中国、現・元米政府高官をスパイに勧誘

2022年冬季オリンピックを前に、ゲンティン・スノーパークでアメリカ国旗と中国国旗が揺れる(2022年2月2日、中国・張家口で)。中国は少なくとも2019年からキューバでスパイ基地を運営しており、これは北京が情報能力をアップグレードするための世界的な取り組みの一環である。これは、公にコメントする権限を与えられておらず、匿名を条件に話したバイデン政権高官によるという。(AP=写真/佐藤喜一郎、ファイル)
By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, April 14, 2025
中国は、コンサルティング会社、人材紹介業者、シンクタンクなどを使い、現役および元米政府高官をスパイとして積極的に勧誘していると、米国の連邦防諜(ぼうちょう)機関が警告している。
国家防諜安全保障センター(NCSC)は、「外国の情報機関、特に中国は、現職および元米政府職員を、コンサル会社、企業の人材紹介業者、シンクタンク、その他の団体に成り済まして、SNSや専門的なネットワーク上で勧誘しようとしている」と、一枚の警告文で述べている。
この警告は連邦捜査局(FBI)もX(旧ツイッター)上で追認しており、「中国を含む外国の情報機関が、SNSや専門的なネットワークを通じて、現職および元政府職員を標的にしている」と投稿した。
FBIは米国内での防諜活動を主導する機関であり、自らのウェブサイト上で「中国共産党によるスパイ活動は『重大な脅威』であり、防諜上の最優先事項である」と明言している。
この警告文では、中国のスパイが巧妙な詐欺手口を使い、就職希望者に対して魅力的な仕事のオファーやバーチャルでの接触を通じて接近しているとされる。
この警告は、トランプ政権下で国家安全保障機関を含む米政府の縮小が進行する中で発表された。
政権は1月以降、複数の連邦機関の閉鎖に着手しており、その一環で中央情報局(CIA)の見習い職員約80人が解雇された。多様性・公平性・包括性(DEI)プログラムに関与していた職員も解雇された。
米国際開発局(USAID)は、世界中に約1万人の職員を抱えていたが、調査の結果、一部の資金や活動がリベラル派民主党の政治活動とつながっていたとして、ほぼ閉鎖状態となっている。
防諜報告書には、勧誘活動の具体例として、米海軍のトーマス・ジャオ上等兵曹の事例が紹介されている。
ジャオ氏は2024年1月、中国の情報機関の職員に機密性の高い軍事情報を提供し、1万4000㌦以上の現金を受け取ったとして実刑判決を受けた。彼は株式取引に関するSNSのチャットグループを通じて勧誘された。
ジャオ氏を通じて、中国は米軍の演習や太平洋地域のレーダー施設に関する写真・映像・文書を入手。これらは将来の米中軍事衝突において、中国軍にとって極めて有用な情報であるとされる。
このようなオンライン勧誘は、SNS、専門家向けネットワークサイト、求人掲示板などで行われている。
また、メールや各種メッセージアプリも使われている。
報告書は、「勧誘者は、一見信頼できる第三国のコンサル会社に見える場合がある」と警告している。
機密情報へのアクセス権(セキュリティー・クリアランス)を有していた元職員には、「退職後も機密情報を守る法的義務がある」ことが再度通告された。
中国はSNS「ブルースカイ」を使い、米国立衛生研究所(NIH)から解雇された研究者たちに「中国・広東省深●でのキャリア育成」の名目で勧誘を試みたこともあったという。
FBIの元職員や退役した米軍高官も標的にされている。
●=土へんに川