もう一つの国家安全保障問題
By THE WASHINGTON TIMES – – Wednesday, August 18, 2021
ANALYSIS/OPINION:刑務所暮らしをしている米国人の割合は減少している。
そして、そのことは、何かしら称賛に値することのように見える。
しかし、自画自賛する前に、少し掘り下げて考えてみたい。監房のドアに「空室」の表示が掲げられる理由は、必ずしも、私たち国民の振る舞いがいいということからきているのではないのだ。むしろ、社会がもはや、正邪を区別できなくなったために、刑務所が御用済みになったということだ。蔓延(まんえん)する無法状態は、国家の安全保障に関わる問題だ。
新たに発表されたピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国の受刑率は近年、確実に低下している。1995年には、人口10万人当たりの受刑者数は810人だった。そこから受刑率は上昇し、2006年から2008年にかけて10万人当たり1000人になり、2019年までに、ほぼ四半世紀前の数値に戻った。ところが、国の人口が増加しているのに、受刑者の総数はやはり減少し、2008年の230万人のピークに達し、2019年には210万人に減少した。
これらの統計は古く、2020年に始まって以来、苦しみをもたらしながら執拗(しつよう)に続いている新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響を示していない。(公正な収監政策を求める非営利、無党派の団体)「刑務所政策イニシアチブ」によると、都市、郡、州、さらには連邦政府でさえ、新型コロナの脅威を、何十万人という囚人を刑務所から解き放つ理由として挙げたという。それはまた、検察官らが、麻薬所持のような非暴力的な犯罪による収監を控えたくなる気持ちにさせた。そして、暴動や略奪のような精神的な錯乱状態のために逮捕された多くの人々が、同じく、刑務所入りを免れた。同時に、人種的不公正の訴えが、全国的ヒステリー現象を巻き起こし、そのために、警察が恐れをなして、法の執行ができなくなったこともあった。
従って、収監率が低下するにつれて犯罪が急増したことは、驚くに当たらない。昨年9月に発表された連邦捜査局(FBI)の2020年の予備的統一犯罪報告は、全国の1万2000の法執行機関からの報告に基づいて、殺人と過失致死罪が15%増加したことを示している。
加えて、2021年前半の犯罪統計の予備調査では、衝撃的な大虐殺が相変わらず続いていることを示している。刑事司法評議会によると、今年は、29の主要都市での殺人事件が、2020年の同時期から16%急増したという。銃による暴行や加重暴行も同様に、それぞれ5%と9%上昇した。
さらに、暴力的な振る舞いの新たな出来事の数々が、今にも、全国で噴出するかもしれない。国土安全保障省は先週、2001年9月11日の同時多発テロの20周年を近く迎えようとしている関係で、国内外のテロリストが原因の「脅威が高まっている環境がある」ことを警告する公報を出した。そして、その警告は、子供っぽい米国――全くそうなのだ――が刑務所から解き放ったテロリストらが主導する、タリバンによる衝撃的な再度の征服予告の前に出された。
市民の法律への尊敬の念が高まることによって、収監率が低下すれば、米国人の生活様式は安定する。犯罪がはびこり、にもかかわらず、投獄される法律違反者の人数が少なくなれば、国の安全は失われる。