中国、AI利用し生物兵器研究-米国務省報告

2021年2月3日、中国湖北省の武漢で、世界保健機関(WHO)チームの訪問を終えた武漢ウイルス学研究所内のP4研究室の様子。(AP Photo/Ng Han Guan, File)。
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, April 22, 2025
国務省の年次兵器管理順守報告書によると、中国軍は2024年、軍事転用可能な生物学的研究、毒素の研究に取り組み、その一環として人工知能(AI)を利用している。
報告書は、ロシア、北朝鮮、イランが生物兵器禁止条約(1972年に締結された条約で、殺傷能力のある生物兵器の開発や保管を禁止している)の順守に懸念を抱かせるような研究を行っていると警告している。
中国については、兵器化されたリシンやボツリヌス毒素だけでなく、炭疽菌、コレラ、ペスト、野兎病菌を拡散させるための軍用薬剤などの攻撃的生物兵器について、中国が詳細を公表していないことに関して、昨年と同様の懸念が示されている。
報告書は、新型コロナウイルスについては言及していない。このウイルスは、中国の軍事研究に関連する武漢ウイルス研究所で発生したと現在広く考えられている。
ホワイトハウスは最近、「研究所から流出 新型コロナの真の起源」という新しいウェブサイトを立ち上げ、このウイルスが「自然界には見られない生物学的特徴を持っている」と指摘した。
報告書は、昨年の報告書で初めて概説された内容の新たな詳細を明らかにし、中国人民解放軍(PLA)が海洋毒の軍事研究に従事していると結論づけている。
国務省は、別の兵器管理順守報告書で、中国は、軍事転用可能な医薬品ベース(PBA)の薬剤や毒素の研究で化学兵器禁止条約に違反しているようだと述べた。
報告書によれば、「(中国の)軍事研究機関の科学者は、(PBAの)軍事的応用に関心を示している」という。
「入手した情報によると、中国軍は実用可能なPBAの開発と生産に資金を提供することに関心を示している」
「他の中国の研究機関も、毒素の軍事研究、発見、試験、特徴の特定を実施したり、指示したりしている。このことは、何を意図しているのかについてさらなる疑問を投げかけている」
報告書によると、生物兵器禁止条約に基づいて中国が毎年提出する文書は、北京と霊宝にある2つの軍事生物兵器研究所に触れていない。
この文書は「信頼醸成措置」と呼ばれ、中国の研究機関で行われている海洋毒研究についての情報は含まれておらず、「強力で、多種多様な毒素を特定し、試験し、特徴を明らかにしている」と国務省の報告書は述べている。
報告書は、中国が生物兵器の研究にAIを使用していると初めて指摘した。
中国はまた、「おそらく、一般に利用可能な人工知能・機械学習(AI/ML)ツールを利用して、(生物兵器の)応用に関連した取り組みを進める能力を持つ」としている。
一方で報告書は、中国軍は生物学研究のための高度な装置を作ることができず、西側の機器に頼っていると述べている。
また、PLAの医療機関が行っている研究には、兵器に応用される可能性のある毒素やバイオテクノロジーの研究開発が含まれていると指摘。この研究について「(生物兵器禁止条約の)第1条を順守しているかどうか懸念される」と強調している。
同条約は、署名国(中国は1984年に署名)に対し、微生物やその他の生物製剤や毒素の開発や製造の完全な禁止を求めている。
報告書は、中国軍が戦争に使用される可能性のある致死性のある海洋毒を研究しているという昨年の主張をさらに裏付けるものだ。
「中国の研究機関は、海洋毒に関連する軍事研究を実施し、指導している」と報告書は述べ、生物兵器禁止条約への中国の提出書類には、海洋毒研究についての情報は含まれていないと指摘した。
