治的メッセージやメディアの論説、両国の首都での喫茶店での会話には、こうした懸念の理由が示されており、それはトランプ氏の2017-2021年の任期や最近の選挙公約に基づいている。
日本と韓国は、この不安定な地域での重要な米国の条約同盟国であり、産業大国でもある。米国は両国にとって主要輸出相手国だ。
両国は半導体産業でも重要な役割を担っており、日本はアップストリームの素材供給、韓国はダウンストリームの製造で力を発揮している。トランプ政権下では、中国との半導体貿易が争点となった。
また、韓国と日本は、米国防総省の地域同盟ネットワークの最前線を担い、米軍の前方展開部隊を受け入れている。これらの部隊は中国、北朝鮮、ロシアの目と鼻の先に位置する。
第1次トランプ政権時、この型破りな大統領がアジアでの軍事プレゼンスの価値や投資収益を疑問視し、駐留米軍の経費負担の増額を要求した際、両国は衝撃を受けた。
トランプ氏の「米国第一主義」のスローガンや同盟国・敵対国を問わず広範囲に関税を課すという選挙公約は、輸出依存型の両国経済に警戒をもたらしている。
韓国の尹錫悦大統領と日本の石破茂首相は、トランプ氏をなだめる必要に迫られている。形式上は、両者ともその態勢を整えているように見える。
米国がアジアに再び注力しようとしている中、両首脳は保守的な政治家であり、安全保障面での確固たる姿勢を持っている。また、トランプ氏はロシアのウクライナ侵攻を迅速に終結させると誓い、中央情報局(CIA)長官には元下院議員のジョン・ラトクリフ氏を、国務長官にはフロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員を指名している。いずれも中国への強硬姿勢で知られる人物だ。
それでも、順風満帆とは限らない。トランプ氏は共和党がホワイトハウスと議会を掌握する中で、強力な統治の正当性を主張している。一方、石破氏と尹氏は国内での人気が低く、明確な議会多数派を欠いた状態で政権運営をしている。
石破氏は先月の解散総選挙で自身の党の影響力を失い、30年ぶりに少数与党政権を率いることとなった。尹氏の支持率は記録的低水準の17%にまで下落している。こうした弱点は懸念材料となり、トランプ政権との関係に影響を及ぼす可能性がある。
日本の国家基本問題研究所は11月11日のコラムで、「トランプ氏は、民主主義国であれ独裁国家であれ、プーチン露大統領、習近平中国国家主席、ネタニヤフ・イスラエル首相のような強力なリーダーとの交渉を好む」と述べている。
日本の指導者は伝統的に、新たな米大統領と関係を築くために早めに行動を起こす傾向があり、今回も例外ではなかった。
首相官邸は、石破首相とトランプ氏との選挙後の電話会談について首相が、「われわれの会話は一言で言えば非常に友好的だったと感じた。トランプ氏とは今後、遠慮なく率直に話ができるという印象を持った」と述べたと発表した。