歳出法案の表決へ党内の引き締め図るペロシ下院議長

(2021年9月30日)

House Speaker Nancy Pelosi, D-Calif., joined at left by Rep. Brenda Lawrence, D-Mich., holds a rally in support of President Joe Biden’s “Build Back Better” for women agenda, at the Capitol in Washington, Friday, Sept. 24, 2021. (AP Photo/J. Scott Applewhite)

By Kerry Picket and Mica Soellner – The Washington Times – Saturday, September 25, 2021

 議席数の差がわずかしかない下院で、5.7兆㌦の新規歳出をやり遂げるための大勝負を前に、ナンシー・ペロシ下院議長は、彼女の長い政治キャリアの中でも最も厳しい状況に置かれている。

 今週中に二つの巨額歳出法案の採決が予定されており、ペロシ氏は、バイデン大統領が強く望んでいる勝利を得るために、極左と穏健派の民主党議員を何としてもまとめなければならない。

 しかし、ワシントンの政治家は、そしてペロシ氏自身も、ペロシ氏に反対すべきではなかったと思うようになるはずだ。

 カリフォルニア州選出の民主党議員であるペロシ氏は最近、ワシントン・タイムズ紙に「厳しい戦いになるとは思っていない」と話した。

 ペロシ氏は、反抗的な議員を自分の陣営に引き戻すためのさまざまな交渉戦術を持っている。ペロシ氏の強引なやり方を直接、経験してきた民主党議員や側近は、ペロシ氏が、ニンジンをぶら下げ、腕をひねり、政治的影響力を行使して、ワシントンとそれぞれの選挙区の議員に圧力をかけてきたと話している。

 民主党幹部の元側近の一人も「ペロシ氏はデータベースを持っていて、議員の選挙区やその他の関係者に働きかけ、説得するための材料を手元に備えている」と言う。

 これまで、ペロシ氏の努力は、裏方のおだて役や家族の会話のような段階にとどまっていたと、関係者は言う。

 ペロシ氏は、労働組合やリベラル派の活動家らの援軍を募り、議員の事務所に電話をかけたり、訪問したりしている。彼らは、穏健派が支持する1.2兆㌦の超党派インフラ法案と、リベラル派が支持するバイデン氏の3.5兆㌦の社会福祉法案の両方を支持するよう、民主党議員に働きかけている。

 この活動は急速に活発化している。下院は早ければ27日にインフラ法案を採決する可能性があり、ペロシ氏はそれに続いて、さらに大規模なリベラル法案を今週中に採決することを約束した。

 この元側近は「ペロシ氏が、どのように報復するのか、何が起こるのかを話すことはない。もっと巧妙だと思う。それは皆知っているはずだ。だから、委員会に任せるのか、資金調達になるかのどちらかだ。あるいは『もう国際的な(議会)代表団には参加しないでくれ』と言われることになるだろう」と述べた。

 民主党議員がワシントン・タイムズに語ったところによると、ペロシ氏は各議員の選挙区を熟知しているため、どこまで彼らを追い込むことができるかを慎重に計算しているという。

 議員らは、議長の意向に逆らうことはリスクが高いという。

 ヘンリー・クエラー下院議員(民主、テキサス州)は、「彼女について私が学んだことの一つは、何かをするつもりであれば、彼女に言えということだ。確信が持てないのであれば、するとは言わず、実行もしないということだ。これが議員らへのアドバイスだ。何度かそのような場面を見た」と述べた。

 議員らは、ペロシ氏の権力と影響力の大きさを痛感している。議長であるペロシ氏は、議員らが党の方針に沿っていないと感じたり、選挙区の問題について話し合わず、議員団と異なる投票をする必要があると考えたりした場合、格下げする権限を持っている。党幹部は、議場やソーシャルメディアでのサプライズを望んでいない。

 ゲリー・コノリー下院議員(民主、バージニア州)は、新人議員は、ペロシ氏のために時には自分の利益を犠牲にしなければならないことをすぐに学ぶと指摘した。

 「ペロシ氏は、偏狭な個人的利害関係を捨てさせ、大義に付かせることができ、制裁を加える力もある。彼女は時に厳しくもある。当選間もなかったころ、党の結束を乱して大変な目に遭ったことがある。苦しかった」

 党内からの圧力は、クリントン元大統領の首席補佐官であるジョン・ポデスタ氏が民主党議員に宛てた手紙に記されている。ポデスタ氏はリベラル派の議員たちに、法案の3.5兆㌦を削減することに同意するよう求めている。

 民主党関係者は、ニューヨーク・タイムズ紙にリークされたこの手紙は、ペロシ氏が書かせたものであることは間違いないと話している。

 ポデスタ氏は、上院がバイデン氏の目玉政策である3.5兆㌦の計画が可決される可能性はほとんどなく、民主党が規模を縮小した歳出法案で団結できなければ、中間選挙で両院を失うことになると述べた。

 彼は、1960年代の「偉大なる社会」以来、最も野心的な福祉国家の拡大である3.5兆㌦の法案に反発する穏健派に警告した。

 ポデスタ氏は、「両方の法案を手にするか、どちらも手にしないかのどちらかであり、どちらも手にしないという見通しは受け入れがたい。それは、私たちの民主的な義務の完全な不履行であり、責任放棄を意味する。私たちの世代の歴史を決定づけるものであり、今の米国民にとっても、これからの数年間においても、私たちが失敗したことを示すことになる」と記している。

 ペロシ氏の計画は、政府機関の閉鎖回避と、デフォルト(債務不履行)を回避するための連邦政府の債務上限凍結をめぐる共和党との対立によって、さらに複雑になっている。

 民主党のベテランコンサルタント、ハンク・シェインコフ氏によると、ペロシ氏は、政府機関の閉鎖、デフォルト、バイデン氏の政策を前に、党員たちと非公開で率直な話し合いを重ねているという。

 その中でペロシ氏は、民主党が下院で多数派を維持できるかという問題と、歳出法案が成立するかどうかが密接につながっているという現実を伝えているという。

 歳出法案を通過させることは、「2022年の選挙戦に向けて、民主党の結束を高めるための大きな成果」だとシェインコフ氏は言う。

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