2024年はブティジェグ?バイデン大統領に取って代われるか

(2022年4月6日)

2021年6月25日(金)、ワシントンのホワイトハウスのイーストルームで行われたプライド月間を記念するイベントで、ピート・バティギーグ運輸長官と握手するジョー・バイデン大統領。(AP Photo/Evan Vucci)

By Seth McLaughlin – The Washington Times – Thursday, March 31, 2022

 運輸長官を務めて大統領になった人物は出ていないが、運が良ければピート・ブティジェグ氏によってジンクスが変わるかもしれない。

 大方の見方ではバイデン大統領が2期目を続投しなければ、カマラ・ハリス副大統領が2024年の大統領選挙で民主党候補に最適だ。しかしブティジェグ氏という選択肢が出てきた。

 と言うのも40歳のブティジェグ氏は、1兆ドル相当のインフラ関連支出という、広く支持され、超党派の賛同を得た政策の表の顔になり、その政治的手腕と説得能力を披露できる大舞台に恵まれているからだ。都市部の空港整備や、地方のブロードバンド・インターネットアクセスの拡充といった喜ばしい材料を、米国の隅々に提供しているからだ。

 ブティジェグ氏はインフラ関連法が定めた5,000億ドルもの新規支出を直接担当し、残りの資金もこれまでに割り当てられながら使われなかった予算から改めて割り振られている。

 セントアンセルム大学ニューハンプシャー政治研究所のニール・レベスク常務理事は語る。 「今後の一年間、ブティジェグ氏は全国各地で行われるリボンカッティング行事の名士になるだろう。」

 バイデン大統領は2期目を目指す、と言明している。79歳の大統領は先週、再選にこだわり続けるドナルド・トランプ前大統領との新たな対決を歓迎すると述べた。

 しかしバイデン大統領の先行きに疑念がないわけではない。特に民主党が中間選挙で大敗したり、大統領自らが支持票を伸ばせない見込みが強くなればだ。

 それは民主党にとって頭の痛い問題だ。同党員はリーダーに逆らいたがらないが、リーダーが他の人々の前途を妨げることになれば、党員たちは自らの議席について心配し始めるはずだ。

 誰が次期の大統領職を襲うのか、その詮議はハリス副大統領から始まる。彼女は14ヶ月間、大統領と微妙な距離を置いてきたが、初の女性副大統領であるハリス女史への支持率は、バイデン大統領のそれより低い。

 そのせいもあって、大統領直属の閣僚としては同性愛者であることを初めて公にしたブティジェグ氏に関心が移ってきた。

 ブティジェグ氏は2020年の民主党大統領指名選挙で、インディアナ州サウスベンド市長という知名度の低さから立候補して、アイオワ州の大統領候補指名の幹部会で勝ちあがり、全国で一番早い予備選挙が実施されたニューハンプシャー州で二位になった。これはハリス女史を上回る政治的成果だったと言えよう。

 しかし彼の政治経験の浅さや性的指向性、そして黒人や極左の有権者とあまりそりが合わないことなど、懸念が大きすぎた。目下、ブティジェグ氏は2024年の見通しには口を閉ざしている。

 最近、ヤフーニュースのポッドキャストで次のように語っている。「私が託された5,000億ドルもの予算を活用することで、米国民が5,000億ドル以上の価値をしっかり感じられるようにすること、これが私の関心だ。それは私の脳細胞のすべてを必要とし、私の完全なコミットメントを要するものだ」、 「私はそれに集中している。」

 とは言ったものの、2024年ハリス対ブティジェグ再対決、という見通しは多くの話題を呼んでいる。

 テッド・クルーズ上院議員(テキサス州、共和党)は今週、フォックス・ニュースで、「カマラ対ピート・ブティジェグの死闘を見ることになるだろう。正にサンダードームのマッドマックスだ」と語った。

 今週公表されたハーバード・ハリス世論調査では、バイデン候補が抜けた大統領選の場合、民主党はハリス女史を選び、それに続いてヒラリー・クリントン前国務長官(15%)、バーモント州のバーナード・サンダース上院議員(9%)で、ブティジェグ氏は8%だった。

 黒人アメリカ人かつ南アジア系として最初の副大統領になったハリス女史だが、就任宣誓の後、様々な批判に直面し続けている。

 バイデン大統領は、中米の国々からやって来る移民の流れを食い止めるという、極めて意見の分かれる移民論争の渦中にハリス副大統領を置いた際も、彼女を優遇するようなことはなかった。

 「ホワイトハウスが副大統領の担当する問題に関して一定の権限を与えたとはいうものの、それは試金石に他ならない」、前掲のレベスク常務理事は指摘した。 「この問題は解決も難しく、進捗状況を示すのもほとんど不可能だ。重要な問題だが、進展を示しにくいものなのだ」(同氏)。

 それに比べてブティジェグ氏は、現時点では政府の中で、おそらく一番うらやまれる職務を遂行している。

 同僚たちがガスの高騰、移民、国際紛争への対応に追われているのを横目で見ながら、ブティジェグ氏は道路、橋、下水道、飲料水、大量輸送、ブロードバンド・インターネットの改善のために数十億ドルもの血税を分配してまわる役割なのだから。

 オハイオ州民主党の議長を務めたことのあるデビッド・ペッパー氏は、ブティジェグ氏が輝くことのできる機会が待っていると述べた。

 「彼が選挙運動を始めたころから、耳を疑うほど説得力のある雄弁家だと思った」、ペッパー氏は語った。「仮にあなたが全国を回って公共事業の朗報を伝え、その後に『見てください、約束したことを果たしました!』と吉報を伝えられる立場にいるとすれば、それは何と大きな政治的チャンスであることか。」

 この仕事はまたブティジェグ氏が、全国に人脈を作り、民主党の人気政策に触れ、日々の話題にコメントしたり、批判に反論する舞台をも提供した。

 夫であるチャスティン・ブティジェグ氏と一緒に最近、双子を養子に迎えた。ブティジェグ氏は前記のポッド・キャストに出演した際、フロリダ州が最近制定した「ゲイと呼ばないで!」法のおかげで、子供たちが傷つけられている、と発言して物議をかもした。マージョリー・テイラー・グリーン議員(ジョージア州、共和党)が「ピート・ブティジェグは自分の電気自動車と自転車には乗って結構だが、彼および彼の夫は我々の女の子たちのトイレから離れてほしいものだ」と発言したことに反論を唱えた。

 シスジェンダー男性で同性愛者のブティジェグ氏は、グリーン議員のジャブを「馬鹿げた発言だ」と一蹴した。

 「誰かが語った無意味な、本当に無意味なコメントを聞かされる理由があるんだろうか。トイレと電気自動車と何の関係があるんだ。ああいう人たちは我々が実際に何に取り組んでいるのか触れたくないだけだ」、ブティジェグ氏は言う。

 「実際のインフラ政策に関する批判は聴かされなかった。それらは国民に良い政策であり、従って非常に人気があり、正しいものだ」とブティジェグ氏は語気を強めた。 「あの人たちは分裂を促したり、悪印象を与えて士気をくじけると見なすことがらを、三倍に吹聴して注目を集めようとしているだけだ。」

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