米核戦力の老朽化深刻 中露への対応、近代化が急務

(2022年5月27日)

ニューヨークの東9丁目のビルに掲げられた放射性降下物シェルターの看板(2018年1月16日撮影)。(AP写真/Mary Altaffer、ファイル)

By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, May 24, 2022

 米国の戦略ミサイル、爆撃機、潜水艦の老朽化が進んでいる。国防・軍当局者らは、ロシア、中国、北朝鮮の核の脅威に対処するには近代化が急務だが、予算不足から計画は遅れていると警告している。

 ドーキンス空軍副参謀総長(戦略的抑止・核兵器統合担当、中将)は先週行った議会証言で、「変化する世界に適応しなければならない。失敗は許されない。国防総省のすべての作戦計画、能力は戦略的核抑止力にかかっている」と、核兵器近代化計画の推進が急務との見方を示した。

 国防総省は、10年にわたる兵器・核弾頭近代化予算として6340億㌦を要求しており、国防当局者らは、近代化が遅れれば、50年以上にわたって平和を維持してきた核抑止力を弱めることになると危機感をあらわにしている。

 中露が核戦力の増強、技術開発を進めており、米国の優位性が相対的に失われていることがその一因だ。

 海軍戦略兵器計画ディレクター、ジョニー・ウルフ氏の証言によると、核ミサイル、トライデントD5を搭載しているオハイオ級原子力潜水艦は、米国が配備している核弾頭の70%を占めるものの、この潜水艦はすでに耐用年数が過ぎている。

 新型のコロンビア級への更新は何年も遅れており、「その効果、信頼性、有用性への懸念が高まっている」と指摘、戦略軍は「老朽化のため任務が遂行できない」と訴えた。

 空軍は50年以上前に配備された大陸間弾道ミサイル(ICBM)ミニットマン3をすべて、新型の「LGM25Aセンチネル」に換装する。2027年に配備が始まり、10年で完了させる予定だ。

 ドーキンス氏によると、新型の戦略爆撃機B21も「近い将来」配備される。1980年代以来初の新型核ミサイルを搭載する予定で、「この長距離スタンドオフ(LRSO)ミサイル計画が予定通り進むことが非常に重要」と予算の承認を議会に求めた。

 ドーキンス氏は、中国が通常・核戦力を増強していることを受けて、米国は初めて中露という二つの核保有敵国に対応しなければならなくなっていると指摘、「軍備増強で自信を付けた中国は、核戦力をてこに政治目的を追求し、米国の同盟国、米国のアジア、太平洋全域の権益の脅威になっている」と指摘した。

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