CHIPS法廃止求めるトランプ大統領に上院共和党が反発

(2025年3月12日)

写真は2022年10月14日、台湾・台北の世界貿易センターで開催された「Taiwan Innotech Expo」でのTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)のロゴ。(AP Photo/Chiang Ying-ying、File)。

By Lindsey McPherson – The Washington Times – Monday, March 10, 2025

 国内での半導体製造を促進することを目的とした2022年の法律を支持した上院共和党議員らは、トランプ大統領による同法の廃止要請に反対しているが、ワシントン・タイムズ紙に対し、調整を受け入れる用意はあると語った。

 「半導体チップと科学法」(CHIPS法)は、米国内で半導体を製造・設計する企業への助成金として540億ドル、新規半導体製造施設に対する25%の税控除として240億ドルを提供した。

 一般にチップと呼ばれる半導体は、コンピューター、携帯電話、自動車など、さまざまな消費者向け製品に使用されている。また、国家安全保障のための防衛システムやツールにも使用されている。

 ジョン・コーニン上院議員(共和党、テキサス州)は、主に台湾と韓国で製造される先端半導体に米国が依存しており、この脆弱性にこの法律が対処したと述べた。

 「もし大統領とその政権が、この法律をどのように改善できるか、あるいはこの法律の運用をどのように改善できるかについて考えを持っているなら、当然意見を述べる権利がある」

 トランプ氏が議会演説で要求したように、この法律を廃止することはないようだ。

 超党派の法案を主導した共和党のトッド・ヤング上院議員(インディアナ州)は、「CHIPS法は今後も、最適化させながら、実施すべきだと考えている」と述べた。同法の施行で5000億ドル以上の民間投資が行われた。

 バイデン大統領は、この法律を自身の重要な功績の一つとして頻繁に宣伝していた。同法は2022年、上院共和党17人、下院共和党24人の賛成多数で可決された。下院共和党議員のうち、現在も議員を続けているのはわずか9人だが、上院議員のうち12人は議会に残っている。

 ヤング氏や、スーザン・コリンズ上院議員(共和党、メイン州)などのCHIPS法支持者は、トランプ氏がこの法律を「最低」と言い、廃止を議会に求めたことに驚いていると述べた。

 トランプ氏は、「何千億ドルも出している。意味がない。金をとられ、使われていない」と述べた。

 トランプ氏は、半導体輸入に対する100%関税の脅しを回避するために、CHIPS法のインセンティブがなくても、企業は米国でチップを製造するようになると述べた。余った資金は、財政赤字の削減や他の優先事項に充てることができると述べた。

 トランプ氏は、世界最大の半導体メーカー、台湾積体電路製造(TSMC)が、アリゾナ州にさらに1000億ドルを投資して工場を建設すると約束したことに言及した。同社はすでに650億ドル以上を投資し、アリゾナ州に3つの施設を建設している。最初の工場は昨年末に4ナノチップの生産を開始した。

 「われわれは彼らに何の金も与えていない。彼らにとって重要なのは、関税を払いたくないということだけだ。他の多くの企業も来ている。我々は彼らに金を渡す必要はない」

 トランプ氏の演説の2日後、台湾の頼清徳総統とTSMCの魏哲家CEOは記者会見を開き、米国半導体工場への投資拡大の決定は、トランプ氏の圧力ではなく、顧客の需要に基づくものだと説明した。

 コーニン氏は、CHIPS法がTSMCのアリゾナ州での初期工場建設に役立ったと述べた。コーニン氏は、トランプ氏とハワード・ルトニック商務長官が1000億ドル規模の拡張を交渉したことについて「多くの称賛」を与えたが、「その法案の一部であった税額控除のようなものが基礎を築いた」と述べた。

 同氏によれば、TSMCの施設に加え、CHIPS法はインテルがオハイオ州に、マイクロンがニューヨーク州に、サムスンがテキサス州に半導体工場を建設するのに拍車をかけたという。

 コーニン氏は、「この法律は、多くの新規雇用を生み出した」と述べた。

 それでも彼は、政府からの補助金ではなく、民間投資をもっと奨励したいと述べた。

 この法律に賛成した他の共和党議員、例えばトム・ティリス上院議員(ノースカロライナ州の)、リンゼー・グラム上院議員(サウスカロライナ州)、ジェリー・モラン上院議員(カンザス州)ら、法案に賛成した他の共和党議員は、その判断を支持しつつも、この法律の調整も検討したいと述べた。

 ティリス氏は「現実問題として、この法律に含まれる520億ドルのほとんどは、おそらくすでに割り当てられたと思う。だから、もし誰かが残りの分を使いたいのであれば、私はそれでも構わない」と述べた。

 ティリス氏は、企業は税額控除を軸に長期的な計画を立てているため、税額控除を縮小する動きは緩やかなものでなければならず、そうでなければ冷え込みにつながる恐れがあると述べた。

 「合理的な段階的引き下げはありうるだろうが、ただちに中止するのは避けるべきだ。企業にとって不公平を生み、不確実性を生む。事業を開始するほかの方法を探すようになる」

 ワシントン・タイムズがインタビューしたCHIPS法支持者の中で、ビル・ハガティ上院議員(共和党、テネシー州)は唯一、チップス法廃止を容認した。

 「CHIPS法には多くの問題があったが、それと並行して成立させるべき非常に重要なものがあった。修正すべきところもあった。だから、なくなっても残念には思わない」

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