対中法案、大部分が不成立 米両院通過はわずか3本

(2021年12月29日)

北京で行われた共産中国建国70周年記念パレードで、DF-41弾道ミサイルを積んだ軍用車両が並ぶ中、中国国旗を振る観客たち(2019年10月1日撮影)。バイデン大統領のインド太平洋担当トップ国家安全保障アドバイザーによると、中国の軍拡はアジア全域に不安を引き起こし、最近この地域に焦点を当てた米英豪の3者間安全保障協定が結ばれた原動力となったという。(AP Photo/Mark Schiefelbein)

By Joseph Clark – The Washington Times – Monday, December 27, 2021

 2021年に米議会に提出された対中法案は、238本と記録的な数に上ったが、上下両院を通過したのは今のところわずか3本にとどまっている。バイデン政権、議会は、中国が脅威という点で一致し、強硬な対中発言が相次いでいるものの、実質が伴っていないことを物語っている。

 保守系評論家で『やがて中国の崩壊がはじまる』などの著書があるゴードン・チャン氏は、大部分の対中法案が議会を通過していないことについて、「政界全体は、中国は脅威だという見方で一致している。…しかし、それに対しどう対処するかでは一致していない」と苦言を呈した。

 10~18年の間に提出された中国と台湾を主要なテーマとする法案は年間45本だったが、18年以降、急増した。

 19年初めから20年初めの前会期では379本が提出され、14本が成立している。

 1月3日からの今会期では、まだ会期中だが、238本が提出されたものの、大部分は、最終段階で行き詰まり、成立にまで漕(こ)ぎ付けていない。

 米国は大統領令で、北京五輪への外交ボイコットを決めた。中国によるウイグル族への人権侵害に抗議するためのものであり、オーストラリア、カナダ、英国が追随、日本も同等の措置を取ることを表明したものの、象徴的な対応にすぎず、実質的な影響を中国に及ぼすことはほぼないとみられている。

 こういった現状にチャン氏は、「状況を認識できていない。両院は、一つの重要な課題に直面しているという考えを持つべきだ」と議会での危機感の低さに警鐘を鳴らした。

 共和党のハガティ上院議員は、「米国の戦略的敵国、共産中国は21世紀最大の脅威だ。残念ながら、ペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は、米経済を破壊する大きな政府政策を優先し、中国に対抗する超党派の法案は後回しになっている」と、民主党を非難した。

 一方で中国は、議会での両党の対立という隙を見て、ロビー活動に取り組んでいる。

 在米中国大使館は11月、政府高官、業界団体などに書簡を送り、現在審議中の米国の対中競争力を高めるための法案「米革新・競争法案(USICA)」について、成立すれば、中国での市場シェアを失うと警告し、反対するよう求めた。

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