台湾有事、近隣国へ攻撃も 中国、軍増強で自信
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, July 13, 2021
米インド太平洋軍の情報トップ、マイケル・スチュードマン海軍少将は、中国は台湾への圧力を強めているが、軍事力増強によって自信を強めており、近隣諸国への攻撃の可能性も高まっているとの見方を示した。
スチュードマン氏は今月初め、ハワイの司令部からのオンライン会議で「中国は非常に積極的で威圧的になっているが、台湾かその他の地域かという捉え方は間違っている。事態はそれほど単純ではない」と警告した。
台湾への上陸作戦による軍事侵攻については「あり得るが、最も可能性が高いシナリオではない」と指摘、中国は他の近隣諸国をも標的に、圧力を強めていることを強調した。
中国はこれまで、複数の国々との対立は避ける傾向があった。しかし、このところ、インド、オーストラリア、日本、台湾、南シナ海周辺国で、衝突したり、威嚇したりする事例が増加、これは、中国が国力を増し、軍事力を背景に自信を強めていることの表れとみられている。
また中国はすでに台湾に対して、情報作戦、経済的圧力などを含む、低烈度紛争を仕掛けており、台湾海峡を挟んで緊張が高まっている。スチュードマン氏は「台湾が、経済、情報、外交による圧力に屈することはない」とみられると指摘、「戦いはすでに進行中であり、重要なのは中国が軍事オプションに訴えるかどうかだが、問題はそれがいつかということだけだ」と、台湾に対する武力行使は時間の問題との見方を示した。
また、中国のような敵対国は、米国とは違った戦争概念を持っていると指摘、「毎日が戦いであり、その中で、影響力を獲得するための戦いを続けている」と、平時と有事の区別が明確ではないと強調した。
現状については「非常に危険であり、20世紀に見たものとあらゆる点で似ている」と、現在の中国との対立がソ連と対峙(たいじ)した東西冷戦時に近いとの見方を示した。
中国は、世界中の技術を駆使して、新疆ウイグル自治区や香港の住民を「効果的に支配する」ための大量の情報を収集してきた。中国は、インド国境、ブータン周辺地域、ベトナムのメコン地域、南シナ海、東シナ海、台湾海峡に対して、同時に領有を主張するようになっており、スチュードマン氏は、「国内で取ってきたような手法が、今後他の地域でも用いられるのではないか」と、警鐘を鳴らしている。