マルクス主義的な考え方を受け入れる米国民が増加
By Sean Salai – The Washington Times – Wednesday, October 6, 2021
米国の成人、特に(2000年以降に社会人になった)ミレニアル世代の間で、マルクス主義者とは認めていないものの、私有財産や伝統的道徳観の否定などマルクス主義的な考えを受け入れる傾向が強まっていることが、調査結果で明らかになった。
アリゾナ・クリスチャン大学文化研究所が先週公表した調査結果によると、米国の成人2000人を対象に行った世論調査で、3分の1以上が人種差別や神に関する内容を含めマルクス主義理論の多くを支持していることが分かった。
同研究所の設立者で調査部長である世論調査専門家のジョージ・バーナ氏は、調査結果について、マルクス主義を基本的世界観として受け入れている米国民は1%にすぎないものの、10%がマルクス主義思想を取り込み、それに基づいて日々の判断を下していることが示された、と語った。
「米国民は世の中に流布するほぼ全ての思想に対してオープンであることを、この調査結果は物語っている。一つの世界観に執着しているわけではないが、個人的利益に資する、あるいは現時点で魅力的に見える多くの考え方に引き付けられている」。バーナ氏は、ワシントン・タイムズ紙の取材にこう語った。
1984年にキリスト教福音派の調査会社「バーナ・グループ」を設立した同氏は、米国の大人たちは気付かぬうちにマルクス主義的な考え方を受け入れていると指摘した。
「米国民はマルクス主義者と思われたくないのかもしれないが、マルクス主義の本質をおおむね理解していない。だから、無意識のうちにマルクス主義を受け入れてしまうのだ」。バーナ氏はこう主張した。
この調査結果は、他の世論調査を反映している。調査会社ユーガブが2020年10月に実施した世論調査では、米国民の26%が「資本主義システムを段階的に廃止し社会主義システムへの移行」を支持した。
経済分野では、文化研究所の調査に答えた27%が財産の所有を認めることで経済格差がもたらされるという考えに同意。23%が私有財産権は社会に有害という主張に賛成した。
人種差別が米社会の基本的要素と断定する「批判的人種理論」については、41%が「有色人種を犠牲にして経済的、政治的利益を得ようとする白人によって人種が利用されている」という主張に同意した。
ヘリテージ財団のマイク・ゴンザレス上級研究員は、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切、BLM)」運動を立ち上げたマルクス主義者たちは、社会を転覆するために批判的人種理論を利用している、と指摘した。
「BLMの主要創設者である(アリシア・)ガーザ、パトリッセ・カラーズ、オパル・トメティの3氏はいつも、マルクス主義を包み隠さない。マルクス主義は共産主義の同義語だ」。ゴンザレス氏は同財団のウェブサイトに掲載された9月8日の評論でこう書いている。
文化研究所のトレイシー・マンシル事務局長は、この調査結果は議会民主党が推進する社会支出政策の議論に明確な影響を及ぼしていると指摘した。
「米国の環境では今まで見られなかった重大な政治的シフトだ。20世紀は社会主義が現れることがほとんどなかったが、これは転換点だと思う」。アリゾナ・クリスチャン大学の政治学教授であるマンシル氏は、こう主張した。
マンシル教授は、マルクス主義思想が理論から立法で現実へと移行しているものの、特に若い大人たちの間でマルクス主義的な考え方が続くかどうかははっきりしないとの見方を示した。