民主党、社会福祉法案の議会承認へ躍起

(2021年11月22日)

ワシントンの米国連邦議会議事堂を覆う暗雲と大雨。2020年8月3日撮影(AP Photo/J. Scott Applewhite, File)

By Haris Alic – The Washington Times – Tuesday, November 16, 2021

 議会民主党とホワイトハウスは、バイデン大統領の数兆ドル規模の社会福祉法案の費用とその財源確保案に関する報告書の信頼性を削ごうと躍起だ。

 民主党はその一環として、議会予算局(CBO)の報告書の正当性を否定するための活動を展開している。CBOは、法案の財政的影響を分析することを任務とする超党派の連邦機関だが、民主党は、CBOがバイデン氏の社会福祉法案のすべての条項を適切に検証することはできないと主張している。

 このホワイトハウスの迅速な対応を進めているアンドリュー・ベイツ氏は、「CBOは、正直な納税者を利用し、税金をごまかしている富裕層への取り締まりからどれだけの資金が得られるかを分析した経験がない。これはよく知られていることだ」と述べた。

 民主党はさらに、CBOには「欠陥」があり、バイデン氏が以前から主張しているのとは逆に、社会福祉法案の財源が十分に確保されていないと判断する可能性が高いと主張している。

 民主党幹部らは、この主張を支持している。彼らは、CBOの分析結果がよくなければ、ナンシー・ペロシ下院議長が今週中に実施しようとしている法案の通過が頓挫すると心配している。

 民主党幹部の側近の1人は、「私たちは、CBOの分析方法の欠陥について、議員らを教育するために尽力している。皆、この法案がまとまるのを何カ月も待っていた。多少のコスト試算の不備で法案が頓挫するようなことがあってはならない」と述べている。

 議員らは、CBOが増税と内国歳入庁(IRS)権限拡大の法案の影響を見誤るのではないかと心配している。

 民主党は、富裕層の税金逃れを取り締まるために、IRSの職員を8万7000人増員することを提案している。ホワイトハウスは、この増員によって、連邦政府に納めるべき税金と実際の納税額の差、タックスギャップを縮めることができるとしている。

 財務省は、徴税の執行を拡大することで、今後10年間で4000億ドルの歳入増につながると試算している。CBOはこの政策についての試算を正式に発表していないが、4000億ドルの予測はつじつまが合わないと判断するだろうというのが大方の予想だ。

 しかし、バイデン氏の支持者らは、CBOの評価の信頼性に疑問を投げかけている。

 コナー・ラム下院議員(ペンシルベニア州、民主)は、「CBOの助言には感謝するが、彼らは長い間、タックスギャップを過小評価してきた。IRSを拡大しなければ、この10年間で何兆円もの未払いの税金が発生する。金持ちが払わないのは、彼らを追及する方が手間がかかるからであり、彼らもそれを知っている」と述べた。

 CBOのフィリップ・スウェーゲル局長は、CBOの信用を失墜させようとする試みには根拠がないと述べている。

 「CBOには財務省にいた人もいるし、その逆もある。だから、私たちはこの問題に精通しているし、かなり確立された手法を持っている」と述べた。

 このような説明にもかかわらず、CBOを貶めるための民主党指導部の戦術は功を奏しているようだ。

 穏健派の民主党下院議員の一部は、CBOが適切な検証を行われていないとして法案への投票を拒否したが、IRSの権限をめぐる条項の影響が低く評価されても、法案への全体的な支持を妨げることにはならないだろうと述べている。

 ステファニー・マーフィー下院議員(フロリダ州、民主)は、「グループとしては、CBOの評価を見てからという考えで一致していると思う。だが、どう受け取るかは個々の議員が決めることだ」と述べた。

 同様に、バイデン氏の歳出法案に含まれる増税では、提案されているすべての給付金制度はまかなえないのではないかという強い懸念がある。

 イエレン財務長官は、企業や富裕層を中心に増税を行うことで、今後10年間で2兆ドル近くの資金を調達できると試算している。

 増税には、1箱あたり2ドル以上へのタバコ税の倍増や、企業の利益への15%の一律課税などが含まれている。この法人税は、3年間で10億ドル以上の利益を公表した企業に適用される。

 また、企業の海外での収益に15%の税金を課すことや、自社株を買い戻す企業に1%の課徴金を課すことも法案には含まれている。

 法人税以外では、富裕層への一連の課税が提案されている。バイデン氏は、調整後総所得が1000万ドル以上の個人に5%の「富裕税」を課すことを支持している。調整後総所得が2500万ドルを超えると8%に跳ね上がる。これにより、今後10年間で2300億ドルの税収増が見込まれている。

 経済アナリストらは、増税はまだ実施されていないものが多いため、どのくらいの収入が得られるかを見積もることはできないとしている。

 下院歳入委員会のリチャード・ニール委員長(マサチューセッツ州、民主)もその懸念を共有している。ニール氏は当初、トランプ時代の減税措置を廃止する包括的な財政計画を作成していた。

 民主党の上院議員の一部は、所得税や法人税の税率を一律に引き上げるこの案は成功しないと考えている。

 この社会福祉法案は、上院の60票の議事妨害を回避して単純過半数で可決できる予算調整措置を経る必要があるため、バイデン氏は摩擦を避けることを選択した。そのため法案は、富裕層や法人への課徴金を重視したものになった。

 ニール氏は、「これは、税の複雑さを著しく増大させる」と述べている。

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