ジャクソン氏の最高裁判事指名に、中絶反対(プロライフ)派は警戒

(2022年3月19日)

2021年4月28日、ワシントンのキャピトル・ヒルにて、コロンビア特別区連邦巡回控訴裁判事に指名されたケタンジ・ブラウン・ジャクソン氏が、上院司法委員会の懸案の司法指名に関する公聴会で証言している。上院は、ケタンジ・ブラウン・ジャクソン氏を有力な連邦コロンビア特別区控訴裁の判事として僅差で承認する見通し。最高裁に空席が生じた場合、ジョー・バイデン大統領の候補に挙がるとの見方が強い。(Kevin Lamarque/Pool via AP)

By Alex Swoyer – The Washington Times – Monday, March 14, 2022

 ケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事が最高裁に承認される可能性があり、中絶反対(プロライフ)運動が鈍化するのではないかと保守派は警告している。

 中絶に関するジャクソン氏の記録はわずかしかないが、ワシントン連邦地裁にいた2018年に、一部の女性の生殖医療団体への資金援助を打ち切ろうとしたトランプ政権の措置に反対する判決を下している。

 また、マサチューセッツ州の中絶クリニック外でのプロライフの抗議活動に対する2001年の異議申し立てで、中絶支持(プロチョイス)団体の代理人を務めたこともある。

 プロライフの非営利団体「スーザン・B・アンソニー・リスト」のマージョリー・ダネンフェルザー代表は「ジョー・バイデン氏は、出産まで要求に応じて中絶できるロー対ウェイド判決を支持する判事のみを任命するという約束を果たそうとしている。この方針は非常に極端であり、支持しているのは、世界でも北朝鮮や中国など、ほんの一握りの国だけだ。私たちは、彼女が歴史上最も強く中絶を支持する政権と協力して、中絶権を法律で全国に定着させることは間違いないと考えている」と述べている。

 アメリカン・ウィミンズ・アライアンスのゲイル・トロッター会長は、一部の法律学者は、最高裁の民主党系判事が少数派であるため、中絶に関するジャクソン判事の考え方は重要ではないと言うかもしれないと指摘した上で、このような考え方は、裁判官の終身雇用の影響を考慮に入れれば、近視眼的だと主張した。

 「逆転することはありうる。今は少数派でも、いずれ多数派になる」

 ジャクソン氏は判事として、10代の妊娠を防ぐための避妊教育や診療所への紹介を行う団体への資金提供を削減しようとするトランプ政権の取り組みに反対する判決を下したことがある。

 ジャクソン氏は、政権が手続きを踏まずに団体にすでに割り当てられている資金を取り上げたため、この措置は行政手続法に違反すると指摘した。その後、控訴審で、当事者らが訴えを取り下げた。

 2001年、弁護士として開業していたジャクソン氏は、中絶反対派が中絶施設の外1.8メートル以内の個人または車に接近することを禁じたマサチューセッツ州法に対する異議申し立てで、中絶擁護団体の代理人として準備書面を提出した。

 この準備書面で、ハーバード大学出身のジャクソン氏は、中絶反対派の行為は「クリニックに入ろうとする女性にとって脅威であり危険であることが長い間証明されている。面と向かって対決することになる」と述べている。

 「抗議者がこのような形でクリニックの顧客を威嚇することを許す正当な理由はない。クリニックに入る女性に嫌がらせをしたり、『パーソナルスペース』に侵入したりすることは憲法で保護された権利ではない」

 バイデン大統領が最初に選んだ最高裁判事候補であるジャクソン氏は、2001年の事件は「言論の自由」をめぐるものだったと言ったが、トロッター氏はこの主張を嘲笑した。

 「問題は、彼女が言論の自由に反対する側にいたことだ。彼女がプロライフを主張する人々に特別な敵意を抱いているのか、あるいは憲法修正第1条だけでは自由は不十分と感じているのか、それは彼女の承認公聴会で議論されるべきことだ」

 プロライフの支持者でセントファンテ・ストラテジーズの創設者であるアリソン・セントファンテ氏は、憲法修正第1条に関する判事の対応は気になると述べた。

 セントファンテ氏は「若者らが、生命のために声を上げようと活動している」が、ジャクソン氏は彼らを黙らせようとする可能性があると指摘した。

 一方、プロチョイス派は、ジャクソン判事の指名を称賛している。

 家族計画連盟のアレクシス・マクギル・ジョンソン会長は、同判事の承認は「裁判所を再建し、私たちの健康と権利を守るために不可欠だ」と述べた。

 リプロダクティブ・ライツ・センターもこのコメントに賛同している。

 同センターはメディア向けの声明で「中絶をめぐる訴訟などで、すべての人の平等と自由を守り、判決が実際の人々の生活にどのような影響を及ぼすかを考える判事がいることが重要だ。すべての判事が最高裁を変え、すべての判事が裁判所に対する信頼を築き、他の判事らに影響を与える機会を持っている。ジャクソン判事の承認は必ず、次世代の私たちの生活に実際に影響を与える」と述べた。

 「ピープルズ・フォー・アメリカン・ウェー」の上級研究員、エリオット・ミンクバーグ氏は、ジャクソン判事の中絶に関する二つの訴訟は行政手続法と言論の自由の権利に関するものであり、この訴訟から彼女の考えを詳しく知ることはできないと述べている。

 「情報は少ないが、この問題の両側のグループが、彼女が何をするか分かっていると信じているのは興味深いことだ。ジョー・バイデン氏も私も、彼女が中絶をめぐる裁判でどのような判断を下すかを予測することはできないと思う」

 ミンクバーグ氏は、たとえジャクソン氏がプロチョイスを支持する側に立ったとしても、裁判所は6対3で保守派が多数を占めていると強調した。このことは、最高裁が、各州でますます厳しくなる人工妊娠中絶禁止に対する異議を検討する際に、プロチョイス支持者にとっては厄介なことだ。

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