海洋毒研究は、「さまざまな種類の強力な毒素」を特定し、テストし、特徴を明らかにすることも含まれている。
専門家によれば、海洋毒は自然界に存在する毒物の中でも特に強力だという。これらの毒素は中枢神経系を攻撃し、微量でも死に至る。
米国の情報機関は、2024年順守報告書の中で、中国の海洋毒研究を初めて公表した。
情報機関は、中国が魚介類による海洋毒中毒を防ぐための民間研究を、生物兵器開発の隠れみのとして利用しているとみている。
国務省によれば、1950年代初頭から少なくとも1980年代後半まで存在した中国の攻撃的生物兵器開発計画が、条約で義務づけられている通り解体されたかどうかは確認されていないという。
報告書は条約違反の可能性を追及した項目の中で、米政府は生物兵器禁止条約の順守に関連する中国の生物学的活動を監視し、報告し続けていると述べた。
報告書によれば、オランダに本部を置く国際監視団体である化学兵器禁止機構が主催した11月の会議で、ボニー・ジェンキンス国務次官(軍備管理担当)は、中国の医薬品ベースの薬剤や毒素に関する研究に対する懸念を訴えた。
ジェンキンス氏は、準備された発言の中で、「われわれはまた、中華人民共和国が医薬品ベースの薬剤や毒素を研究していることについて、二重使用の可能性があるとして、コンプライアンス上の懸念があることを指摘する」と述べた。
この年次順守報告は、バイデン政権下で作成された最後のものだ。
商務省は2021年、生物兵器防御を担当する中国軍の主要組織であるPLA軍事医学科学アカデミーと10の関連研究所に制裁を科した。
しかし、これらの制裁は、連邦政府が発表したPLAの「脳をコントロールする兵器」に関連するものだった。
ロシアについて報告書は、攻撃的生物兵器開発計画を通じて生物兵器禁止条約に違反しており、それはソ連で作られた兵器を「継続し進化させた」ものだと指摘している。
「ロシアはソ連時代の生物兵器のインフラを広範囲に近代化している。それは現在の攻撃的計画を支えられるレベルのものである可能性がある」
その一環として、モスクワ北部の都市セルギエフポサドにある国防省の第48中央科学研究所が数百万ドルをかけて改修された。
北朝鮮は、遺伝子操作された薬剤を含む「国家レベルの攻撃専用」生物兵器開発計画によって条約に違反している、と報告書は述べている。
また、北朝鮮は「国家科学アカデミーや他の情報源から報告されているように、CRISPRのような技術で生物学的製品を遺伝子操作する能力も持っている」と報告書は述べている。
この細菌兵器は、噴霧器や注射器から発射することができるという。
イランの軍事研究活動は、同国が生物兵器を開発しているのではないかという懸念を引き起こしている。
「米国は、イランが攻撃目的の生物製剤や毒素の研究開発を行う意図を放棄していないと評価し続けている」と報告書は述べている。
中国で入手したオープンソース情報に基づく「バイオ脅威イニシアチブ」の報告書は、PLAが非対称戦戦略の一環として秘密裏に生物兵器の研究を行っていると結論づけている。
「生物兵器は中国共産党の標準的な戦闘の一部であり、極端な状況下でのみ使用される非伝統的な一連の能力ではない」
中国共産党の権威ある教科書「軍事戦略の科学」には、生物学が軍事的闘争の領域であることを示す項目があり、標的とする民族集団に影響を与えるように設計された「特定の民族の遺伝子攻撃」を含む、新しいタイプの生物学的戦争の可能性に言及している。
2020年、トランプ政権当局者はワシントン・タイムズ紙に、中国軍が特定の少数民族だけを攻撃できる細菌兵器の開発に秘密裏に取り組んでいることを明らかにした。
国防総省による2023年の報告書「生物防衛態勢の見直し」は、海洋毒による脅威を含む中国の生物兵器研究について警告している。
国防総省の報告書は、中国の出版物は「生物学を新たな戦争の領域と呼んでいる」と述べている。