政治色強める米軍への信頼が低下
By Mike Glenn – The Washington Times – Wednesday, December 1, 2021
米国民から強い支持を得る数少ない公的機関の一つだった軍への信頼が揺らいでいる。政治色を強めていること、アフガニスタン撤収での醜態、台頭する中国の安全保障、経済での脅威に対抗できるのかをめぐって不安が高まっていることが要因だ。
ロナルド・レーガン財団・研究所が1日に公表した世論調査「全米国防調査」によると、軍を信頼しているという国民はわずか45%。2018年の1回目の調査から25ポイント低下した。
トランプ前大統領は、軍幹部、顧問らと関係がよくなかったが、同調査によると、バイデン政権発足後の2月以降、軍への支持は11ポイント低下した。軍への信頼は、年齢、性別、支持政党を問わず、あらゆる主要グループで低下している。
ロナルド・レーガン研究所のロジャー・ザックハイム所長は声明で、「レーガン大統領が就任した時、国民は国外で敵国に後れを取るのではないかと懸念し、国内の状況にも悲観的だった。調査から、今、同じような状況にあることが分かった」と述べた。
調査は、10月25日から11月7日の間に成人2500人以上を対象に実施された。誤差は約1・9ポイントとされている。
軍への信頼が50%を割り込むのは、この数十年間で初めてのことだが、それでも、公的機関としては依然として最も信頼を得ている。警察、医療機関が軍に続き、マスコミ、議会への信頼が最も低い。
軍への信頼が最も高いのは兵士で、その中でも下士官からの支持が強い。
元海軍戦闘機パイロットで、30回の戦闘任務に就いたというマイク・ガルシア下院議員(共和、カリフォルニア州)は、「これはリーダーシップの問題だ。兵士の問題ではない。国防総省の指導者への信頼が失われているのだと思う」と述べた。
調査によると、軍を強く信頼しているという回答は、30歳未満の成人でわずか3分の1で、2018年から20ポイント低下した。世論調査人らは、志願制の米軍で新兵の募集に問題が生じる可能性があると指摘した。
回答者の大部分が、軍を信頼しなくなったのは、政治的指導者のせいだと答えている。民主主義防衛財団の軍事・政治力センターのシニアダイレクター、ブラッドレー・ボーマン氏は、軍は党派的な政治には関与しないとされているが、近年、そうでないケースがよく見られると指摘した。
ボーマン氏は、トランプ氏が軍幹部について「私の将官」としばしば言及、2020年6月の人種差別への抗議デモの最中にエスパー国防長官、ミリー統合参謀本部議長を伴って、ホワイトハウスからセント・ジョンズ教会まで歩き、写真を撮ったことを指摘した。
さらに、ミリー氏が、連邦議会で共和党議員らと批判的人種理論をめぐって激しい議論を戦わせたことも、軍の政治化が進んでいる兆候の一つとみられた可能性があるとボーマン氏は強調した。