共産主義体制固める中国、バイデン政権は融和へ傾斜
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, June 15, 2022
中国の外交トップ、楊潔★(Yang Jiechi)共産党政治局員は、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)との会談で、中国の共産主義体制の転覆を試みないよう米政府にくぎを刺した。
楊氏は、対米強硬姿勢から「タイガー・ヤン」の異名を持つ。会談は13日、ルクセンブルクで行われた。米政府は、「率直で、実質的で、生産的」だったとしているが、外交で「率直」は、激しい言葉の応酬を意味する。
会談について米側からの発表はわずかしかなく、これについて専門家らは、バイデン政権が対中融和姿勢を強めていることの表れとの見方を示した。
また、対中強硬派の間では、バイデン政権が、核兵器の増強、台湾への威嚇などの重要な課題をめぐって中国と対立するのを避け、スポーツのような公正な「競争」関係を築こうとしているという批判的な見方も出ている。
一方の中国は、米国がこれまでの政策を変更し、共産主義体制を崩壊させようとするなど中国の現体制に反する動きを強めていると反発している。
中国は、毛沢東の下で1949年に共産党が権力を握り、欺瞞と疑似資本主義のもとで国を発展させてきた。習近平国家主席のもとで共産主義思想が復活し、現在は米国主導の民主主義体制に代わりうる思想として、共産主義の輸出を図っているとみられている。
中国の外交トップの楊氏は、党中央政治局委員、党中央外事活動委員会弁公室主任の肩書を持つが、どちらも共産党の役職であり、習体制の下で外交の主導権を党が握っていることを示している。
国営新華社通信は会談について楊氏が、米国は「新冷戦を求めず、中国の体制転換を目指さない」というバイデン氏の約束を守るよう強く求めたと報じた。
中国共産党幹部らは近年、体制転換への懸念を強めているとされ、米中央情報局(CIA)など米国の情報機関が共産主義体制の転覆を狙っていると強く非難している。
楊氏はサリバン氏に、中国に対する戦略的視点を改め、共産主義体制の転覆を追求しないというバイデン氏の約束を「具体的な行動」に移すよう求めたという。
中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報によると楊氏は、親中派で知られるキッシンジャー米元国務長官の助言に従って、緊張緩和に取り組むべきだと主張したとされており、バイデン政権の融和への傾斜にさらに拍車を掛けようとしている。
★=竹かんむりに褫のつくり