バイデン氏の「社会全体の利益」

(2022年5月5日)

ジョー・バイデンの移民法に関する意思決定に関するイラスト(Greg Groesch/The Washington Timesによる)

By Editorial Board – The Washington Times – Thursday, April 28, 2022

 バイデン大統領の、これまでに示したリーダーとしての資質すべての要素の中で、無制限に移民を入れることを防ぐための従来の障壁を取り除くという決定ほど重大なものはない。なだれ込んでくる違法な入国者や麻薬の恐るべき影響を目の当たりにして、米国人は、当然のことながら、怒りを覚えている。しかし、彼らは、同時に、自分たちの母国を破壊することに夢中になっているように見える大統領の態度にも首をかしげている。バイデン氏が、市民の幸福よりももっと大切な、何らかの「社会全体の利益」に対して奉仕していると考えているのであれば、そうすべきではないし、そういう人間でもない。

 2021年に発表された大統領の移民に関する青写真で、「米国は、人々を公正かつ人道的に遇しつつ、秩序正しく、安全かつ適切に管理された国境を持つことができる」とされている。マヨルカス国土安全保障長官も27日、彼とハイタッチをして、米国が「米国に入国しようとしていた未曽有の数の非市民をどうにか効率的に管理下に置いた」と議会に報告した。

 米国人が、目の当たりにしたものは、全く違っている。彼らは、ホテル・アメリカの上にバイデン氏が懇切丁寧に「空室」と記した看板を世界中に見えるように、明々と照らし出させるのを見た。それで、米国人はそれ以来、バイデン氏による招待者らが、世界の隅々からほぼ毎月、数多くやって来るのを見ることになった。米税関国境警備局によると、法執行者に厄介になった人々の数は、3月に記録的な22万1000人を超え、9月までにその数は最高200万人の大台に乗ったという。

 大統領は、新型コロナウイルス緊急事態の最中に移民を迅速に追放することを可能にするようにしたトランプ政権時の「タイトル42」を終了させることによって、移民問題をさらに難しくした。幸いなことに、連邦裁判所は、5月13日に予定されている公聴会を待つ間、バイデン氏の計画を一時的に阻止している。公衆衛生に関する規制はなく、国境警備当局者らは、違法入国者は毎年、3倍の割合で増え、600万人以上になるとの予想を立てている。

 米国人は、当然のことながら、やがて、人間が波のように押し寄せてくることを恐れている。最新のギャラップ調査によると、回答者の41%が、不法移民について「大いに」心配していると答えている。これは15年間で最も高い割合である。不法移民について、少なくとも「かなり」懸念しているという人々は60%を数える。

 それでは、バイデン氏と支持者らは、米国にとって明らかに破滅的な政策を、いかにして正当化することができるというのだろうか。恐らく、それは「私たち国民」が憲法で約束されている「生命、自由、幸福の追求」を、よその人たちが「アメリカンドリーム」を享受するために、放棄するという考えを採用することによってのみ可能だということになるであろう。

 バイデン氏は、「西半球の移民をより上手に管理する」ための彼の青写真に従って事実上、無制限の不法移民を「(より広い)社会全体のための利益(になるもの)」と定義した。大統領は、結果として生じる人と財産への破壊から視線をそらして、彼自身が美徳と思い、米国人が将来、彼に感謝するであろうという思い込みに取りつかれている。

 その間、大統領の政策による被害は拡大し、移民の利益に費やされる数十億㌦の税金や、(合成ドラッグ)フェンタニルが「招かれざる客」と一緒にやって来て、年間10万人の過剰摂取による死亡が予測されている。

 「社会全体の利益」という間の抜けた考えは、移民を引き付けるほどの魅力を、ある政策に与えることができただけで、米国人にとっては、極めて、破壊的な力を及ぼすものだったというわけだ。

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