対中法案、大部分が不成立 米両院通過はわずか3本
By Joseph Clark – The Washington Times – Monday, December 27, 2021
2021年に米議会に提出された対中法案は、238本と記録的な数に上ったが、上下両院を通過したのは今のところわずか3本にとどまっている。バイデン政権、議会は、中国が脅威という点で一致し、強硬な対中発言が相次いでいるものの、実質が伴っていないことを物語っている。
保守系評論家で『やがて中国の崩壊がはじまる』などの著書があるゴードン・チャン氏は、大部分の対中法案が議会を通過していないことについて、「政界全体は、中国は脅威だという見方で一致している。…しかし、それに対しどう対処するかでは一致していない」と苦言を呈した。
10~18年の間に提出された中国と台湾を主要なテーマとする法案は年間45本だったが、18年以降、急増した。
19年初めから20年初めの前会期では379本が提出され、14本が成立している。
1月3日からの今会期では、まだ会期中だが、238本が提出されたものの、大部分は、最終段階で行き詰まり、成立にまで漕(こ)ぎ付けていない。
米国は大統領令で、北京五輪への外交ボイコットを決めた。中国によるウイグル族への人権侵害に抗議するためのものであり、オーストラリア、カナダ、英国が追随、日本も同等の措置を取ることを表明したものの、象徴的な対応にすぎず、実質的な影響を中国に及ぼすことはほぼないとみられている。
こういった現状にチャン氏は、「状況を認識できていない。両院は、一つの重要な課題に直面しているという考えを持つべきだ」と議会での危機感の低さに警鐘を鳴らした。
共和党のハガティ上院議員は、「米国の戦略的敵国、共産中国は21世紀最大の脅威だ。残念ながら、ペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は、米経済を破壊する大きな政府政策を優先し、中国に対抗する超党派の法案は後回しになっている」と、民主党を非難した。
一方で中国は、議会での両党の対立という隙を見て、ロビー活動に取り組んでいる。
在米中国大使館は11月、政府高官、業界団体などに書簡を送り、現在審議中の米国の対中競争力を高めるための法案「米革新・競争法案(USICA)」について、成立すれば、中国での市場シェアを失うと警告し、反対するよう求めた。